見出し画像

みんなのエシカル感を確かめたくて、エシカルUX Meetup#5に参加してみた話

エシカルってなんだっけ

昨年のアドベントカレンダーで、デザインという手段を使って優しさを伝えたいというnoteを書いた。手段というか手法のひとつとして、ユニバーサルデザインやアクセシビリティは人権という意味でエシカルにアプローチできるのではないかと考えたからだ。

その記事の中で、UX MILKさん主催イベント エシカルUX Meetupにも少しふれたのだが、1/21(火)にエシカルUX Meetup #5が開催するというので 、他のデザインにたずさわる方々のエシカル感(こういう言い方でいいのかもちょっと悩んでいる)を確かめに参加してきた。こうすることで自分の中のエシカルってなんだっけ?に向き合えて、さらにいろいろな考えに出会えるるのではないか、そう思った。

ちなみに当初の募集20名ということで、一瞬で枠が埋まってしまい抽選だったのだが、会場を広くされたのか一気に20名→80名!と大幅に募集枠が増え、ほぼ全員が当選できるようになった。このことからもデザイン業界のエシカルUXへの関心度の高さが伺えた。実は当日の午前中、会社を休んでしまうほどの体調不良だったのが、少しだけ無理をしてでもぜひ参加したいと感じるほどだった。

エシカルUX Meetupとは

目的
・「エシカルUX」について考える
・IT業界のクリエイター(ディレクター、デザイナー、エンジニアなど)はどう社会に影響していけるのか考える
対象
・自分の仕事の社会的な影響を考えたい人
・サービスやプロダクトを作っててなんかモヤモヤしている人
・UXデザインやサービスデザインのネクストステップを考えたい人
・そろそろ自分も社会に貢献すべきじゃないかと考えている人

Meetupの概要は上記のような感じ(Connpassのイベントページより抜粋)

この中で私が該当するのは、サービスやプロダクトを作っててなんかモヤモヤしている人だろう。日々、社内外へユニバーサルデザインの啓蒙に奔走しているが、なかなかどうして浸透しない。クライアントや一緒に取り組んでいるチームの中でも、みんな「大事だよね」といいつつ「取り組めるといいよね」という言葉が出たりするととてもさみしい気持ちになっている。おそらく、私にとってはエシカルなことはやって当たり前のことなのに後回しにされてそのうち忘れられているような感じがするあたりがモヤモヤの原因だと思われる。もしかして、このモヤモヤが解消できるのか。否が応でも期待してしまう。

Meetupのねらい

まずは主催のUX MILK編集長 三瓶さんから、本日のねらいとセッション内容、セッションの間に挟まれるディスカッションのお作法など、進行と注意事項が伝えられた。

もともとは、「社会をもっと良くしたい。UXついて意識がある人がこれだけいれば、もっと世の中にインパクトをだせるんじゃないの(雑)」という三瓶さんの考えから始まったMeetupだが、実はエシカルUXという言葉が最適かどうかも疑っているという話は印象的であった。

本日のねらい
自分たちは日々の仕事で
何ができるか考える

つまり、みんなで意見を出して、考えて、改善しようという流れ。

まずは以下の3項目について自らの意見を書いて(描いて)、自己紹介がてらディスカッションしていく。

・あなたにとってのエシカルとは?
・あなたが思う社会課題とは?
・あなたの仕事におけるエシカルって?

その後セッションを聞いて、またこの議題たちについてやセッションに関連するエシカルなことについて、チームを変えて意見を交換するというものでありとても刺激的だった。語った内容や感じたことなどについては、あとの章でテーマごとに分けて後述する。

セッションの全容はグラレポで

画像1

全セッション素晴らしく、知らなかった新しい知識も多かったし、本当に考えさせられる内容にばかりであった。すべて総ざらいして書きたい気持ちはやまやまなのだが、せっかくの素晴らしいグラレポ(いつもグラレポなのかグラレコなのか言い方に悩む)があるので割愛させてもらう。スライドが公開された場合はリンクを追記していくつもりだ。

余談だが一番はじめの岡さんのセッション内容というか、プレゼンのアプローチが今度話そうと考えていたセミナーの内容構造に似ていたので「ぜひ引用させてください!」とご本人にお伝えしてご了承いただいた。プレゼンについても学べるのは、やはり生のイベントやセッションだからこそなので、そういう意味でも足を運んで正解だった。

あなたにとってのエシカルとは?

私にとってエシカルとはには、迷わず「人権」と書かせてもらった。その他の方の意見では「子供の時代まで続いているもの」「継続させるべきなこと」など、SDGs※ につながるサステナビリティについての付箋が多かったように思う。大人として世にだす責任の一つという意味合いであろう。「みんなが幸せになる」というような、エシカルが生み出す価値について書いてるものも多かった。

しかし、とあるPMのような立場の事業会社のディレクターが語った「最初はエシカルな視点からはじまっていたはずなのに事業になり儲けに軸が移ると途端に対極の立場になってエシカルが失われる」というような発話には多くのメンバーが頷いていた。お金が絡むとエシカルが失われやすいという声は意外とたくさんの共感があるようだった。

あなたが思う社会課題とは?

実はこのテーマの写真を撮り忘れていて、詳細な内容が思い出せない(たくさん貼られていたのにごめんなさい)

ただ、確か2回めのディスカッション後にこの模造紙を囲んだ時に、KaizenPlatformの須藤さんが語られた内容から派生したと思われる「考えさせないUIにする」という付箋を貼るところを見てしまった。貼った方に直接伺ったところ、まだデザイナー歴半年だという。話を深堀りしていくほど完全に間違った理解と思われたため、老婆心ながら「考えさせないUI」についての解説をしてしまった。語った内容はここは詳細に書くと1万文字ぐらいになりそうで怖いので省くが、デザイナーたるものモノの本質を間違って解釈したまま鵜呑みにするのは良くないと思うので、彼女たちが学ぶきっかけになっていれば嬉しい。(が、ちょっと暑苦しく語りすぎたことは反省してる)

あなたの仕事におけるエシカルって?

私にとってのエシカルは「ユニバーサルデザインとアクセシビリティを推進する」ことだと書かせていただいた。他の方の付箋をみてオッ!と思ったのは「ユーザーが預かり知らぬ間に利益を得ない」というものがあって、残念ながらこれを書いた方が輪にいなかったため真意がわからないのではあるが、みんなで語った時の意見として「利益は大事だ」「ユーザーに預かり知らぬことってなんだろう」「情報をオープンにするのはエシカルだと思う」など様々な意見が出た。
「まだ難しくてわからない」とか、「自分ごとにできていない」という意見もそれぞれのチームで異口同音に聞いたことからも、エシカルは絞り込みにくいテーマなのだと思う。

結局エシカルを理解できたのか?

結論から言うと、足がかりは掴んだけれども完全に理解できるものではなく、まだまだ余白のある考え方だなと感じた。それは様々な立場や意見、そしておのおの向かい合う課題が大きく違うことに起因しているからだと思う。エシカルは課題などに立ち向かっていくためのツールという側面より、受け入れるための姿勢の一つなのだなという感触は得た。

私個人の今回の目的である、他のデザイナーやディレクターが感じているエシカル感はなんとなく掴めてきた感覚はあったので本当に参加してよかった。ただ、これはスタートに過ぎないことも分かった。

思っていた以上に若い世代が参加していて、それぞれ活発な意見交換できたと感じたし学ぶこともたくさんあったのだが、そもそもエシカルに対する認知の前にデザインへの誤解がたくさんあって、私以外にもデザインの認識にたいして訂正や補足をしている方が多い印象も強かった。最初からエシカル感を持ってデザインに取り組むのは本当に大事だと思うが、逆にエシカルに囚われすぎて絶望しそうだなと思ったりもしたので、まずは自分の中のデザインを明確にしておくことが必要だろうと思う。

それぞれのテーマに明確な解があるものではないので、今回は私の印象だけを書く記事になってしまったが、Meetupも回を重ねてどんどん集合知も増えているように感じたし、個々のセッションのクオリティも高く、それを受けての意見交換もとても面白く深い話もできたところもあった。エシカルUX Meetupは今後もできる限り参加したいと思うので、もしも見かけたらぜひ声をかけて欲しい。


参考
SDGs (持続可能な開発目標)とは、“2030年までに達成すべき17の目標として国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標のことを指す

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?