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エピソード3 何もしなくていい会社

異動した先は「何もしなくていい会社」だった。

どんなに苦しい状況でも、組織のミッションを理解し今やるべきことをやっていこう!とメンバーを鼓舞し導いてきたところでの、突然の異動だった。メンバーが気持ちよく業務できるよう、課題を見つけ解決し、新しい取り組みを関係部署にも提言し一緒にやってきた。

「私、何かしましたか?」突然異動の連絡を電話で受け取った私は、上司に聞いてみたが、ただ「異動ですから」と言われたのみ。対面でもteamsの顔見せでもなく電話連絡だけ、ですかぁぁ?

異動先は子会社で、親会社のガバナンスがしっかりきいていて、経営陣・部長・所長はほぼ出向者。天下り先かい?! そら、ガバナンスも効くわな。 社員の受け身体制、あきらめ感は高く、グループ会社へのエンゲージメントはそれはそれは低い。

逆境での挑戦心、みんなで立ち向かって良くしようよ!という私の心にちょっとだけ火が付いた。これからも売上が厳しくなることが予想される中、待ちの体制ではなく、親会社とは両輪となり、時に支えていけることを目指していろんな案を出してみた。

ことごとく、できない理由が返ってきた。 どうしたいか、どうなっていくかなんて考えなくていい。親会社から支給される原料を加工して、固定費をできるだけ抑えればそれでいい。売上の予算未達でも大丈夫。赤字にならない程度に受託料をアップすればいいのだから、下手に動かないように。と経営は言われているのだろうか。

プロパー社員は採用せず、アルバイトから準社員を経て適性があればいずれは正社員、と制度化しておけば人件費は抑えられる。プロパー社員は副所長どまりで所長は出向者のためにあけておく?

課題に気づき解決するために他の部署を巻き込んで、HD役員にも会社のあるべき姿を提案していくことよりも、今までを踏襲し、現場からの意見はうまく受け流し、親会社の”身になって”「できない」と答えられる方が評価が高い。

私はこの中では異端児。今までを否定する・文句を言うなんて、上司に意見するなんて、プロパー社員が自ら考え行動させるなんて、評価しない。やってはならない。が、この部門の暗黙知。営業で揉まれた私には、理解できない、なじめない。自己肯定感が崩れていく。

そういえば、前の部署の上司もこの部門で生きていた。

同じ営業系の出向者OBから、「お前は全く間違ったことはしていない。自分も同じ気持ちでいた。」と共感してくれた。

さらに、「その生き様、かっこいいと思う」 この言葉に救われた。



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