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金魚すくいの体験を考えてみた

すでに秋になってしまいましたが、夏まつりの風物詩である「金魚すくい」について、ユーザー体験を考察してみます。
(私の地元での金魚すくいについてになります。地域によって差があるかもしれませんので念のためお断りさせていただきます。)

今年も暑かった夏祭。蒸しっとする中でグビブビ飲む生ビール。そして、少し焦げた匂いが香ばしいイカのゲソとトウモロコシ。子供のころから変わらぬ脳裏に焼きついた夏祭の風景。そんな中で金魚すくいは、子供時代にあまり良い思い出がなかったせいか、興味を引かれることはなく数十年経過しました。ただ、今年に限っては子供がスーパーボールすくいという誰にでも優しいゲームを卒業し、より難易度の高い金魚すくいにチャレンジしたいということを唐突に、しかも力強い目で”魚すくって持って帰る”と宣言。そういうわけで、予定外でしたが遊んでみることになりました。

まず初めの私の心理状態としては、小さい子供でもすくえるのか。すぐ破けてすくえなかったら悲しむのでは。仮にすくえた場合は飼育の仕方もよくわからない。など、ワクワク感よりは大丈夫かな?という不安が広がっていました。一方の子供は目力が表現していたように、そんな不安を抱く様子もなく、当然すくえると考えている様子で支払いを待っている。

この場合のユーザーである私と子、それぞれの体験を良いものにするにはどのようにすれば良いでしょうか。

例えば、

・初心者でもわかりやすいルール説明とすくい方を動画で説明する
・昨日や本日の最高記録を、年齢別に表示する
・取れなくても、欲しい人は最低1匹はサービスしてもらえる
・金魚を販売してくれる
・飼育方法を教えてくれる
・飼育グッズを販売してくれる


のようなことであれば、我々親子のサービス利用前や利用後のユーザ体験は向上したと考えられます。

親としては不安を抱えたまま、金魚すくいに挑むことになりました。

さて、両手にビールと焼きトウモロコシを持ち、子供もかき氷に綿菓子と、手が塞ってしまっていました。仕方なく地面に荷物を置き、小銭を財布から取り出して支払いを済ませて、いざスタート。

子供の頃の記憶(すくえた記憶はありませんが)をたどり、すくう紙はあまり水に浸さず、輪っかの端っこに乗せてサッと救うことを伝えましたが、やはりというか当然というべきか、初めは思いっきり水の中に入れて大物を狙いに行き、一発で破けてしまっいました。残された紙は開始3秒で早くも残り1つ。ショックの色を隠せぬ中、少し学習したのか、あまり濡らさぬように頑張るが、金魚さんも中々すばしっこくて簡単にはすくわれてくれない。すくってもタイミングを合わせてお椀をうまく使うことができない(子供の手に大きさが合っていませんでした)。金魚は追いかけると遠くに逃げてしまうが、ほかの人も遊んでいるため、自分のエリアから移動はできない状態で数分間、我が子の周りには金魚さんがいなくなってしまいました。手荷物の関係で物理的に手伝うことは無理ということもあり、口で檄を飛ばすものの、うまくいかないので子供も苛立つ。そんなこんなで1匹もすくえずゲーム終了。立ち上がるときには足が痺れていました。
その後、隣で遊んでいた見知らぬオジサンのご好意で数匹を分けてもらうことになりました。

金魚すくい中の体験として、

・電子マネー対応
・チケット制
・手荷物置き場の用意
・どこの席でも満遍なく金魚がいるようにする仕組み
・すくった金魚を入れるお椀のサイズバリエーションを増やす
・サポーター制度
・椅子など観客席の用意


などがあれば、我々親子のサービス利用中のユーザ体験は向上したのではないでしょうか。

金魚すくいを終えて、運良く(子供にとっては。)金魚を持ち帰ることができることになりましたが、当初の不安であった飼育方法が良くわからぬ気持ちを抱えたまま帰宅し、翌日は水槽、餌などを購入して飼育生活をスタートしました。(不慣れであったため、初めの数週間は悪戦苦戦でした)

子にとっては、ピークエンドの法則から、全体としては良い体験として記憶に残ったようで来年も金魚すくい場に足を運ぶことになりそうです。

ユーザー体験といっても、利用前から利用中、利用後とそれぞれのタイミングでの体験デザインが必要です。それは金魚すくいのようなサービスに限らず、プロダクトでも同様です。

上記の考え方は、UX白書に記載されています。
もしご存知でなければ読んでみてください。
理解の一助になれば幸いです。
個人的な内容におつきあいいただきありがとうございました。

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