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田舎者のアウトドアのすゝめ

田舎に住んでいると、アウトドアにハマるキッカケを失い易い。

だって、普通の生活がそれなりに不便の連続なのに何故、さらに不便にならなきゃいけないのか?という疑問とか湧きませんか?

高額の道具やウェアーなんかを揃え、更に公共交通機関の利用、又は車の場合もガソリン代や高速代などの交通費をかけて遠出する…。

大自然の中では「非日常」を堪能出来るとみんな感じるという。

学生時代や20代の頃は、私の周りにはこの「非日常」を求める友人から多く、スノーボードや登山、キャンプや海によく連れて行かれたけれど、正直乗り気では無かった。

なんて、おへそ曲がりな事を思いながらも、いざ、大自然の中に入ると、私が育ってきた里山とは違う景色があった。その地域で風土感が違う事に改めて気付かされ、見たことのないものに出会う。「この空気の匂いは嗅いだ事がないな」なんて感じたりした。普段とは違う仲間の表情を垣間見る瞬間も「非日常」なのかな?なんて思ったり。

結婚、出産後にアウトドアグッズの多くを処分した。もう、行くことはないだろうと思っていた矢先…

小学生になった息子が恐れていた事を言い出した。

「ねえ!!キャンプ行きたい!」

何故に、子どもは「キャンプ」が好きなの!?

確かに…。
私が幼い頃の夏のイベントと言えば従姉妹達や近所の子ども達と企画して行くキャンプだった。

ちびまる子ちゃんやのび太のような小学生だった私は「それより家でゴロゴロしていたい」派の怠け者で、些か苦痛ではあったのだが…。


夏休み前、妹夫婦がアウトドアにハマったらしく、キャンプをしようと誘われた。
ところが、場所を予約してくれた妹夫婦がコロナに感染してしまい、私達だけでいく事になってしまうというハプニング…。

キャンプ好きの叔父から全ての道具を借り、アウトドアに慣れない私達夫婦は不安を抱えながらキャンプ場についた。

場所はやや標高が高い森のこじんまりとした小川が流れるキャンプ場。スタッフの方は優しく、親切だった。
小川を見た子どもはすぐにバシャバシャと入って遊んだ。川の水は冷たい。そして透き通っていて綺麗だった。鬱蒼として木々が強い日差しを遮ってくれているから、涼しくて過ごしやすい。気温は30度弱。38度を記録した私の街とは雲泥の差だ。

森林と川。すでに心地よい。「非日常」を感じ始めた私。

キャンプ場のそばを流れる小川

慣れない手つきで2人でテントを立てる。私は不器用な上、指示をしっかり聴いていないから旦那をイラつかせた(笑)共同作業では家族のチームワークが求められる。

イライラすることは厳禁。

イラつかせるのはいつも私の方。鈍臭くて、段取りが悪く、忘れ物が多いからだ。

細々と気が回ってフットワークの軽い夫が羨ましく、妬ましく思えてきて無駄にイライラする。

子ども達はというと…
せっかく作ったものを破壊したり、散らかしたりして笑っている。寝具のエアマットがえらく気に入ってプロレスごっこが始まり大笑い。

いつもならイライラするのに、何故かイライラしない。子どもがこんなに笑っているのを見たのは久しぶりだったからだ。

夕飯は家から持ってきた取り立てのトマトととうもろこし。子ども達にはカルピス、私達はワインとチーズを摘んだ。
簡易コンロで湯を沸かし、カップ麺を食べた。
カップ麺は外で食べるととてつもなく美味しい。

子どもにカップ麺なんて…と思っていたのだけど、子どもは大好きだ。「食べたい!」と言われていたので、キャンプで食べる事にした。

夜はテレビもないわけだから会話をする。

他愛も無い会話だ。

子どもの顔をこんなにマジマジと見たのは久しぶりだった。

子ども達はずっと笑っていた。

ああ。だからみんなキャンプをするのか…と思ったりした。

不便を感じ、距離を縮め、また日常に帰る。

翌朝…
寒い。涼しいというより寒い。

朝の空気は澄んで、森の木々も虫も静寂していた。蝉も鳴いていない。トンボがすーっと何匹も飛んでいた。指を出すと、トンボが怖がらずに止まる。
「ああ、まだ私も生き物として大丈夫だ。」
なんて、変なジンクスを思う。


夜明けの月が綺麗

遠くに光る月を眺める。

見えているものが全てじゃない。
行って見ないとわからないから、とりあえず行く。

1人で行くより、誰かとがいい…。

1人になりたいときもあるけれど、1人では何も出来ない事を痛感したりする。

とりあえず、子供が小さくて大事な今は…
子供との日々を大切にしたい。

そんな事を思ったキャンプ体験だった。

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