■夢は若者の特権という「諦め」

幼少期は無邪気に「●●になりたい」と言っていた希望は、大人になるにつれてだんだんとなくなる。将来なりたいものだけでなく、自分が手にしたい何かや、プロセスとしてのやり方も希望を出さなくなる。
日本に限ったことではない。世界中のいろいろなところでそれが起こっている。

なら肯定して追い求めればいいかというと疑問が残る。
人生で何度も「なぜアメリカ人は大したことがない人まであんなに自信（誤っているという意味で過信）を持っているのか」と感じたことがある。先日あ話したアメリカ在住の方が
「子供の頃から褒められて、あなたならできる、あなたなら大丈夫と言われ続けているからじゃないですか？」
と言われて腑に落ちた。

日本ではまるで褒めることは良いことだと思われているようだが、それを普通に行なっているアメリカの弊害は、調子乗りや分不相応な自信を生み出していることにある。
つまり、これもまた筋違いを生み出しこそすれ、何の希望も生み出していない。

世界中で自分が求めた本心に対する諦めが横行している。

■生きていくために必要な社会の構造が・・・

これが国ごと貧しいとか、独裁政権下の生活を余儀なくされているのならまだわかる。ところが日本は少なくとも安定や安全ありきの国だし、国民もそこにコミットする。なら、安定や安全のもと、自分が希望する自分や、やり方や、あり方をすればいい。できる状況にある。なのになぜそうしないのだろう？

と、いう問いかけは、実は質問に誤りがある・・・。
答えは「安定や安全と引き換えに希望を捨てている」のだ。捨てているという言葉に良い印象がないなら、交換していると考えてもいい。

どの国でもその国の常識になるベースがあり、かつ、どの国にも共通した生活の決まりきったベースがある。
国の常識ベースは日本やアメリカのことで（他にもたくさんある）、共通した生活ベースというのは、食べる、そのために働く、そのために通勤する、そのために職場でのコミュニケーションを余儀なくされる・・・というようなこと。
社会における生命活動そのものが→個人の希望ありきの生き方を奪う、構造的なメカニズムが背景にある。

■思い通りにならない犯人は自分自身・・・

人は大事なものを諦めたとき、他の何かでその隙間を埋めようとする。
例えば仕事に意味を見出したり、家族の仲が良いことに価値を持つ。だけどこういう心理の代替行為はつまり「本心に嘘をついて誤魔化している」ことに変わりないので心の状態としてはすでに破綻している。

現実の方でも「破綻していますよ〜」ということが目の前に来たとき・・・たとえば、自分が過去持っていた希望を今も諦めず挫けずに向き合っている人を見たとき・・・心理は過剰な状態を示す。

自分で自分を完封して外の別のものに価値を置いて「頑張っている」。
そのため自分のために頑張り諦めない人を見ると、さも「自分は大事なものを諦めて見向きもしないのだ」ということが明らかになる→まずいので、外の価値こそが正しいし重要なのだと意味づけをするようになる。

これは「確かに自分は諦めてしまっている」と認める人にも同じことが起こる。認めたところで生活も、習慣も、自分ももはや変えられないからだ。
つまり思い通りにならない心理のメカニズムは単純で、思い通りを引き換えに社会で正しいとされていることを優先し、しかもそこに価値や意味を見出してより自分自身を振り返らない習慣をつけているから・・・ということになる。

■自分の首を絞めるのをやめても上手くいくわけではない

と、ここまでが普段言ったり書いたりしているような心理メカニズム。
だけど、これがクリアできれば「何でもかんでも思い通りにできるのか？」というとそんなわけはない。
自己完結ならできるかもしれないが、外の世界で自分の何かを通そうとするなら、どうしても上手くやる必要に迫られる。

それは単に方法論を当てはめれば解決するというような簡単な問題ではない。
もちろん「問題を解決」すれば上手くいくかというとそんなことはあり得ない。問題解決はマイナスが除去されただけで何も築き上げていない。

希望を形にするとか、自分の求めているものに向かって進むには、心理構造ではなく社会構造の理解や扱いを知る必要がある。
その一番手前・・・構造を理解して考える力をつけることでかなりの物事がクリアされる。→の内容はシングルセミナーでやるので参加検討をどうぞ。
（アーカイブ受講も可）

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