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生きてゆける

また泣いたそうですね。
家をとびだして寒い丘の上にしゃがんでいるのを、のんちゃんがみつけてくれたとか。
水仙はさいていましたか。
いつだったか、あの丘にさく、金と銀のさかづきを重ねたような、水仙の花のそばで、夢を語ってくれましたね。
ひかるような思いは、あなたを通して、わたしの心までも照らしました。
目の前でかがやいていたのは、本当のあなたでした。
いま、あのひかりが見えますか。
ともすれば消えてしまいそうですか。
あなたの涙のわけが、わたしにはわかります。
きっと、なにごともなくすぎる一日一日が、ひかりを遠くへはこび去ってゆくような、あせりとおそれに耐えかね、あなたはかなしく泣いたのでしょう。
 
どこまで夢を追いかけようか
いっそ、夢なんか忘れてしまおうか――
 
涙がかわいたら、考えてみてください。
夢をなくして生きてゆけるかどうかを。
たいせつなことをつまらぬものの犠牲にしてはなりません。
あせり、おそれ、ためらい、みじめな気持……
そんなものは、あなたの自由の翼をひろげるどころか、押さえつけてしまいます。
できないというまぼろしを、できると信じる心に変えてください。望みをかなえた自分の姿をはっきり思い描けるまでに。
そうやって、ひたむきに取組むとき、神の摂理も働きます。さもなくば決しておきないあらゆる種類のことがおきて、あなたを助けてくれるのです。
水仙は、素肌のまま、つめたい土くれを押しわけて立ちあがり、自然のいのちのめぐりのなかで、ひとすじの思いをさかせています。
毎日を生きてください。
花のように。
人生がはじまった時のように。



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