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【論説】「日本の貧困の現状」と「貧困率の推移と背景」について

現在、日本では子どもたちの貧困率が大きな問題になっている。

その背景には、現在の社会の状態や、経済、家庭のあり方など数々の要因が絡み合い、貧困率を高めてしまっている。

では、貧困の現状はどうなっているのか。また、貧困率はこれまでにどのように推移してきたのだろうか。


〈目次〉
1.日本の貧困の現状
2.日本の貧困率の推移  
3.相対的貧困率の推移の背景
4. 子どもの貧困は国を上げて取り組むべき重要な課題


1.日本の貧困の現状
貧困には「絶対的貧困」「相対的貧困」があり、日本で問題視されている貧困は、相対的貧困に当たる。

絶対的貧困は、生活や生命を維持することが難しいほどの貧困状態を指す。一方、相対的貧困は国の生活水準や文化水準を下回る状態に陥っていることを指す。

日本は相対的貧困率が経済大国の中でも特に高いとされている。

2016年に発表された世界の相対的貧困率比較では、日本は世界で14番目の15.7%となっている。先進国の中では中国やアメリカに次いで3番目となっており、先進国の中でも相対的貧困率が高いことが伺える。

また、世帯構造別で言えば、ひとり親世帯の貧困率は2021年で44.5%となっており、その半数が貧困状態であるとされているのです。

(出典:厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況)


2. 日本の貧困率の推移

(出典:厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」)


3.相対的貧困率の推移の背景
相対的貧困率の推移が緩やかに上がっている理由として、人口構成の高齢化が関係している。

65歳以上の年金暮らしの世帯が増えたことにより、相対的貧困率を押し上げる要因になっている。

また子どもの貧困率は、ひとり親世帯の貧困率が特に高いと言われる。

また、近年の物価上昇は、平均的な収入のある世帯に比べ、困窮世帯により大きな影響を与えている。困窮世帯の子どもほど、生活は苦しいと推察できる。

日本における離婚率は1997年以前と比べると多いことがわかっている。
離婚によって、ひとり親世帯が増加し、特に親権の問題から母子家庭が多くなる傾向にある。 

母子家庭では、子育てとの両立が難しいなどの理由から正社員になる割合が父子家庭より低く、非正規雇用で働くことを余儀なくされることが多い。

非正規雇用により、給与や待遇面で不利益を受け、収入が少なく貧困状態に陥ってしまうと考えられている。

4. 子どもの貧困は国を上げて取り組むべき重要な課題

2021年の調査結果から、子どもの9人に1人が貧困状態と推測される。貧困は子どもの体や心の成長を著しく妨げる可能性がある。


貧困に陥ると食事面に問題が生じる。家庭の収入の少なさから3食しっかりとれる子どもが少なくなり、場合によっては学校の給食頼りという家庭も存在するだろう。

またひとり親の場合、子どもは1人の時間が多く、食事も孤食となる可能性がある。

このことは子どもの体の成長だけでなく、心の成長にも大きく影響すると思われる。

また、収入の低さゆえに、学力を補うための塾や多くの経験が得られる習い事もできない。学力や経験に差が生じ、将来的には就職や生涯収入の格差につながりかねない。

このような子どもの貧困問題は、当人の貧困状態だけでなく社会全体の損失にもつながる。
子どもの貧困は現在、そして将来に向けて重大な課題と考えている。


以上


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