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パプリカ

2006年に公開されたアニメ映画。
筒井康隆原作、今敏監督、音楽平沢進という巨匠パレード。
映画を見てその勢いで小説も読みきったので。

筒井康隆は時をかける少女の原作者。
今敏監督はperfect blueなどを手がけている。

発明家・時田浩作によって作られた夢を共有できる装置が何者かに悪用され、精神破綻を起こされる登場人物たちをサイコセラピストの千葉敦子が救うというストーリー。
こうして内容のさわりを説明してみたときに、映画と小説ではほとんど変わらない。実際はかなり改変されているのだけれど。筒井康隆の長編SFを90分に組み直すその手腕に感服する。


ファンタジーに甘んじることのないストイックで豊かな表現だった。
鮮やかな色彩、めくるめく映像、コミカルな人物像、限界のない表情。
砂漠での紙吹雪と国際的な人形行進には度肝を抜かれたし、千葉敦子が走りながらパプリカになるシーンなんかとても印象的だった。原作では千葉敦子は化粧で丁寧にパプリカに変身する、そこらへんはやっぱり小説らしいというか説明的だなと思わせられるのだがしかし物語が進むにつれ終盤に近づくにつれて、ストーリーはファンタスティックさを膨大させていく。そういう”ぶっとび感”を抽出させている。



面白いな、と感じたのはDCミニと呼ばれる夢共有装置が科学の最先端であるのに対して、パソコンやテレビ、携帯電話、車なんかは当時のものがそのまま描かれていること。空想の科学はいくらでも自由に具現化できるのに、既存のものの進化を描いてはいない。現実味を帯びさせる為であっても、ただ気が回らなかっただけだったとしても、興味深いなあと。


しかし国際文明の行進ってカオスなんですねえ。
でも日本って傍から見たらあんな感じなのかも。

そういえば蠱惑的なものの象徴として蝶々が使われていて、ヘルタースケルターという映画でも蝶々は印象的でしたね。美しく不気味。
人がそういう意識をする理由はどこにあるんでしょうか。
無軌道ともとれるあの羽ばたき方なのか、いわゆる虫とも鳥とも違う形か、色彩や紋様なのか。



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