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若きウェルテルの悩み

こんにちは。Natsuです。あれほど敬遠していたメルカリに手を出し、本棚の整理がはかどっています。引っ越してくる前に住んでいた街の温泉回数券の残りを売るのが当初の目的でしたが、絶版になっている本や、新書で買うまでもない参考書をメルカリで買うようになり、自分でも読み終わった本を出品するようになりました。

メルカリで買い手がつくまで、というデッドラインを設けることで積ん読を消化するという有名なメルカリ読書法も取り入れています。

わたしの本棚は、引っ越しの度に厳選されるものの積ん読やもう読まない本もやはりあり、それなりに幅を利かせています。

それで今回あっさり出品されたのが、岩波文庫の若きウェルテルの悩みです。

誰しも一度は聞いたことがある有名な作品。著者はゲーテ

ウェルテル君という男の子が、ロッテさんというかわいい人に恋をするんですけど、ロッテさんは予定どおり許嫁と結婚して手の届かぬ人になってしまい、いろいろあってウェルテル君は辛さのあまり死んでしまうという話です。

叶わぬ恋路に死を選ぶまでの過程で、わたしが共感できることは微塵もないだろうと思いながらも、死ぬまでに一度くらいこの超有名作を読んでおいて損はないだろうと、死ぬほど時間のあった時期に購入しました。

ただ、死ぬほど時間があってもやはり興味のない本は読まないもので、半年ほど放置しており、このたびメルカリ出品と同時に読み始めました。

全く読んだことがなくて知らなかったのですが、こちら書簡体文学と呼ばれる、手紙で構成される話です。この時代でも月に数通は手紙を書くほどの手紙好きであるわたしは、「親愛なるウィルヘルムへ」で始まるウェルテル君の手紙をなかなか楽しく読みました。

ウェルテル君、頭は悪くないので、文章が冗長で修飾が多く、教養も無駄遣いしていてかわいいです。ウィルヘルム君がどういうテンションでこの熱い思いを託された手紙を読み、どんな返事をしているのかはわからないまま、ウェルテル君からの手紙は続いていきます。

ロッテちゃんがモテることも、許嫁がいるから好きになっちゃいけないこともわかっていたのに、あっという間に好きになってしまって、ウェルテル君の楽しく辛い片思いの季節が始まってゆきます。そしてウェルテル君の書く手紙はどんどん感情的になり、一文が短く、馬鹿っぽい感じになっていきます。

ロッテちゃんの許嫁のアルベルト君は否の打ちどころのないいいヤツなんですけど、ウェルテル君は「ロッテは僕と一緒の方が絶対幸せになれる」と信じてやみません。その自信と執着が一体どこからくるのかわかりませんが、叶わぬ横恋慕は死ぬまで続き、クリスマスあたりでついにウェルテル君は死んでしまいます。

このウェルテルのモデルは他でもないゲーテらしく、8月28日はゲーテと、そしてウェルテルの誕生日でした。ちょうど読んでいる最中だったので、ケーキでも買ってお祝いしようかと思いましたが、いかんせんダイエット中なのでTwitterでつぶやくだけのささやかなお祝いとしました。

そして、そうこうしている間に、先日午前2時頃に、メルカリに出品していたウェルテル文庫本に買い手がつきました。こんな深夜にメルカリで「若きウェルテルの悩み」を買う人がどんな人かわかりませんが、この文庫本はわたしのところにあるよりも、速やかにその人のところへ行ったほうがいいように思いました。

数センチ空いた本棚に、より自分好みの本が舞い込んできますように。

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