緋文字、ホーソーン

・かつてのアメリカ国旗は13条が縦になっているものも存在し、それは非軍事用の意味合いを持っていた

・「老人は収税官の執務室という本来の柄ではない環境にいて、現実よりも心の中で思うことにこそ本物の生活を見ていたのかもしれない」(p.33)

・「つけた目印を隠すことはできても、胸の中の痛みは消えないでしょう」(p.66)ここで言う目印とは、犯罪者のしるしとして、衣類の胸に縫い付けられたもの

・「賢い裁きだ!…つまり、女は生きた戒めとなる。死んでからは、その墓に不名誉な文字が刻まれましょう。」(p.78)

・墓地に、黒ずんだような草が生えているのをロジャー・チリングワースが摘んできて眺めているのを、ディムズデール牧師が気付き、どこで集めたのかと問うと、チリングワースは墓碑もない墓に生えていたが、死者の心臓に根を下ろし、抱えた秘密を暴こうとしている根かもしれないと言う。「地面の下まで持ち込まれたおぞましい秘密を、目に見える形にしようというのですよ。」(p.158)

・ディムズデールは心の底に罪を抱えるが、外から見ると純真潔白。ヘスター・プリンは、緋色のAを胸に縫い付けられ外からは罪が見てとれるが、心の中の罪は緋文字のおかげでいささか軽くなっているかもしれない。その対比が面白い。

・「たったそれだけの旅をすれば、みじめな思いをした世界を去って、今からでも幸せのあるところへ行けるのです」(p.240)

・バイオリンは悪魔との関連性を連想させる楽器

・愛と憎しみは根底では一つなのではないか。何故なら、どちらも高度に相手と関わることが必要だから。(p.312)これは、宮城音弥が書いていたこととも同じだ。

・解説より。ヘスターは緋文字を晒されることにより、むしろ自由さと強度を増したように思える。逆に、ディムズデールとチリングワースは、本心を隠しながら生きることで、一方は衰弱し、一方は劣化していく。この対比が面白い。

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