09:ゲイのおじさんが40歳で女友達と結婚して子供を作り、ゲイを隠さないまま暮らしているという話・それぞれの答え

お見合いの答えを出すために未来の自分をイメージしてみた。
なんとなく、ではなくとてもリアルな自分。
こんな夢を叶えて、理想の収入を得て素敵な空間で優雅に暮らす自分ではなく、
どういう状態の自分でいることが快適なのかを。

ありのままの自分。本当の自分。自然体の自分。

どれも自分を語る上の常套句であるけれども、そもそもそういう状態はどういうシュチュエーションで成立するのか。

僕は性格上異性や恋人、そして家族の前では格好つけた状態でいたい。つまりだらしない状態を見せたくない。だから本来の自分とは少し違う、家族や恋人の前での自分を演じてしまっている。

一方、古くからの友人の前では下着姿になれるしおならしたりよだれもたらせる(相手は迷惑かもしれないが)。昨日ゆきずりの相手とやってしまった、、、暗闇活動復活して暴れまくってる、、、などなど下世話なネタでも気兼ねなく話せる状態が本当の自分。人生の終盤戦、裕福であろうが貧乏であろうが、僕は本当の自分として仲間らと一緒に楽しい人生を過ごしたいと思った。だからそばにいて欲しいのは、本当の自分の状態を作り出してくれる友人達だと。

もし仮に、お見合い相手にYESと答えるのであれば、セクシャリティーの説明、そして友人達の紹介は避けて通れないと実感した。そもそもゲイである事で嫌な経験をほぼしたことのない僕にとっては、そのことを隠したり誤魔化したりする感覚自体が全くなかった。嘘をついてまで、友人達の存在を消してまで、つい最近会ったばかりの女性とま見ぬ我が子との生活を手に入れたいのか?

答えはNO.
それ以外の選択肢はありませんでした。

30歳までに子供を産む、と決めた彼女の時間を1日でも無駄にするわけにはいかなかった僕は、お寺の師匠を介して縁談をキッパリとお断りしました。

目指すべき未来の自分像が明確になったこと、そして一番大切なもの、大切にしていきたいものが友人であるこという事に気づいたこと、最後に自分らしくいられる環境を手に入れるためには、女性との結婚や子供を作るということは物理的に無理だということ。自分都合で彼女にはもうし訳ないことをしたなという気持ちもありますが、僕にとっての最初で最後のお見合いは色々なことが明確になった貴重な体験となりました。


って話をさー。
前にしたよね?カンジ。

これらの経験を踏まえた僕は、カンジの問いかけに対して答えを出した。

結婚と子供、本当に欲しいならチャレンジしてほしい。

ただし、そのためにやって欲しいことがある。

僕はガンジに2つの事を伝えた。

一つは、今付き合っている同姓のパートナーに別れる経緯をきちんと説明してほしいということ。僕や周りの友人たちにとってカンジの彼氏はいつも集う仲間の一人になりつつあった。そんな彼がカンジから突然別れを告げられ、その後女性と結婚し子供を作ったことを知るのはとても酷なことで、大きな心の傷につながったりトラウマになって欲しくないと思った。今までのような関係は継続できなくとも、お互いでるだけ納得した上でお別れをして欲しいと思った。

そしてもう一つ。結婚する彼女にセクシャリティーを隠す場合、僕はカンジの為に嘘をついてあげてもいいと思っていた。例えば彼女連れのカンジと突然街であった時、結婚式の時、一緒に食事をする時、「仕事関係の知り合いで仲良くさせていただいています(笑顔)」みたいな演技。だけど僕の友人にまでそれを強要したくないことを伝えた。

もし仮に僕たちの関係は断たれることになったとしても、家族や子供が欲しいと願うなら、貫いて欲しいと思った。そのくらいの意気込みがあるなら、僕も自信を持って応援できる、そんな風に思っていた。

自らのお見合いでの体験を思い出しながら、その2つの思いをカンジに伝えた。

数週間後、カンジから連絡があった。

色々考えたんですが、自分の中に彼氏を守りたいという意気持ちが強くあることに気づきました。結婚は諦めて、彼といることに決めました。

カンジが出した答えを聞いてホッとした。

僕は男の人と長く付き合ったことがなかったので、とても尊いことだと感じた。

自分つ都合で当たり前と考えているもの。いつもいてくれる人。当たり前のように存在しているものや環境。そういうものが徐々に変化を始めているのでは?40代になった僕は身の回りの変化に敏感になりはじめていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?