見出し画像

#39 -世界の人々のソーシャルディスタンス

*これはウイルス関連の記事ではありません!

日に日に、日本人が使う横文字が増えてきた気がします。あと5年もしたらボクたちが日常でカジュアルに使うオールモスト・ハーフのボキャブラリーがフォーリンからやってきたラングエッジになってしまうかもしれません。

どこぞの都知事ではありませんが、みんなが長嶋監督になってしまう、長嶋シンドロームが起きるかもしれません。

去年からの世界情勢のおかげでソーシャルディスタンスという言葉は英語を勉強していない人にとっても馴染みの深い言葉になってしまいました。
今回書こうと思うことは、ソーシャルディスタンスとも言えるけど、パーソナルスペースという言葉の方が合っているかもしれない。

パーソナルスペースとは、他人にそれ以上近づいて欲しくない範囲の広さのことで、そのテリトリーに入られると人は居心地が悪くなり、ストレスを感じます。

今回はそんなパーソナルスペースについてのトークをゲストハウスのお客さんとした時のお話です。

いつも、数か国の違った国籍の人間が集まって話をしていると、

あんたの国の〇〇はどうなってんの?
とか
あなたの国では〇〇するって聞いたけどホントウ?

などの質問タイムになることがよくあります。

そんな話の流れから、人と人の間に必要な距離、
パーソナルスペースの話になった。

ちなみにこの時のラインナップは、

トルコ人
ルーマニア人
リトアニア人
フィンランド人
日本人(ボク)

の5人だった。

ルーマニア人の女性が中心となり話が進んでいった。

フィンランドにいた時、お店の人に声かけようと近づいていったら、私が足を進めるたびに、一歩ずつ後ろへ下がって行ったんだけど、なんで?

みたいなことを聞いた。(もちろん多少の誇張はあります)

フィンランド人の男性は、

フィンランドではパーソナルスペースがとても広いんだよ。特に知らない人とかになると、その距離はもっと必要になるんだ。

と言っていた。

たしかに、フィンランド人、エストニア人には森で合う野生の動物のように接しなければならない。というジョークを聞いたことがあるけど、あながち真っ赤な嘘というわけでもないのは、この地域にしばらく住むとわかることだ。

ただ、この点ボクたち日本人もパーソナルスペースは割と広い方で、初めて会った人と話す時なんかも大体1.5mくらいの距離があった方が、話しやすいと思う。

あまり親しくもない人に近づきすぎるのは失礼になる場合もあるし、相手に不快感も与えかねない。

距離感を言葉で説明するのは難しいので、実際に立って実演することに。

ルーマニア人女性がボクの前に立って少しずつ近づいてくるという、ちょっとドキドキする実験だった。

以下、彼女のことはル女と記載します。

1.5m  
ボク ー うん、これは知らない人でも心地の良い距離。
ル女 ー え~!私のこと嫌いなヒトの距離じゃんこれ

1m
ボク ー これは友達距離かなー?。
ル女 ー え~!友達には遠すぎるよー!

80㎝
ボク ー もう彼女候補ですよ。
ル女 ー え~!これは普通の友達だよー。

50㎝
ボク ー ヤバい!キスされる!!! (心の中)
ル女 ー え~!仲のいい友達レベルじゃない?。


リトアニア人・フィンランド人・日本人のボクは1mを切ったあたりから、

イヤ、近スギルネ。ウン、チョト居心地ワルイネ

と感じ、

トルコ人・ルーマニア人の2人は

コレクライ普通デスヨー

みたいな感じだった。


日本ではそもそもハグをしたり相手に触れるというスキンシップがないんだよ。と伝えると、

家族でも!?

と聞いてきたので、

家族でもだよ。(少なくとも子どもがある程度大きくなった家庭では)

と言うと、軽いショックを受けていた。

たしかに南欧の国や中東あたりの国って、人と人の距離が近い。その地域を旅していた時も、

いや、顔近すぎやけん!

ってくらいの距離で話しかけてくる現地人から距離をとろうとしては距離を詰められるという、正に先程ルーマニア人の女性が言っていたフィンランド人店員のようなことを自分もしていたのを思い出した。

ボクが初めて海外に長期滞在することになった時、空港に見送りに来てくれた両親と最後の言葉を交わした時のことを話した。

当時のボクは20歳。まだ英語もろくに喋れない状態でカナダに1年、ワーキングホリデーを使って滞在することになった。

荷物もフロントに預け、搭乗ゲートに向かう前に、

両親 「じゃあ、いってらっしゃい」

ボク 「うん。いってきます」

と短い言葉を交わしてボクはゲートに向かっていった。


ル女は、「あぁ、ナンテ冷たい親子関係なの!?!」と嘆いていた。

ボクはもう一度伝え直した。今度は正しいを入れて。。

荷物もフロントに預け、搭乗ゲートに向かう前に、

・・・・・・

両親 「・・・じゃあ、いってらっしゃい・・・」

・・・・・

ボク 「・・・うん。いってきます」

・・・・・

と短い言葉を交わしてボクはゲートに向かっていった・・・


わかるかい?この違い!?この「・・・」の中には色んな想いがつまっているんだよ!言葉に出さずとも、体で示さずとも、言葉と言葉の間にある無言というものの中に隠れているメッセージを受け取ることができるのが、日本人の特技でもあるのだよ!

この、いつもの会話の中にはない、「・・・」は言わばボクら流のハグでもあるんだよ!

と、熱く語ってみたが、ル女にはあんまりわかってもらえなかった。

フィンランド人とリトアニア人の方を向いたら、

ウン。。ウン。。ワカルゼ、アナタノイテルコト

と言わんばかりに首を縦に小さくふっていた。

ル女にはとりあえず小津監督の作品を見るようにお勧めしておいた。

日本の美徳を偉そうに語ったボクだったが、ル女が言っていることにも、大いに賛成できる。子どもが生まれてからというものスキンシップをする機会が物凄く増え、朝起きてから、幼稚園の送り、幼稚園の迎え、寝んねの前、と、とにかくハグしてばかり。

ハグの力はすごい。

相手の体温、鼓動、匂い、呼吸、の全てが感じられ、ハグをしている最中から、なんちゃらニン・なんちゃらトシンが脳の中で放出しているのがわかるくらいだ。

ボクの独断と偏見でのチョイスだけど、パーソナルスペースの狭い国・広い国でわけるとこんな感じかな?

狭い
アメリカ・中南米・東南アジア・インド・中東・南欧・スペイン・フランス・イタリア・モロッコ・エジプト・アフリカ諸国


広い
北欧・ドイツ・イギリス・日本・韓国・ロシア・エストニア・リトアニア

と、大雑把に分けてみましたが、ココは違うんじゃ?ってとこあったらお気軽にコメントください。ラトビア・アイルランド・ポルトガルはちょっと判断できなかった。知っている人、教えてください。

忘れてはいけないのは、国によっては、公の場でのパーソナルスペースとプライベートのパーソナルスペースの差が大きいトコロもたくさんある。というところです。

例えば、ロシアでは公の場では人も若干冷たくぶっきらぼうな感じがありますが、いったんプライベートな領域に入ると、世界有数のフレンドリーさを爆発される人たちでもあります。

そういった背景にはその国の人の性格・気質だけでなく社会体制なども影響しているということを忘れてはいけないのです。


みなさんはパーソナルスペース、広い方ですか?狭い方ですか?

また、公と私の間で大きな差がありますか?


書くことを仕事にするための励みになります。