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保存して保管するということの意味

 下記の記事を読んで、今回は、近年、盛んになりつつある『デジタル・アーカイブ』ということについて記述してみたい。

「高度な精密機器となった今のデジカメに比べれば、フィルムカメラは設定を合わせてシャッターを押すだけのシンプルな構造です。少々の不具合であれば、器用な人なら自分でカメラを直すことができました。それに対してデジカメは、電源が入らなくなったりボタンが利かなくなったりしたら、もうお手上げでまったく操作できなくなります」

 上記の引用箇所は、デジカメの欠点を如実に表していると思われる。そう、機械はいつかは壊れるのである。日本の映画館全盛期には、フィルムが途切れて中断があったと述懐される話を聞くことがある。その間は空白ができることになるが、映写室では、技術師の手によって焼けて途切れたフィルムをつなぐ作業が行われていたのである。そしてつなげられたフィルムは、次の映画館へと運ばれていたのである。

「デジカメで撮った写真というのは、あくまで“画像データ”だと思うのです。だからこそ、撮り残ったカットをその場で消せたり、レタッチできたりする利点があります。しかし、実際にこうして昔のフィルムを眺めてみると、ミスショットやタイミングを逃したカットを含めたすべてが残っている。やはりフィルム写真にはその場その場の瞬間でしか写すことのできない深みを感じますね」

 デジタルアーキビストの資格を取得するには、フィルムカメラの撮影の実習がある。少しづづ角度を変えながら、あくまでもネガフィルムで撮影する。それは、次の点でデジタルよりもネガフィルムが優れているからである。湿気の管理など、幾つもの点に注意して保管すれば、最低でも100年間は保存が可能であること、その環境下で保存されたフィルムは、整理され、必要な時に、復元、再現が可能であることがあげられる。

 国立国会図書館には、日本国内、すべての発行・刊行された雑誌および書籍、論文、文献などが収納、収録されていたが、その保管スペースや腐食の問題などから、デジタル化が数年前より進んでいる。そのため、著作権法の許す範囲内であれば、事前登録することで、国立国会図書館複写サービスを利用すれば、自宅まで送付してくれる。

 しかし、アメリカのアーカイブ、アーカイブスとして残す技術や法律は、日本より遥かに進んでいる。参考までにNational Archives and Records Administrationのサイトで過去の記録を検索されてみると良いかと思われる。

 なお、平成二十九年(2017年)四月一日より日本でも「公文書等の管理に関する法律」が施行されている。

 何が大切なものであり、何を大切にして後世に伝えていかなければならないかは、常日頃から考えておく必要がありそうである。

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 上記は、昭和34年(1959年)に起きた伊勢湾台風時の貴重な写真である。そして、タイトル画像は、16年間連れ添い、亡くなった1頭目のラブラドールレトリーバーの写真である。

推薦図書(資格習得の際のテキストとして使用しました)


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