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【追記あり】中国ビザ申請が修行だった話

2024年4月1日現在、中国への渡航はビザが必要だ。
2020年以降、それまで15日以内であれば他国と変わらずパスポートのみで渡航できていた中国の扉が閉ざされ、現在に至るまでビザ免除の決定はなされていない。

所用で上海に行く用がありビザの申請をすることになったのだが、これがなかなか大変だった。自身のビザ取得は3度目、カンボジアの観光ビザを除けば初・自力申請となった中国ビザの申請手順をご紹介しようと思う。

ビザの種類

中国ビザは目的に合わせて数種類ある。説明を読んでもどれに該当するのかわからないものもあり、ちょっと複雑。ビザ申請代行などを行っている日本橋夢屋さんのHPにわかりやすい図があった。

現在は15日以内のビザ免除も停止中

ビザ申請は各地域の領事館または東京ビザ申請センター、名古屋ビザ申請センターで行うことができる。今回は名古屋ビザ申請センターへお邪魔した。

今回の申請はMシングルビザ。業務ビザは以下の3種類。

・シングル(1ビザで1回限りの入国可):3か月以内
・ダブル(1ビザで2回まで入国可):3か月または6か月
・マルチプル(1ビザで複数回の入国が可):6か月/1年/2年のいずれか

私はシングルを選択。こちらで申請料は7,250円。なかなかのお値段。


ビザ申請に必要なもの

ビザ申請に必要なものはこちら。

①パスポート
(有効期限が6か月以上、2ページ以上の余白があるもの。マルチプルは最大  で27か月以上の有効期限、2ページ以上の空欄が必要。

②パスポートのコピー 1部
コピーは白黒でもカラーでもOKだが、髪のサイズがA4でないとコピーし直することになるので注意。A4サイズに144%くらいのアップできっちり印刷されている必要がある。

②証明写真 データ+写真1枚 (★)
データと写真1枚が必要。サイズや規定が細かいので注意。

③ビザ申請書 1部 (★)
事前にオンラインで作成し印刷、署名(2か所)する必要がある。

④査証予約確認表 1部 
こちらはオンライン申請すると表紙についてくるので一緒に印刷する。

⑤招聘状 1部
現地の受け入れ先が発行した、必要事項をもれなく記載したインビテーションレターが必要。相手先が作成した正式文書である必要がある。

以上が最低限必要な書類だ。あくまでも最低限で、これ以外にも所定国への渡航履歴がある場合や以前中国に渡航した履歴がある場合、特定の業種に就いている場合などは追加の資料提出が求められる。
中でも準備規定が細かいもの、準備に手間取った項目に★マークを付けた。
こちらについては次に説明する。


証明写真について

まず驚いたのが証明写真の規定の細かさだ。
以下は夢屋さんが簡潔にまとめたもの。だいぶわかりやすくなっている。

証明写真のルール。びっくり。

注意したいのはサイズと背景色。
まずはサイズについて。サイズはタテ48㎜×ヨコ33㎜。それならパスポート用の写真でいいじゃないかと思うかもしれないが、それがそうでもない。
パスポートサイズは縦45㎜×35㎜。タテが若干足りない。また上記の説明にある通り、顔全体のサイズ、頭頂から写真上部まで、顎から写真下部までのサイズが細かく決められているので、45㎜だと規定から外れてしまう可能性が高いのだ。
次に背景色。こちらは日本でよく見かける淡い水色、ピンク、オフホワイト、グレーなどすべてNGだ。背景は白一色。かつ洋服と背景が同化しないよう撮影する必要がある。これまた面倒くさい難しい。
そして3つめは写真のデータが必要か否か問題。結論は写真のみでも、データのみでもダメ。両方用意するよう書かれているが、実際はデータのみでOKなようで、写真は回収されなかった。ただしこれも急に写真がほしい、となることがあるかもしれないので、念のため両方を準備するのが無難。
HPには上記写真のほか、目、顔など部位別に必要な画素数も記載あり。さらにデータのサイズは40MB~125MBの指定あり。こ、細かい。


ビザ申請書について

現時点でのビザ申請には、事前にオンラインでの申請書作成が必要だ。私はこれでトラップに嵌った。
以下に貼ったリンクがビザ申請センター最新のホームページ。
ネットで”中国ビザ 申請”と検索すると、いろいろヒットする。その中に過去の申請フォーマットも含まれており、そのおかげで無駄に申請を作成した。当然窓口では受け取ってもらえず。そんなこともあろうかと念のためパソコンを持参していたので、すぐ近くのカフェに駆け込み、その場ですぐオンライン申請をやり直した。このトラップのおかげで申請前の時間を1時間ほどタイムロス。
下記リンクは最新のHPのもの。検索する場合は
”名古屋ビザセンター 2024”と検索すると正しいサイトにたどり着く。

トップページはこんな感じ。
真ん中下段の「査証高速リンク」をクリックする。この翻訳ネーミングがすでに分かりにくい。

高速リンクとは…

次に出てくるのがこちらのページ。

左側の申請書入力からスタート

赤マルで括った申請書入力からスタートする。
クリックすると規約が表示されるので、画面下部の同意をマークし、スライドボタンを右にスライドすると入力画面に行ける。
これでやっと入力スタートである。

入力画面。ここで証明写真データを使用する

ここから8ページに渡る超大作を入力して行くのだが、最初の難関は証明写真のアップロードである。

写真の規定。この枠内に収める必要がある

あらかじめサイズ、画素数などの規定をクリアした写真データをアップロードする。上記のようなガイドラインが表示されるので、枠に合うように画像のサイズ、上下左右を調整する。顔周りの二重丸の内側にはフェイスラインとあごの位置を合わせ、外側には頭頂部と耳が収まるように調整すると、規定通りの証明写真となる。

そのほかの注意点として、

・アルファベット、数字は半角で入力しないとエラーになる。
・あらかじめ全角で入力し半角に変更すると、エラーが解消されない場合がある。その場合はいったん入力を削除し再度半角で入力するか、全角で入力し半角変換しなおすとエラーが解消される。

これは何度もイライラさせられたポイントなので、エラーが出たら上記を思いだして何度か入力しなおしてみてほしい。

また入力時に”こんなことまで⁉”と驚いた記入項目があるのでご案内しようと思う。

①最終学歴
なぜこれを…と疑問しか浮かばなかった質問がこれ。渡航に最終学歴、必要?なんとなく学歴社会の中国を垣間見る質問でげんなりした。

②両親のフルネームと生年月日
これも???な質問。死別していても記載が必要で、詳細を記入しないと窓口で細かく質問されていた。そもそもこれをきちんと入力しないと次の入力に進めない設定となっている。WHY⁉と厚切りジェイソン化したくなる質問。

③旅費支払いは誰がするのか(3択問題)
本人、会社、それ以外の誰かという項目がある。航空券を購入している時点で踏み倒しはありえないと思うが…これもなんとなく中国らしい質問だなと思った。

これらの質問にいちいちツッコミなががら記入を終えたら内容確認画面へ。ここで確認を怠り記載事項に誤りがあると受理されず作成し直しになるので注意。前に並んでいた人が生年月日の記入ミスで差し戻されていた。他にも現地での受け入れ先の詳細情報や滞在先住所、緊急連絡先、搭乗便、滞在スケジュール、過去5年間の職務経歴(‼︎)等の情報を事細かに記載する必要がある。これらはすべて必須項目なので、記載なしでは次に進めないようになっている。パソコン操作は特に苦手でもエキスパートでもない私がここまで作成するのに1時間強かかった。

ここまでめでたく到達したらカラーで印刷。事前申請確認表を含む全8ページを印刷する(もちろん片面印刷で)。再度記入内容に誤りがないかを確認して出来上がり。申請前からすでに渡航をちょっとあきらめたくなってきた。


いざ、ビザ申請センターへ

ビザ申請センターは平日9時から14時までの営業とのこと。小さな病院の待合室程度の広さしかないセンターには窓口が4つと受付、証明写真ブースとコピー機、記入机と授乳室があった。9時半ごろ到着したが、狭い部屋の中にはすでに50人程度が待機していた。屋外は気温が高いにもかかわらず、部屋の中はエアコンが動いている気配がない。部屋に入った途端シャツ1枚の背中から汗が噴き出した。

申請センターの窓口は4つ。うち2つは優先窓口とビザ引き渡し用の窓口。残る2つが申請用の窓口だ。一人当たりの窓口滞在時間はまちまちで、10分程度で終了する人もいれば、書類の不備を正すのに大幅に時間を費やす人もいる。まずは受付に並んで書類の事前チェックをしてもらうのだが、私の場合はこの時点で書式不備を指摘され、敢え無く振り出しに戻る、である。
1時間で書類を作成し戻ってみると時間はすでに11時。センターは空くどころかますます混み合っていた。受付で書類の確認をしてもらい、受付台帳に名前を記入。ここで初めて受付札を渡される。ここからは並んで待つ必要がないのだが、呼び出しは肉声で1度だけ、現在の受付番号を示すモニター等もない。加えて受付係の男性は”どのくらい時間がかかるかはわからない”の一点張りで、その場を離れるのも難しい。仕方なくセンター内で暑さに耐えながら自分の番を待つことにした。
昼になると同時に2つの窓口のうち1つが閉まる。どうやら休憩のようだ。これで窓口は1つのみ。1時間で申請が終了したのは5人程度になった。13時になりスタッフが戻ると、今度はもう一方のスタッフが窓口を閉めて休憩へ。結果14時まで窓口は1つのみだった。
14時半をまわってようやく自分の番まであと1人というところまでたどり着き、その後ようやく自分の番が回ってきた時には暑さと疲れでめまいがするほどだった。
窓口の前に座ると、カウンターを隔てるアクリル板の向こうから冷たい冷気が流れてくる。どうやらカウンターの内側のみエアコンがついているらしい。びっくりである。窓口の隙間から冷気のおこぼれを頂きつつ、質問に答えていく。
窓口の担当さんは丁寧な方で、申請は問題なく終了。一度差し戻されたせいもあり、万全の準備で臨んだこともよかった。割とあらゆるタイプの申請者が窓口であたふたしていたので心配していたが、どうやら業務ビザの申請はそれほど難しいほうではないらしい。
窓口では 「旧パスポートは自宅にありますか?」という質問があった。理由は判らないが必ず確認されるよう。あると答えると、自分のパスポートコピーに”旧パスポートは自宅にあります”と自筆で念書を書かされ、さらにサインと日付を記入するように言われる。偽造パスポート対策だろうか。これまた謎。

なんやかんやで15時にようやくセンターを出ることができた。
書類不備で1時間のタイムロスがあった分を差し引いても14時、ビザ申請に4時間半かかることになる。この日はゴールデンウィーク前の申請が多いようだったこと、金曜で申請が多いのではと思う節があったので通常よりは混雑した日だったのかもしれないが、それにしてもあの暑さの中4時間半の拘束はかなり体力を消耗した。

ビザ申請からお渡しまでは6~8営業日かかるとのこと。引き渡し時に支払いをし(現金のみ)、受け取るようだ。受け渡し時間は2時間指定なので、いつでも良いわけではなさそう。見ている限り、引き渡しは申請ほど時間がかからなそうだが、次回はさらに余裕をもってセンターを訪れようと思う。
そして出来れば一日も早い査証免除の復活を心から願う。

最後に、これからビザ申請に行かれる方へ。
申請の際は携帯のバッテリーと暇つぶしグッズがあると楽しく過ごせるかもしれません。検討を祈る!

追記

申請から数日経ったところでビザセンターから電話があった。片言でよく分からないが、どうやら申請用の写真が足りないと言っているらしい。電話をかけてきたのは申請を担当してくれた方のようだが、お前の確認ミスだろうが!てか写真いらないと言ったのもあなたですからね!とツッコミそうになった。電話を通してこちらの苛立ちが伝わったのだろう、写真は郵送してくれればいいなどと言っているが、郵送などしていたらそれこそいつビザがもらえるか分からなくなるではないか。結局再度窓口を訪問することになった。

窓口担当さんに「まさかまた4時間も待たないよね?」と念押しすると、大丈夫大丈夫、並ばず窓口に来てくれればいいから!とかるーい返答。大丈夫なのか本当に。
もうこれ以上おかしなことになりませんように。








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