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君たちはどう生きるか。

完全ネタバレ含むのでご注意ください。

一切の情報なしの初回初日に見てきました。
いろいろ言われてますが、正直「事前ネタバレ」とか、全くどうでもいい映画です。
というか宮崎駿による「ジブリ以前・ジブリファンタジー」ベストアルバムでした。耳をすませばとかトトロのいわゆる一般向けの「ソフトジブリ」路線は一切排除。
それぐらい集大成、総力戦って感じでした。
凄まじかった。もうこういう映画がサブスク配信時代に
生まれることはあるのでしょうか?

過去の名匠で、遺作は大抵枯れるものですが、
黒澤明の遺作「まあだだよ」には絶対にならない、という強い意志を感じました。

物語のベースはまんま「失われたものたちの本」と「クラバート」です。
母親が死に、再婚し、新しい母親を取り戻しにいく。
児童ファンタジーの古典的王道ストーリーです。

ただ、そんなことはどうでもいい。アニメーションです。
宮崎駿が好きで見てきたであろう名画シーンのイマージュ
・7人の小人
・不思議の国のアリス
・キューブリックの2001年宇宙の旅
・ヒッチコックの「鳥」のあのシーンのオマージュ。
・「シーザー、田園に死す」
・小津安二郎の食事シーン
・溝口健二?の山椒大夫?
・今村昌平の「復讐すべきは我にあり」?

で、
・「火垂るの墓」
・「ハウルの動く城」
・「風立ちぬ」
・「ナウシカ」
・「ラピュタ」

「謎」
・なぜ自分で石で自分の頭を突発的に殴った?
・d uch


映画自体は美しい三幕構成でした。
・最初の部分は自伝。母を失くすまで。生活様式。
・中盤は、母を取り戻しにいくまで。
・後半は、父から若き王への授権場面。「ジブリ」を思わせる鳥たちの楽園が崩壊するであろうことを予期させます。

物語としては「失われたものたちの本」そのままですが、
正直現代でファンタジーをやるのは厳しい。
見た人の多くは全然世界観ごとの「辻褄」が合ってないと思った人がほとんどだったはず。
宮崎駿もそれを十分承知で、いっぱいアクションシーンを詰め込み
わざと物語性を捨てて、120分の後半60分を駆け抜けたように思いました。
(青鷺の「あなたのお母様はまだ生きてますよ」の伏線は
どこへいったんや・・・)。

前半60分にはこれでもかとジブリの総決戦の美術レイアウト場面や美しい生活の所作などを入れてありました。

音楽は全体的に地味目。とくに序盤は環境音楽やASMR・アンビエントジブリになっていました。私的には最高でここで泣きました。

声優は、正直あいみょんがぶっちぎりでよかった。
「ジブリヒロイン」そのものの声でした。
父親役のキムタクと木村佳乃さんも素晴らしかったですが、
少しオーバーアクトだったかも。
あと7人の老婆たち、竹下景子、風吹ジュン、阿川佐和子、大竹しのぶ、滝沢カレンは素晴らしかった。滝沢カレンだったとあとで知りました。

宮崎駿は、本当にお母さんが好きで、
今回キムタクが演じた父はブルジョアで、頭は良くてもあまり好きではないことは節々にわかる。
じゃあアニメでダメだった息子の息子、
つまり孫にも「アニメーション監督にはならなくていいよ」。
全編設定も謎なファンタジーの中で、唯一はっきりと、
異常なまでにしっかりとした具体的なメッセージだった。
なので今回は
特徴的な「映画作曲家・久石譲」ではなく、ジブリ以前の
無名だった「アンビエント作家・久石譲」に戻っており、
それが私的には、一番興味深かったです。

凄まじい映画でした。

#君たちはどう生きるか  
不思議な国のアリス+ヒッチコック鳥+田園に死す+少年時代+AI+母を訪ねて三千里+2001年宇宙の旅+傾城阿波の鳴門+火垂るの墓+恍惚の人の名場面が次々と現れる感覚 絵も美しい

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