Sad Emotion.

仕事帰り、
車に乗り込みエンジンをかけ、
いつものように ラジオを流し始めた。

今日も疲れたな・・・。

車を走らせ始めると、ラジオから懐かしい曲が流れてきた。
突然、20年前にタイムスリップした気分になった。

そういえば、あの時もこの曲が流れていたな・・・。

あの頃、僕達はまだ20代だった。
若かった僕達は、自分のことで精一杯の毎日だった。

そんなある日、突然彼女から別れを告げられた。

あまりにも突然で、何が起こったのか理解出来なかった。
彼女は顔を背けたまま、急いで私の元から去って行った。

私は何故かその時、彼女を追いかけることが出来なかった。

私は呆然としていた。
発生した事象に対して感情が追い付いて来ていなかったのだ。

彼女のいない部屋で、私は一人でラジオを流し始めた。
すると、整理のつかない私の気持ちを代弁するかのように、この曲が流れてきた。

偶然街で君と出会う
そんな奇蹟あるなら
もうこれ以上この運命を
僕は憎まないさ・・・

いつの日も綺麗でいてね
見守れなくて悲しいけれど
君のこと振り向く時が
今では僕の安らぎ・・・

星の積もる屋根にすわり
そっと手をつないだ
同じ呼吸確かめあう
君と僕がいたね・・・

みせかけは勝ち気でいても
心は雨でいっぱいの君
一人きり泣いていないか
今でもそれが気がかり・・・

偶然街で君と出会う
そんな奇蹟あるなら
もうこれ以上この運命を
僕は憎まないさ・・・

私はこの曲を聞きながら、私はいつの間にか涙を流していた・・・

彼女が私から離れて行った理由はわからなかった。
しかし、それまでの彼女との時間、そしてこれから私が知ることの出来ない彼女の将来、彼女が幸せであるならば、どちらも私には大切なことだった。

彼女を追いかけなかったのは、いつも彼女の幸せを祈っていたからかもしれない。
私と一緒にいることで、彼女が不幸になるのであれば、私は彼女を追いかけるべきではないと咄嗟に思ったのかもしれない。

私は自分をそう説得させて、彼女の幸せを祈ることにした。

過去の思い出に浸りながら、私は家路に着いた。

私「ただいま」
妻「おかえり」
私「篤は?」
妻「寝たよ」
私「そっか・・・残念・・・」
妻「なんで?」
私「いや、なんでもない・・・」

私は感傷的な感情を抑えながら妻と会話した。
彼女は今幸せだろうか・・・?

私「ねえ、今幸せ?」
妻「何を唐突に!?不幸に決まってるやろ!」
私「はぁ!?なんで!?」

全くもう・・・
台無しだ・・・

妻「稼ぎの少ない亭主!頼りない亭主!太って痩せない亭主!ヒゲを剃らない亭主!髪の毛をロン毛にする亭主!幸せの要素がどこにありますの!?」
私「幸せは2階でスヤスヤ寝てますがな!」
妻「あんたは不幸の種!2階でスヤスヤ寝てるのはマイペースでノンビリ屋の僕ちゃん!」

ぐうの音も出ない・・・。

あの時、彼女を追いかけてたら・・・

というか、彼女はあの後すぐに戻って来て、今も目の前にいる訳ですが・・・

そう、私が追いかけなかったので、不甲斐ないことに、あの後すぐに彼女は私の元へ戻って来たのです。
そして、現在は結婚して私の妻になっている訳です。

勝ち気の妻はなかなか私に幸せだと言ってくれない。
本当は幸せなくせに照れ屋さんだ。

と、信じているが、本当のところはどうだろう?
不満がたくさんあるのは事実だと思う。
だが、幸せを願っている私の想いは家族に伝わっているのだろうか?
いつか「幸せ」だと言わせてみたい。

私「実は幸せやろ?」
妻「ウザい!」
私「はい・・・」

私の心は雨でいっぱいだ・・・
もうこれ以上この運命を
僕は憎まない・・・

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