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【ブロッホの定理】難しい専門用語を簡単に紹介してみる

みなさんはブロッホの定理という言葉を聞いたことがあるでしょうか

おそらく99%以上の人が聞いたことがないでしょう。それもそのはず、このブロッホの定理というのは物理学、中でも固体物理に登場するとても専門的な言葉なんです。

しかし、少々極端な話をしてしまえば、私たちが普段スマホを使ったりパソコンを使ったりできるのはこのブロッホの定理があるからともいえるんです。

ということで、今回は大学生でも目を背けるようなブロッホの定理を数式を一切使わずに雰囲気だけでも理解できるように紹介していきたいと思います。

ブロッホの定理

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wikipediaより引用

ハミルトニアン、並進対称性、固有関数、こんな言葉を見るだけで気分が悪くなってしまう人も多いでしょうね。私も正直、直観的にどういうことと聞かれると言葉に詰まってしまいます。

とはいえ、私が紹介してみたいと思うのには当然理由があるんです。なぜなら、このブロッホ定理は私が大学で習った法則や定理の中でもトップレベルに感動したからなんです。

人によってはこんな気持ちの悪い物理の法則に感動するって変態かよって思われてもおかしくありませんが、この法則の意味するところを物理と遠ざけて言ってしまうと、「小さな努力で大きな成果を得る」ような感じです。

そんな風に言ってしまうとさすがに怒られてしまうので、もう少し物理のお話をしていきましょう。

もう少し真面目に見てみよう

そもそもブロッホの定理というのは物質の性質に関係する重要な定理です。

それってどんな性質?と思いますが、それこそスマホやパソコンの頭脳である半導体素子の性質ともいえます。

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もう少し真面目に言うと、半導体というのは電気を良く通す金属と電気を通さない絶縁体の間の性質を持つ材料です。

それでは、この電気を流すか流さないかという性質を決めるのは何でしょうか?ここで重要になってくるのが半導体内での電子のふるまいです。

それでは電子のふるまいはどうやって決まるのか?それはかつて偉大な科学者がつくったシュレディンガー方程式で知ることができます。(なんだか複雑になってきましたがもう少しお付き合いを)

ところが、ここで大きな問題が現れます。電子が1つであればまだしも、一般的に私たちが目にする物質は大量の電子を持っているので、シュレディンガー方程式を解くのはとっても難しいんです。

ここらで一回おさらいしましょう。超ざっくり言えば私たちがスマホを使うためには、本来とても難しい方程式を解く必要があるということです。

ブロッホ

ブロッホの定理が大活躍

ブロッホの定理では、非常に難しいはずの電子のふるまいでも原子が規則正しく並んだ結晶の中では簡単に理解することができるよ!ということを言ってるんです。

図2

結晶は原子が規則正しく並んだ物質

それこそ電子1個のふるまいがわかれば、それを結晶(半導体)全体に拡張して考えることだってできるという話なんですね。つまりは小さな努力(電子1個)で大きな現象(半導体全体)を理解してしまおうという話です。

世の中には1つの現象は簡単だけど、スケールが大きくなると途端に太刀打ちできなくなるという話はよくあります。ブロッホはその1つの限界を打破したといっても良いのかもしれません。

それじゃあ、具体的にどうやって理解するの?というところは真面目に方程式を解いていく必要があります。それこそ最初に出てきたハミルトニアンとか周期的ポテンシャルを理解する必要があります。

なので、この難しい問題の解き方はまたの機会にしてみましょう。


最後に

世の中には、電磁気を統一したマックスウェルの方程式や、柔らかい物質の性質を示したド・ジャンのスケーリング則(ノーベル賞につながったもの)など他にも素晴らしい定理や法則がたくさんあります。

そんな中でもブロッホの定理を選んだのは、おそらほとんどの一般人が聞いたことがないけれど、私たちの私たちの身近な生活を支えてくれる非常に重要な定理だからです。

今後も気が向いたら今回のような記事を書いてみたいと思います。


以前にも難しい専門用語をわかりやすく説明してみた記事があるので、良かったら読んでみてください。


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