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マーケティング戦略にAIを取り入れる - Havard Business Reviewからの学び④

競合がAIを使い、外部環境の変化に合わせ、顧客の反応を予想しマーケティングや営業戦略を変えてくるとすれば、どのように戦っていきますか?マーケティングでAIをどのように使っていくべきか、Using AI to Adjust Your Marketing and Sales in a Volatile World(Narayandas, 2023)の論文を紹介します。

AIか人間か?

企業はデジタルデータにより顧客の反応をより迅速に把握することができるようになっています。データが豊富に集まる中で、有効なマーケティング戦略を打ち立てるためAIの活用が検討されています。B to Bのビジネスでも例外ではありません。AIでモデルを組み立てることにより、外部環境の変化から顧客の反応を予想することも可能となってきています。
事例として、化学品メーカーの商社の例が挙げられていました。AIを使った予測モデルを組み、顧客の購買プロセスから採用基準を予測し、自社が有利となる要素を特定し営業活動に活用する例が記載されていました。この企業では、AIの予測モデルを検証した結果、顧客は品質ではなく、納品の柔軟性重要視していると分かりました。そのため、契約の内容にグローバルに納品ができる仕組みを盛り込むなど、迅速に顧客ニーズに合う提案を取り入れました。
AIの予測モデルは、人間が行う仮説検証に似ています。すぐに精度の高いAIの予測モデルを構築することは難しいです。しかし、従来のマーケティング活動でも人間が顧客のニーズの予測を立て、検証しているという点では変わりがないと思います。AIを取り入れた業務設計を行い、AIの検証を行うか、人間ベースの予測の検証を行うかは、企業のマーケティング、営業戦略に関わると思います。

競合はAIを採用する前提で考える

マーケティングの一つの難しい点は費用対効果の把握です。広告宣伝には多額のお金がかかります。ROIなどの手法もありますが、正確な測定を行い、マーケティング活動にフィードバックする仕組み作りは簡単ではありません。AIモデルを構築しておくことで、より詳細なレベルでマーケティング施策のフィードバックを得ることができます。例えば、マーケティング施策による獲得できるリードカスタマーの予測も可能になると思います。また、ウクライナ侵攻など外部環境が大きく変化した際に、AIが最適なシナリオプランニングを行い、即座にマーケティング、販売戦略の見直しができます。特に競合がAIをマーケティングに取り入れ活動している場合は、迅速に戦略を変更してくるため注意が必要です。AIを取り入れていない企業が変化への対応が遅れ取り残されてしまうリスクがあります。

考察

AIを採用している企業が、AIを採用していない企業より環境変化に迅速に対応をでき、マーケティング活動も最適化できる可能性はあります。ただし、正しいAIの予測モデルを構築できた企業という前提が付くと思います。実務の中で、モデルの検証を行う必要があり、外部のコンサルなど一時的にいれ、AIをマーケティングに取り入れたとしても、上手くいかなくなってくると思います。そのため、社内にAIを活用する文化や人材を育成する必要があると思います。今回の論文で難しかった点は、私自身マーケティングにAIを取り込んだことが無く、具体的にマーケティング活動にAIを導入していけるのかというイメージがつかなかったところです。ただし、AIが従来のマーケティングでは難しかった効果測定など、問題を解決していってくれる可能性は高いことはわかりました。そして競合がAIを導入する可能性も考えると、マーケティング活動にどのようにAIを取り込んでいけるかは、前向きに考えるべきテーマと思いました。

Reference

Narayandas, D & Sengupta, A. (2023). Using AI to Adjust Your Marketing and Sales in a Volatile World. Harvard Business Review.

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