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【超短編小説】 1分45秒後


君が気付いた頃、僕は君の携帯に電話をかけるだろう。

何度も着信音が鳴り、そして、静かに音が止まるだろう。

そう、あの頃はまだ僕は君のことが好きだった。

僕が君に電話をかけて、君はだいたい1分45秒後にかけ直す。

その繰り返しだったし、それが楽しかった。

若さゆえの幸福と甘酸っぱい想いに満ち溢れていた。

でも、君はもうここにはいない。

随分と理性ばかり働いてしまった僕は君と一緒には居られなくなった。

着信音もだんだん鳴らなくなった。

別れる最後の日。

僕は君に手を振った。

君は僕の方を見て、手をチョキにした。

僕はパーだったから君は勝っていたけれど、

泣いている顔を見れば、そうも言えそうになかった。(完)