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「即戦力」という言葉を手放そう

本日は、私が大好きな小田木朝子さんのVoicy「今日のワタシに効く両立サプリ」の2022/8/30の放送「『即戦力』という言葉はクセモノだと思う」について、本当にうなずくことばかりだったので、こちらのタイトルで私の気づきや思いをシェアしたいと思います。


「即戦力」神話を手放そう

「即戦力」という言葉がありますよね。
中途採用する企業側で、〇〇歳以上、あるいは〇〇の職位以上は「即戦力」のみ採用といった、要員の選考基準で使われたり、新たに転職する側も、早く会社やチームの役に立ちたいという思いで、自分に対して「即戦力」であることを課したりする、ということがあります。

このように、転職や役職の変化のタイミングでは、受け入れる側は相手に、新しく入る側は自分に「即戦力」になることを期待してしまいがちですが、現実的には、同じ業界、同じ職種であっても、(違う業界や職種であればなおさら)、転職したての人がすぐに「即戦力」になることなどありません

なぜなら、どんなに転職前の企業で優秀で能力を発揮していた人であっても、転職後は、自分の能力をを発揮し始めるまでに、その職場での人間関係を構築しながら新しい会社のやり方を学習するための一定の時間は必要になるからです。

そのことについて、受け入れ側も、新しく入る側も理解する必要があります

では、どうしたらよいのかというと、「即戦力」神話を手放し、相手や自分に「即戦力」を期待するのはやめよう、代わりに「何をどの位の期間をかけて、どうやってできるようになるかの計画をたてて、移行のプロセスや期間を互いに合意しよう」という話です。

転職後に自信をなくしてしまう理由

面接する時点で、受け入れ側は、ある程度の過去の経験や素養があって、組織内で活躍できそうだ、という判断のもとオファーを出すわけですが、「即戦力」の言葉の定義どおり、即時に戦力となる人など、いないのです。

一般的には、「人間関係に慣れるのに2か月」「業務に慣れるのに4~6か月」はかかります。

転職後、多くの人が自分がパフォーマンスを出せていない、役に立っていない、と自己肯定感が下がったり、自信をなくしてしまうのは、自分の新しい職場への移行のスピードが適正かどうかわからずに周囲への負債感を持ってしまうことが要因です。そして、その状態が続くと心理的安全性を感じられずに、不安や焦りでさらにパフォーマンスを出せなくなり、双方にとって良くないループに入ってしまうリスクもあります。

移行期間の計画と照らし合わせて評価する

本来の、あるポジションと役割で求められる成果や期待のレベルが3だったとして、そのポジションで中途採用された1か月目の人が3のレベルの成果を発揮できる(即戦力になる)ということはない、という話を前述しました。

そのための移行計画として、具体的には、仮に1か月目のその人のレベルが1だったとすると、半年間でこういうプロジェクトにこういう役割で入って業務を実施し、そこでこの部分の能力がレベル2になることを目指しましょう、次の半年はこういう役割で業務を実施して、こことここの部分でレベル3のパフォーマンスを発揮できるようになりましょう、といった計画があると良いと思います。

そうすれば、3ヵ月目に定期評価のチェックポイントがあったとしても、自分がレベル3でないことについて負債感を感じずに、順調にレベル2に向けて知識やスキルを習得できている状態であれば、自分に対してOKを出すことができます。

周囲や上司も、3であるべきなのに2だからだめだ、とネガティブな評価をするのではなく、現在は3ではないけれど、順調に適用計画どおり進んでいるね、とポジティブに評価することが必要です。そうすることで、本人が自信を持って業務を進めることができ、メンタル的にもヘルシーですし、組織としても、新しい人を受け入れるノウハウの蓄積につながるので、Win-Winの状態になります。

これからますます転職者の数も増えていくので、新しい人を受け入れて、その人がパフォーマンスを出して定着できる文化や組織風土を作っていくことが、組織の発展にもつながります。転職者に対して、受け入れ側や本人も即戦力を期待するのではなく、新しい組織への移行計画を作り、新しく入った人が、パフォーマンスや価値を発揮できるようになるまでのプロセスや適正なスピード・期間を合意する、という考えが定着するとよいな、と思います。

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