企業DXに必要なエンタープライズアーキテクチャとは
最近DXの話題が絶えません。それぐらい世の中がデジタル化に熱いということなんでしょうか。
かくいう私もDX部隊に配属されたため、日々業務のデジタル化・効率化に向けて頑張っています。
企業のDXに向けて重要とされるものがエンタープライズアーキテクチャです。
なんだそれは?と思われる方が多いと思います。私も最初はなんのことやらさっぱりでした。
しかし、このエンタープライズアーキテクチャ、勉強すればするほど大事な考え方なんじゃないかと思うようになっていきました。
ということで、今回はエンタープライズアーキテクチャについて紹介したいと思います。
エンタープライズアーキテクチャとは
まずはじめに多くの方はアーキテクチャという言葉も聞いたことがないかもしれませんね。アーキテクチャとは建築や構造などを意味する英単語です。
一番有名なのが建築士をアーキテクチャを作る人としてアーキテクトと呼びます。それが、最近では意味を広げてシステムの構造を表すシステムアーキテクチャと呼ばれたりします。
つまりエンタープライズアーキテクチャーとは、エンタプライズ(企業)の構造という意味になり、それだけ聞くとなんだかすごく仰々しいものに感じます。
実はそんなにたいしたものではないんですよ、と言いたいところなんですが、私が会社に入って今まで習った全てのことよりも一番大事じゃないのかなと思うぐらい重要な考え方でした。
もちろん、領域によりけりであることは承知の上ですが、企業DXという視点で見てみるとエンタープライズアーキテクチャはなくてはならない考え方です。
それではもう少し中身を見ていくことにしましょう。
エンタープライズアーキテクチャには4つのアーキテクチャが含まれます。
ビジネスアーキテクチャ
データアーキテクチャ
アプリケーションアーキテクチャ
テクノロジーアーキテクチャ
ビジネスアーキテクチャ
まさに事業における業務プロセスや、どんな顧客がいて、どのように社会と接続するのかなどをに注目した構造体を指します。
業務プロセスが複雑に絡み合っている場合は、そこからほどいて整流化してやらなければなりません。
データアーキテクチャ
企業が保有する情報=データの関係性を示したデータ構造を表します。
きちんとデータを管理して制御するためには必須の機能であり、DXを始める前に多くの企業でデータアーキテクチャの最適化が行われています。
時代に伴い、この下の層のアプリケーションやテクノロジーが変わっても、このデータアーキテクチャはそう簡単には変わりません。
アプリケーションアーキテクチャ
ここでは具体的なシステムの内容の話に入ってきます。逆に言えば、ここまでのビジネス&データアーキテクチャはシステムとは直接関係なく、そもそも整えておかなければいけないところなんですね。
事業体によってシステムが異なる場合などは、ここで切り分けられた絵を描くことができます。
テクノロジーアーキテクチャ
具体的にシステムにおいてどのような技術を利用するのかという点に注目しています。多くの場合は、この技術的なところに目が行きがちですが、最後に整える場所になります。
根本的な業務プロセスやデータ構造が、また使用するシステムアプリケーションが明確になっていなければ、いきなりテクノロジーアーキテクチャをどうにかするというわけにもいきません。
科学ではないけど科学っぽい
改めて考えいてもエンタープライズアーキテクチャはアカデミックな科学技術とは違うような気がします。ただ私の中ではある種の工学のようなイメージを強く抱いています。
アーキテクチャは構造、もしくは構造化の側面が強く、たとえばビジネスアーキテクチャは企業の事業構造を、データアーキテクチャはまさに企業内のデータ構造を示しています。
システム開発の文脈ではこの構造化というのは非常に重要であり、それこそ昔はソフトウェアエンジニアリングの観点からシステムやプログラミング自体の構造化が提案されてきました。
でも、それってあくまでシステムとかソフトウェアの話だよね、と思われるかもしれませんね。
ただ、10年近く物質系の物理を学んできた身からすると、この構造化というのは数理モデルのパラメータ分解に似ているなと感じます。
簡単に言えば、物理の世界では世の中で起きる現象というのは数式によって記述できます。具体的な数式の話は避けますが、富士山の山頂でポテトチップスの袋が膨らむ(=体積が膨張する)理由は温度と圧力で説明できます。このように物理現象は、重要ないくつかのパラメータによって記述できるわけです。
これは原因がわかっていない未知の現象でも同様で、要素還元的に現象を分解していくと最終的には温度や力、電荷といった物理的な要素に落ち着きます。
そして、それらの要素が互いに関係しあって現象が起きているわけですね。この物理現象を要素分解する作業は構造化に似ているなと思うわけです。
なので、エンタープライズアーキテクチャが科学に似ているというよりは、科学も構造化を使っているといった方が良いのかもしれませんね。
最後に
今回は普段絶対に耳にしないけど、企業DXには欠かせないエンタープライズアーキテクチャについて紹介しました。
科学的な視点、もしくは科学で培った考え方というのは、いろんな場所で使えます。それが事業構造やデータ構造を理解するようなエンタープライズアーキテクチャという世界でも、科学的なアプローチで対応していくことができような気がしています。
もちろん、私の知っている自然科学だけではどうにもならないこともあると思いますが、一つの強みとして生かしながら新しい視点をどんどん取り入れていきたいですね。
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