営業時代の話㉗
今日は「営業時代の話」をお送りします!
▼第1話はコチラから!
それでは本日もよろしくお願いします!
※登場人物、企業、団体は全てフィクションです。
●自信喪失
藤橋さんの指摘は全て正しかった。契約がとれないことよりも、私自身もっと見直すことはたくさんあるはず。しかし、私はそこから目をそむけていた。
課題図書だって、以前ページをパラパラとめくった以来読んではいない。そして、仕事以外の時間は全て自分のために使っていた。お鮭を飲んだりゲームをしたりドラマを観たり。
営業報告会を終えた私は、心がどこか遠くへと行ってしまっていることを感じていた。その日の仕事が終わったとき、藤橋さんから
「頑張れよ」
と声をかけてもらったが、偽の笑顔で
「はい! 頑張ります!」
と答えるしか出来なかった。
ここの会社の人たちは凄い。前の飲み会で、本当にどうしようもないと思えるほどの酔っ払った姿を見せられ、しょうがない連中だと思っていた。こんな人たちより、自分の方がしっかりしている。いつか見返してやる。そんなことすら考えていた。
でも現実は自分の方がしょうもない奴だったのだ。
彼らは酔っ払ってはみせるものの、やるべきことはやっている。藤橋さんのあの説得力のある話しや知識は、相当努力をしたらしい。社長も同じだ。どうしようもない飲んだくれのおじさんではない。社長になるほどの実績があり、それこそとんでもないほどの努力があってこそ今がある。
私は努力をせずに結果を出そうとしていた。上辺だけ上手く取り繕って話をしていた。だから結果が出ない。お客様に商品を買っていただくことはそんな簡単なことではない。
こんな状態の私が借りに契約を取れたとしても、それは詐欺に近いかもしれない。しっかりした知識のないまま押し売って、借りにお客様が損したとしても責任は取れない。
この会社に転職し、大変なことはたくさんあったが、この時が1番辛かった。周りから見ればちっぽけなことかもしれないが、自分がダメな奴だと知ったときほど苦しいことはない。
私はしばらく偽の笑顔を作るしか出来なくなっていた。
To be continued…
色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!