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突発性なので当然なんだけど、ある日突然、突発性難聴になった

今年の2月末、本を読んでいたら左耳のほうでキーンと耳鳴りがした。

まあ耳鳴りなんて珍しいことじゃないので気にせずに読書にふけっていると、1時間ほど経過しても依然、止まない。

ところで、周辺が静かすぎると、何も音が鳴ってなくても耳鳴りのような音が聴こえる気がする……なんてこと、ありませんか? 「静寂の音」とでも言いますか。

今回の耳鳴りもそれかしらと思って、キーンと鳴っている左耳を押さえてみたら、右耳で拾う世界は静寂そのもので何の音もしない。

反対に右耳を押さえてみると、今度は左耳のキーンが際立って、大変ノイジーに感じる。やっぱりこれは静寂の音なんかじゃなくて、普通の耳鳴りだ。それにしても持続時間が長い。

シャワーを浴びると、水の音がくぐもって聴こえる。なんだか耳の中に水が入ったときのような、音がクリアにならないもどかしい感覚。

指を突っ込んでみたり、片足で飛び跳ねながら頭をトントン叩いてみたりしたけど、水が入っているわけではなかった。

翌日、病院へ行った。聴力検査を受けたところ、高音がほぼ聴こえていないとのこと。わかる。だって耳鳴りのキーンは聴力検査のピーという音とよく似ていて、重なれば綺麗さっぱり埋もれてしまうだろう。

医師の診断は「ハッキリとは言えないけどたぶん突発性難聴」とのことだった。自律神経失調の可能性もあるそうだが、渡された症状の解説プリントを読むと「自律神経失調による突発性難聴」みたいな書き方をされていたので、分けて考えるもんではなさそうだった。

ただ、中音域、低音域は聴こえているので日常生活には支障なし、と言われた。

確かに低音は聴こえた。

けれど中音については実のところかなり微妙だった。その病院の検査機は、看護師が音を出すボタンを押すとピー音の前後で「サー」という微かな録音ノイズが出る。ボタンを離すとそのノイズは消え、完全な無音状態になる。

私はその「サー」を捉えて自分の手元のボタンを押したが、正直、そのあとのピー音がちゃんと聴こえていたかどうか、自信がない。

とりあえずお薬出しますねってことで、ステロイド等々、けっこうな量の錠剤と粉をもらった。

副作用が非常にしんどかった割に何の効果も無く、あれから1ヶ月以上経過するが未だに左は耳鳴りが続いていて、音がくぐもったように聴こえる。

幸いだったのは検査のとおり中音域も問題なかったようで、日常生活ではあまり困らないこと。唯一ハードに感じたのは、騒がしい環境で比較的高めの声の人と喋ることだった。右耳を傾けなければ何を言ってるのか全然聴こえない。

にしても、音が聴こえづらいことや、自分の声が遠いことのストレスは思った以上に堪えるものがある。

その昔、無響室という音が一切反響しない不思議な部屋に入ったことがあるが、とてつもない息苦しさで、わずか1分で部屋を出たのを思い出した。(無響室は幾何学的に非常に魅力あるデザインをしているので、興味ある方はぜひ画像をググってみてください)

音が聴こえないっていうのは息苦しいのだ。てことは聴力は呼吸の体感に大きな影響を及ぼしているってことでしょう。その証拠に私はこの2ヶ月ほど、明らかに疲れやすい体になった。

こうやって歳を取っていくのかあ〜と思ったけれど、できればこのまま悪化しないでほしい。今年は四十肩にもなったし(まだ37歳なのに)腰痛も再発したし、持病がないのは幸いだけど暮らしに不便が増えるのは困ります。

人によってはある日突発的に治ることもあるそうなので、それに期待しつつ過ごして参ろうと思っております。

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