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summilux 75mmがスナップにちょうどいいという話とそれに50mmを足してみたらいいかもしれないという話。

 ライカのファインダーは僕の目には少し合わない。視度の調整が必要になる。
 その上、等倍ファインダーに憧れがあったから、基本、視度調整可能な1.4倍あたりのマグニファイアを使っている。

 この状態で75mmを使うと、ファインダーで覗いたモノの大きさと、実際に写るモノの大きさがおおよそ一致する。

 以前書いた、はっとしたときパッと撮っても違和感のない写真が出来上がる、というやつ。つまり、自分にとっての標準レンズだ。

 これがとてもいい。


 と、すると、マグニファイアを使わずに50mmレンズを使えば、これまた違和感の少ない見たままの景色が切り取れるのではないか、とふと気づく。実際やってみるとなるほど、ライカM240にとって、50mmは実に違和感がない。
 何にしても、僕にとっての標準の極みは50mm 75mmと言うことになりそうだ。

 その中で、75mmは少し注視した印象をもたらす。いつもの散歩では、その視野はいい効果をもたらしてくれるように思う。
 普段から馴染んでいる光景だから、ぼんやり歩けば、それはいつもの見慣れた光景でしかない。そこを強引に写真になりそうな切り取りを行おうとすれば、望遠の世界はそれにピッタリだと思う。その中でも、極端に世界を切り取りすぎない75mmは、背景を程よく含み、遠景は切り取りたいところを3対2の枠にバランスよく配置しやすく、とてもいい塩梅だな、と改めて感じているところだ。

 前に書いたが、ライカM240を10-Pに入れ替えようかと思った。その時、その資金作りの計算で2巡目、3巡目に浮上してくるのがこの75mmだ。まず重い。僕が持つ純正のなかで最も重いレンズだ。それからピントがシビアだ、というのもある。それでもこの画角が捨てられないというならフォクトレンダーにF値が1.5や、小型で取り回しのよい1.9なんかもある。それに入れ替えても資金は作れるわけで、そうしてしまおうか、と考えたりもした。
 だけど、写りが好きだ。それが思考をストップさせる。フィルム時代の柔らかな描写、逆光の具合も叙情的だ。それにこのレンズ、取り戻そうとすると、なかなか市場に出回っていない。たまに見かけると、自分が手にした金額より遥かに高い値付けがなされていることもあって、このレンズはやっぱり手放すべきではない、と思い直す。まあ、価格の問題かよ、と言われる話になってしまうけれど。
 ただ、僕の臆病なスナップにも、50mm より25mm分の望遠は都合がいいこともある。大きい重いとはいえ、昨今のミラーレス機のレンズよりはマシだ。少なくとも大きさは。

 他のメーカーではあまり見かけない焦点距離。やっぱりこのレンズとはもう少し仲良くさせてもらいたいと思うのだった。

 これが撮るものによっては、75mmだとあまりに被写体に寄り過ぎてしまうな、ここは50mmだなと思うこともある。カメラ二台を持ち歩く時は、焦点距離の離れたレンズをつけるのが常套だが、もしかしたら近い焦点距離の方が、自分の意図を活かせるスナップになるかもと、そう思っている。
 内田ユキオさんが、x100の解説本を書いた時にライカM3との組み合わせについて言及していたが、x100の35mmに対してライカは50mm、被写体が1人ならモノクロを詰めたカメラで、カラフルな服を着ていても50mmを使い、2人なら35mmを使う、と。
 そんなに近い焦点距離で勝手が悪くないかなと思ったし、実際やってみるとうーんやっぱり望遠側がもう少しと感じたものだ。
 でも、僕の場合、多分、50mmと75mmなのかも知れない。これならしっくり行くような気がする。

50mm  ヘリアークラシックで。車が視線誘導してくれてちょうどいい感じに奥の髑髏さんがはぁ〜い、をしてくれている。
75mm。同じ立ち位置(ただし別日)。奥行きがなくなって面白くない気がする。だからといって2歩ほど下がっても、50mmと同じような感じにできない。

 さて、今度の休みはそんな組み合わせで撮り歩いてみようか。ライカには50mm、t5にも50mmを付けて。25mmの差はおそらく2歩分。その2歩分すらお前歩かないんかい、と言われそうだが、やっぱり画角が違うと足で調整してもちょっと違うなんてこともある。どうせ日々の見慣れた景色を歩くのなら、こんな実験も、気持ちを新鮮にしてくれるはずだ。

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