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ひとり広報になったらどうする?

実行したい11のSTEPについて


PR TIMES MAGAZINE(2023.10.25)
執筆者
合同会社KOUYO代表
坂下 彩花 氏

出典: PR TIMES MAGAZINE   https://prtimes.jp/magazine/pr-alone/「ひとり広報になったらどうする?現役広報が教える、実行したい11のSTEP」



「来月から広報を任せたい」「兼任で広報もやってほしい」


広報担当者の中には、予期せずひとり広報に任命されたという方が意外に多くいます。

指導者がいない場合、やるべきことがわからず戸惑う場面もあるのではないでしょうか。

企業が決めた目標達成のために奔走することは大切ですが、必要業務を把握することで焦らず行動ができます。

広報PR活動は本来、ステークホルダーと良好な関係を構築するための手段です。

経営層やメンバーを巻き込みながら目標を達成するためにも、ひとり広報になった際に実行したい11のSTEPを把握しておきましょう。

リソースが限られている活動で大切になるのが計画です。

広報PR活動の全容を理解し、行動目標をすり合わせてから活動すると、メンバーの協力も得やすく円滑に仕事が進みます。

今回は未経験でひとり広報に就任した方の多くが目標にする、メディア露出を通じたPR活動に必要な11のSTEPを解説していきます。



ひとり広報になったらまず実行したい11のSTEPを紹介

STEP1.PR活動の全体像・事例を把握
STEP2.経営陣との認識合わせ
STEP3.年間計画を立てる
STEP4.PR企画を作成
STEP5.PR手段の選定
STEP6.評価方法・目標設定
STEP7.情報収集
STEP9.メディアキャラバン
STEP10.PRコミュニティの参加・ネットワーキング
STEP11.社内共有



STEP1.PR活動の全体像・事例を把握


チームを先導する第一歩としてPR活動の全貌を把握していきます。

トップダウンの指示で動く前に、「PR」と「広報」の違いや全体業務を理解しておきましょう。

「広報」は「PR」に内包された概念であり、大きく「社外広報」と「社内広報」に分かれます。

「社外広報」……企業の認知拡大やサービスの利用促進、採用や資金調達に貢献

「社内広報」……社員のエンゲージメントを高めるなど、社内文化の醸成に貢献

広報PR活動と一口に言っても、広報の目的によって活動内容は異なります。

同時にPR事例に目を通すことで、PRが持つ企業・社会へのインパクトを認識しながら理解を深めることができます。 



STEP2.経営陣との認識合わせ


広報業務の全体像を把握したら、PR活動を通して企業が向かう方向を経営陣とすり合わせます。

「PR活動=メディア露出」と考える経営陣も多いため、PR業務が持つ可能性や成功事例を通してPR業務の全体像をプレゼンしてもいいかもしれません。

また、「どのステークホルダー(クライアント、求職者、株主、ユーザー、社員など)」に対して、「どのように見られたいのか」、「現状は何が課題か」、「そのために何ができるか」に答えることにより広報活動で実現する世界観が共有しやすくなります。



STEP3.年間計画を立てる

広報を手段に「誰に対して何を伝えるのか」が決まったら、年間計画に落とし込みます。

資金計画、事業計画、採用計画をもとに「いつまでにどのような状態になっていればよいか」「いつまでに達成をするか」を決めていきます。

限られたリソースで結果を出すためにも、各ステークホルダーごとに目標を作成し、重要度・優先度をもとに取捨選択をする意思決定が必要となります。

PR活動の計画は経営方針に紐づくため、PR活動自体が経営活動といわれるのも頷けます。



STEP4.PR企画を作成

年間計画をもとに想定ステークホルダーごとのPR企画を作成します。

「ネタがない」ではなく「ネタをつくる」心持ちで、時流・季節性・意外性・社会性・数字を考慮して企画します。

案が浮かばない時は競合企業の打ち出しを参考にしましょう。



STEP5.PR手段の選定

ステークホルダーと関係構築を図る最適な手段を選びます。

年間計画、PR企画を参考にSNS・オウンドメディア、広告、寄稿、メディア露出などから最大の効果が見込める手段を短期的、長期的な視点で選定します。

認知度拡大が見込めても、設定した目標とは違うメッセージがステークホルダーに伝わることも考えられます。

都度PR活動の目的を振り返りながら手段を選んでいきます。



STEP6.評価方法・目標設定

企業のPR課題のひとつとしてよく挙げられるほど、PR活動の評価は難しいといわれています。

定量と定性目標を合わせたOKRを用いたり、行動指標をもとにKPIで評価したりと組織によって評価方法はさまざま。

プロセス、アウトプット、アウトカムそれぞれに評価軸を定め、広告換算、好意度評価、SNS反響数といった手法を検討します。



STEP7.情報収集

PR計画を行動に移していきます。自社の情報を発信する機会が増えるPR担当者。

企業を取り囲む政治、経済、社会、技術の動向を理解しておくと、企画立案、プレスリリース作成、資料作成、メディア対応時に言葉の説得性が増します。

マクロ情報に限らず、経営陣やメンバーに対するインタビューなど社内にも目を向けることで、思わぬPR企画につながる情報を手に入れられる場合もあります。



STEP8.プレスキットの作成

情報収集をしたら、経営陣に代わって企業の魅力を伝えることを目標にプレスキットを作成します。

メディア関係者に向けて、企業やサービスに関わるプロモーション用の資料や画像・動画素材をまとめましょう。

企業によってプレスキットの内容は異なりますが、マーケット規模、社会課題、それに対する自社のサービス優位性、他社との違い、実現するための社内制度やメンバー、企業としての注目ポイントをまとめると企業価値が伝わりやすくなります。



STEP9.メディアキャラバン


選定媒体へアプローチをするメディアキャラバンのため、メディアリストを作成します。

ステークホルダーが接触する媒体を選定し、電話やSNSを通じて(プレ)取材を獲得します。

ここでもPRの目標に立ち返り、時には競合他社とも協力しながらメディアリレーションを構築します。

最初は業界紙や地方紙など、企業に興味を持ってくれる媒体での掲載実績を増やすのもよい手段といえます。

媒体にこだわりすぎて掲載チャンスやメディアリレーションの機会損失を招かぬよう気をつけましょう。



STEP10.PRコミュニティの参加・ネットワーキング

ひとり広報にとって強い味方になるのがPRコミュニティへの参加です。

スタートアップ企業は特に単体掲載が難しい媒体もあるので、共同でPR企画を持ち込んだり、メディア関係者を紹介し合ったりと協力体制が築けます。

まずはどういった会があるのか参加して確認するのも意味がありますが、具体的な課題や問題意識を持っているほうがアドバイスや助け合いができ、よりよい関係構築につながります。



STEP11.社内共有

広報PR活動で必要となるのが社内の理解や協力です。社内向けにも定期的な発信をすることが重要です。

社内報、社内向けイベントの企画、社内広報勉強会といった手段を選択します。

メディアに取り上げてもらった際の結果報告は特に重要です。

企業やサービスが世の中に露出することで、メンバーのエンゲージメント醸成や協力獲得が容易になります。結果を出すことが何よりも信頼構築につながるといっても過言ではありません。



ひとり広報になったら11のSTEPを社内メンバーと一緒に進めよう

ひとり広報はPRのプロフェッショナルとしてメンバーを先導する立場にあります。

決してひとりで広報をするわけではありません。広報はあくまで手段です。

焦らずに広報PR活動をするためにも、達成したい世界観をメンバーとすり合わせ、実行、振り返りを通じてメンバーと共に目標を目指していきましょう。

11のSTEPは上から順に対応する必要はなく、臨機応変に活用ができます。

自社に合ったPR活動を進めるうえで参考にしてみてはいかがでしょうか。


以上

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