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1987-1989


ガラス戸の時計みたいなマークがずっと気になっていた。

朝のテレビ番組が流れている、アナウンサーの快活なおしゃべり。窓から外を眺めると小学校に登校するために駐車場にみんな集まっている。私はただそれを眺めていた。

ある晴れた春の日、姉が隣の町へと、私を自転車の荷台に乗せて遊びに行った。ぽかぽかの陽気の中。学校からエスケープしている私たちは同志だった。姉は高校生で、私は小学生だった。

線路沿いを私たちの住む団地へと向かって、坂道を、母の運転で下っていく。姉は好きな先輩の話を熱っぽく語っていた。

兄はベルリンの壁に見立てて部屋と部屋の間に壁を作った。熱帯魚を飼いだして、グッピーの繁殖をしてみたりしていた。私はとにかく飽きもせず、ネオンテトラやグッピーたちを眺めていた。飽きもせず。


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