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復活祭 絵本と聖書と法華経(2024年3月3話)

 令和時代の日本列島を舞台に、美少女キャラ達と主人公あなたが紡ぐブログマガジンです。

私小説『地球学徒の日記

東京 大田区 大森 池上町 堤方
東京 大田区 大森 池上町 堤方

 大森池上の街道で、美味しく健康なネパール料理を作って下さっている「アジアンダイニング ヒマラヤ」が、ネパール本国に食材を仕入れに行くため、ひと月ほど休店する事になりました。ここの常連客であるメグミさん達は、休店前最後の料理を頂きました。

メグミ
メグミ
「いつも、ありがとう御座います! 再開したら、また食べに行こうね!」

 なお、池上町の北隣にある馬込まごめ町に、同じ系列のお店があるそうなので、ヒマラヤの味が恋しくなったら、そちらに向かうのも選択肢ですね。


3月24日(日曜)
アフリカの絵本と対句表現

 日曜なので、ヒジリお姉ちゃん達は教会に向かい、今回も聖歌隊の讃美歌練習に参加しました。

 その日の夜には、絵本研究会に参加しました。今回のテーマは「アフリカの絵本」及び「絵本とコピーライターの心理学」などでした。


アフリカの児童文学

 最初の研究発表では、アフリカの絵本(児童文学)について学びました。アフリカ大陸で読まれている絵本には、下記のような傾向があるそうです。

  • アフリカの絵本作家は、欧米に移住している事が多く、現地の言葉で書かれた児童書が少ない。

  • 社会経済的に上層の家庭ほど多くの児童書を持っており、学力(教育レベル)も高い。逆に低所得の家庭には、教科書以外の書物がほとんど無い。

  • アフリカの苦難の歴史(人種差別など)を反映した児童書が多いが、それらにテーマが偏り多様性に欠けるとも言われる。

  • 女性の主人公が多く、現地の部族長が問題解決に活躍する描写が見られる。

 アフリカ文学の中で、多くの作家を輩出し、多くの児童書があり、物語の舞台になる事も多い国々をランキングすると、第一にナイジェリア(西アフリカ)、第二に南アフリカ、第三以降にはケニア(東アフリカ)などが挙げられます。

  1. ナイジェリアNigeria連邦共和国
     ギニア湾に面するナイジェリアは、かつては奴隷貿易の拠点であり、英国による統治を経て、独立後も内戦に苦しめられました。現在は、ギニア湾岸の石油を採掘してアフリカ最大の産油国になり、人口(1億人以上)や経済力もアフリカ最大になっています。そのため、児童書などの本も多く出版されています。他方、西アフリカでは本が「高額な贅沢品」として扱われる傾向も残っています。

  2. 南アフリカ共和国
     新興国の一つに数えられる南アフリカ共和国では、ほかのアフリカ諸国と異なり、自国に在住して活動している作家も少なくありません。人種差別など人権問題を取り上げた絵本が多く、キリスト教会の作家による物もあるそうです。

 アフリカ大陸と言えば、人類の祖先が誕生したと考えられている大陸ですが、ヨーロッパ文明の侵入によって、それまでの伝統的な共同体に、人種問題や西洋的近代化が持ち込まれ、それらと向き合いながら、より良い社会の在り方を摸索しています。


絵本と対句の心理学

 もう一つのテーマは、広告文案コピーライターの観点から、絵本の言葉を分析する研究です。絵本の物語構造を分類すると、二つの事柄を対比させる対句表現を効果的に用いたタイプが見られます。対句によって人々の心を掴むコピーライター技法は、古くは『新約聖書』(ヨハネ黙示録22章)から日本の絵本、そしてビジネスに至るまで、古今東西で用いられているようです。

 『新約聖書』の最終章である「ヨハネ黙示録22章」には、本書によって神の預言が完結したので、これに新しい教義を付け加えたり、取り除いたりしてはならないと書かれています。これは「何も足さず、何も引かない」という対句表現の古い例と指摘されています。

ヒジリ
ヒジリ
「絵本という題材から、色々な事を学ぶ事ができるのですね。
皆様、ありがとう御座います。さて、いよいよ来週は復活祭ですね」
  • 参考サイト


 なお、デジタルアートセンター横浜(横浜市 中区)では、3月23日(土曜)に神奈川県立歴史博物館の見学を、翌週30日(土曜)には大岡川の花見を実施しました。


3月31日(日曜)
イースターの起源

https://aigreem.com/ja
https://aigreem.com/ja

 3月下旬~4月は春祭の時季であり、キリスト教会では復活祭、仏教寺院では花祭が祝われ、多くの人々が桜花見に出掛けます。時が経つのは早いもので、この辺りの話は昨年の記事でも書きましたね。

 さて、いよいよ本日は復活祭イースターという事で、ヒジリお姉ちゃん達は教会で、これまで練習してきた讃美歌(聖歌)を合唱しました。また、本日の聖書朗読箇所は「ヨハネ福音書20章」(新約聖書)などでした。

 去年の記事でも書いたように、復活祭の日付は「春分」「満月」「日曜」という三つの条件で決まるので、毎年3月22日~4月25日の間で変動します。

 復活祭という年中行事が成立した背景には、二つの起源があるようです。

  1.  ラテン語・フランス語などでは、復活祭を呼ぶのに「過越すぎこし」という意味の単語を使います。過越祭は「神がエジプトを通り過ぎた」に由来し、ヘブライ人(ユダヤ人の先祖)のエジプト脱出を記念するユダヤ教の春祭です。

  2.  また、英語のイースターEasterは、ゲルマン系イングランド人らに信じられていた「太陽(東・春)の女神」に由来すると考えられています。

 ユダヤ教の過越祭をベースに、北欧ゲルマン神話の祭礼をも取り入れながら、西Christianera33年頃の奇跡的な伝承を機に、復活祭が成立したようです。

 復活祭では、死に打ち勝つ生命力の象徴として、卵や兎を飾る慣習があります。

 我が国・日本では、復活祭はクリスマスほど有名ではありませんが、高校の教科書などで、下記のような形で「イースター」を目にする事があるかも知れません。

  • イースター島(チリ共和国) 
     1722(享保七)年の復活祭に、オランダ人がポリネシア(東太平洋)南東で、巨大な石像のある火山島を発見し、これを「イースター島」と名付けた。因みに、この頃の日本では江戸幕府(徳川吉宗)が「キリスト教は禁止だが、それ以外の学術書ならオランダ語の本を買って読んでも良い」(1720)と規制緩和し、蘭学が始まった。

  • イースター蜂起(アイルランド共和国)
     第一次大戦中の1916(大正五)年4月、英国からの独立を目指すアイルランド革命軍が、英国の敵であるドイツ軍の支援を受け、首都ダブリンで反乱を起こし臨時政府を樹立、独立宣言を発した。

ヒジリ
「復活祭には、私達の罪が浄化され、新しい生命を得るという意味があります。私達も心新たに、より良き新年度を送りたいですね」


法華経と六波羅蜜

https://aigreem.com/ja
https://aigreem.com/ja

 その日の夕方には、皆で仏典経文を唱える「オンライン修行会」も開催されました。こちらにはメグミさんが参加し、その横でヒジリお姉ちゃんも興味深く様子を伺っていました。

 今回の法話(僧侶による説明)では、修行の心掛けとして端坐合掌(真っ直ぐに座る)・恭音朗唱(音調を整える)・専念法音(心を集中統一する)という三つのポイントが紹介されました。専念法音には「お経を無心に唱える事で、自分の声が仏の声となり、自分自身が仏と一体化する」という意味があります。

 キリスト教が「創造主(神)と被造物(人間)の間には、決して越えられない壁がある」と考えるのに対し、仏教・ヒンドゥー教などの東洋思想には「神仏との一体化を目指す(人間も神になれる)」と考える傾向があります。

ヒジリ
「これは、神と人との関係性を、静的に捉えるか、動的に捉えるかによりますね」

メグミ
「なるほど…!」

 また、大乗仏教には「智慧に基づき布施・持戒・忍辱にんにく・精進・禅定ぜんじょうを実践する」という六波羅蜜の教えがあります。メグミさん達が参加している修行も、この徳目に繋げられれば最善ですね。

 そして、仏教の根本的な考え方である「己心(自らの心)を分析し、他者よりも自分自身を変える」という姿勢には、心理学的カウンセリングに通ずるものがあります。宗教的な求道ぐどうによって得られる「法悦」は、今風に言えばリラックス効果であり、それは自らの心身を律し、他者と適切に関わる上でも役立つでしょう。

 教会礼拝や寺院修行のオンライン配信は、例のパンデミックによる外出自粛への対応として始まったものであり、今後どうなるかが注視されます。


 次回は、桜満開の池上や馬込で繰り広げられた、大森(大田区)の花祭についてお伝えする予定です!




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