道教と太極拳の聖地~中国湖北省・武当山〜
またまた中国の山奥を紹介します。
今回は中国の中部、湖北省にある武当山(ウーダンシャン)です。
湖北省の省都は武漢で、三国志で有名な荊州や赤壁があり、歴史好きにはおすすめのエリアです。
北西部には、容易に立ち入ることのできない深い山々があり、武当山はその一角にあります。
武当山は道教の聖地であると同時に太極拳の発祥の地でもあり、現在も修業者がたくさん住む山です。
また道教建築の独特な魅力を感じられる場所でもあります。
72峰を有する広大な山で、主峰の天主峰は1612mです。
高速鉄道の武当山駅から車で20分の場所に、武当山景区の入り口があります。
景区は中国の観光整備区のことで、観光地は通常景区として管理されています。
武当山景区の入り口を入ると、山腹の乌鸦岭(ウーヤーリン)行きのバス乗り場があります。
バスで山道を揺れること1時間、乌鸦岭に到着です。
乌鸦岭には、宿泊施設が集まっています。
乌鸦岭で宿泊すれば、効率よく景区内を見てまわれます。
中には、早朝から太極拳を体験できるホテルもありますよ。
金頂(ジンディン)
山頂の金頂(ジンディン)までは、乌鸦岭から歩いて片道3時間かかります。
道は急な階段が続きます。
ロープウェイもあるので、登るのが難しければそちらで上りましょう。
途中、各所に休憩所があるので、休みながら登ります。
霧が出やすく、周りの山が見えないほど濃い霧の中を歩く日もあります。
いかにも仙人が住んでいそうな山と言えます。
金頂には、紫禁城と呼ばれる建物がまるで要塞のようにそびえています。
赤い壁に鮮やかな緑の屋根。
岩に張り付くように建つその姿は圧巻です。
武当山は唐の時代から道教寺院がありました。
明の永楽帝の時代には大がかりに再建され、宮殿と呼ばれるほど華やかだったようです。
戦乱で破壊され、修繕が厳しい時期もあったものの、民間からの支援に支えられ現在まで保存されてきた貴重な遺産です。
藍色の道着に身を包んだ道人(ダオレン)たちもいて、道教の神聖な雰囲気を感じます。
金頂からの壮大な眺めにも心が洗われます。
下界とは隔てられた、雲の上の別世界にいるようです。
南岩宮
南岩宮(ナンヤンゴン)は、乌鸦岭から歩いて30分ほどの断崖絶壁に造られた道教寺院です。
断崖絶壁から飛び出ている龍首石。
山頂の金頂の方向に出ています。
昔は先っぽまで行って焼香をあげる「龍頭香」が行われ、崖の下に落ちて命を落とした人が多くいたそうです。
清の康熙帝の時代に龍頭香は禁止となりました。
太子坡(タイズーポー)
乌鸦岭からバスで20分のところに太子坡(タイズーポー)があります。
門の中をのぞくと、蛇のようにくねくねと曲線を描く建築に不思議な感覚を覚えます。
九曲黄河壁と呼ばれる通路は、とても個性的な造りになっています。
紫霄宮(ズーシャオゴン)
乌鸦岭からバスで40分です。
武術の鍛錬中の若者たちに出会うこともあります。
太極拳は、少林寺出身の張三豊という人物が宗の時代に武当山で創始したという説が語られることが多いですが、これは伝説で、実際は明末から清初期にかけて生まれたという説が最近では有力なようです。
それぞれの寺院には、道教の日常的な雑務をこなしながら生活する道人(ダオレン)たちがいますが、観光客はおいそれと彼らに話しかけてはいけません。
マナーを守って観光するよう求められています。
武当山は観光地ではありますが、神聖な場であり修業の場であることが感じられます。
おすすめのプラン
おすすめは、乌鸦岭で2泊する次のようなプランです。
【プラン例】
1日目 夕方までに乌鸦岭に到着
2日目 金頂まで登る
3日目 南岩宮、太子坡、紫霄宮を周って下山する
見どころをすべて周るには、少なくとも2泊3日が必要です。
景区内はとても広大なので、無理のないスケジュールを組みましょう。
長い階段の上り下りで足もかなり疲れるので、休憩時間も配慮しましょう。
山奥のトイレ事情
中国の観光地、特に山奥の場合、トイレ事情を心配される方がいますが、おそらく10年以上前に中国を旅行されて当時の印象のままなのでしょう。
近年、中国の観光地は驚くほど整備が進んでいるので、景区へ行く限りはトイレの心配は無用です。
もし景区でない場所へ行く場合は、注意しましょう。
道教と太極拳の聖地、武当山。
道教の神秘的な世界観や武術の魅力、美しい道教建築そして雄大な自然を体感できる場所です。
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