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おしゃれと可愛いが大好きです♡人と話すのが仕事です。読んでいただけたら嬉しいです。 i…

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おしゃれと可愛いが大好きです♡人と話すのが仕事です。読んでいただけたら嬉しいです。 illustration by nocopyrightgirl

最近の記事

スクロールした先に

都会の夜は眠らない。 救急車のサイレンは鳴り響く。 都会の中心にある総合病院の救急外来で働く私は、忙しすぎてまともに休憩もとれない。ひっきりなしにくる救急車とウォークイン患者の対応に追われていた。 準夜勤の仕事が終わったのはAM1時。 仕事が終わり私は、病院の目の前の大きな公園のベンチに座りICUで働く莉子を待っていた。 普段まじまじと見る事がない職場を目の前にして、想像以上に大きく見える。沢山の窓の光はほぼ消えており、屋上にあるドクターヘリも羽を休めている。 景色と

    • 彼は親友

      今日は高校の卒業式。 桜が咲くにはまだ早いが、 窓から見える裸の桜の木には 春を待ち望む蕾が膨らみ始めている。 窓側の1番後ろのこの席は、 僕のお気に入りの席だった。 ここから見渡す教室の風景も 窓から入ってくる心地よい風も 今日でお別れ。 教室でいつもふざけてばかりの猿渡も 物静かにいつも自分の世界にはいっている桐山も 噂好きの有田の姿も 明日から同じ景色はもうない。 そして、大好きなの君の横顔とも今日でお別れ。 あまり笑わない君でも、 彼氏の前では頬を赤らめ

      • 前髪と春風と

        前髪を短く切りすぎて失敗してしまった朝。 女子高生にとって前髪は生命なのにと、 たっぷり自己嫌悪に落ち、 憂鬱のまま登校している。 そんな私の短い前髪を春風が優しく揺らした。 目の前を桃色の花びらが1枚ゆっくり舞い落ちる。 ——桜?桜がこの辺……? 普段から見慣れているはずの通学路。 山を切り開かれた道の山側には、 迫り出す木々に隠れるように、 小さな桜の木が7分咲きとなっていた。 なぜ今まで気がつかなかったのだろう? ……あぁ。 本当は周りなんてよく見てなかったん

        • 8両目の奇跡の出会い

          今日も帰る電車は最終電車。 ——今日も疲れた……。 毎日仕事で納得いかないことで怒られる。 いわゆるブラック企業で働く私はとにかく疲弊していた。人一倍仕事をこなしているのに、新人が失敗しても上司の矛先は私に向く。 私は入社してから仕事に一生懸命打ち込んだ。残業も休日の呼び出しも毎日頑張ったつもりだ。そのおかげで仕事は人並みにできるようになった。 ただ、そうするうちにいつのまにか彼氏や友達ともすれ違い、気がついたら1人になっていた。始めはそれでもよかった。そのうちに自

        スクロールした先に

          神様なんかじゃない

          ——ここは死者が通る島。不思議な事が起こる。会いたい人に会える島。 この何もない小さな孤島にはそういう言い伝えがあるらしい。この島は霊界とこの世界との狭間にあたるため死者の通り道なのだと言う。 本当か嘘かは証明できないだろうが、俺がこの島に来た時に、島の有能な神職が教えてくれた。 *** 俺は、岸壁のすぐ横に立つ診療所の前の、古びたベンチに気怠い身体をあずけて座っている。 海向きにあるベンチからみる景色は、南国特有のソーダー水色の海が一面に広がっている。太陽に照らされ海

          神様なんかじゃない

          魅了する男と世界で一番幸せな男【第1章】

          俺には今も忘れられない女の子がいる。 その時始めて恋をした。 女の子は俺と同じ5歳くらいで金髪で肌が白くお姫様みたいなスカートをはいていた。 俺がよく遊んでた丘の上にある木のブランコの所に座って泣いている。 俺は泣いている姿に目を奪われ、つい声をかけた。 「何で泣いているの?」 「こんな洋服着たくなかった。みんなが気持ち悪いって……仲間に入れてくれない」 「大丈夫だよ。似合ってるよ。可愛いよ?」 俺は、本当に思ったことを言った。 本当に一目見てお姫様だと思ったから

          魅了する男と世界で一番幸せな男【第1章】

          魅了する男と世界で一番幸せな男【第3章】

          あの丘で久しぶりにすごした後、街に戻ってきた。 もう空には星が煌き始めていた。 俺達は街のイルミネーションをみて回った。日が落ちて暗い夜の街の色とりどりの光は、昼間とは違う美しさがある。街全体が輝いていた。 ケーキや食べ物を買って、莉音の家で今からクリスマスパーティーをすることになった。 あの丘の帰りに、今日は莉音の家に泊まってクリスマスのぎりぎりまで2人でいたいと言われ、自宅に寄り泊まる準備もしてきていた。 莉音は一人暮らしだった。俺は莉音のことをほとんど知らなかっ

          魅了する男と世界で一番幸せな男【第3章】

          魅了する男と世界で一番幸せな男【第2章】

          修学旅行も終わりまたいつもの学校生活が始まった。 莉音とは今までと特に変わらない。 時々2人きりのときは熱っぽい目で俺を見ているが、教室ではいつもの柔らかい雰囲気をだしていた。 今日は部活も休みで、菖蒲に別れ話をしようと思い一緒に帰る約束をした。 菖蒲のクラスが終わるのを待ちテイクアウトで飲み物を買い、よく2人で行った公園についた。 公園は秋の色に染まり冬が近づいているのを知らせるかのように、時折風が吹く。 「斗愛久しぶりにここに来たね」 「今日は菖蒲に話しがあっ

          魅了する男と世界で一番幸せな男【第2章】

          実習先で会った初恋の彼は、夢を諦めている!【あらすじ】

          実習先で会った初恋の彼は、夢を諦めている!【あらすじ】

          実習先で会った初恋の彼は、夢を諦めている!【第2章】

          歩夢は予定どうり手術を受けた。 手術から数日後歩夢からLINEがきた。 手術は無事に終了し、右膝下の切断をしたようだ。 やはり、下肢を切断した後、全く辛くない事はないようだったが、自殺を考えたりすることはなく、これから頑張っていく。 ということが書かれていた。 碧海はLINEを読んで胸が苦しく、でも何だか暖かくなった。 歩夢は、失望だけではなく、これからの未来を考えていたから……。 ちょうどその頃から碧海も、歩夢の病棟での実習が終わり、院外での保育園実習が始まり忙しくな

          実習先で会った初恋の彼は、夢を諦めている!【第2章】

          実習先で会った初恋の彼は、夢を諦めている!【第1章】

          am7時。街はまだ賑わう前の静けさで空気も澄みきっている。 看護学生の朝は早い。3年生になり1年間の長い病院実習期間にはいっている。 連日、毎日の実習計画や実施記録、実習準備に追われて、夜頑張る者、朝頑張る者、朝慌ててやる者……自分のペースを見つけて1年間やりとげる。 寮の明かりが昼夜消えることはない。 金三津 碧海はこの生活で、すでに睡眠不足になり、重くだるい身体をゆっくり動かしながら、毎日朝の準備にとりかかる。 白い白衣に袖をとおし、髪の毛をアップにする。 薄化粧

          実習先で会った初恋の彼は、夢を諦めている!【第1章】

          ラジオパーソナリティの大人の恋の進め方【あらすじ・第1章】

          あらすじ 「今日も桜愛の30 minutes left 始まりました。明日が来るまでの残り30分のひととき、おつきあい下さい。今日の一曲めは……」 今流行りの男性グループの曲が流れ出す。テンポの良いラブソングは歌いやすい。無意識に桜愛も頭でリズムをとり、目はpcにある沢山のメールを読む。 桜愛と違いガラスの外の数人の男達は、時計と機械を見合わせながら真剣な顔をしていた。 「それでは、リスナーさんから来たメールを紹介していきます。サトリの爽さんからです。僕の悩みを聞いて

          ラジオパーソナリティの大人の恋の進め方【あらすじ・第1章】

          【第2章】ラジオパーソナリティの大人の恋の進め方

          次の日学校で詩織は、興奮した様子で爽の机の前の席に座った。 「爽!昨日の綺麗な人誰?親戚?」 爽は肘を机につき、めんどくさそうに呟く。 「父の大切な人」 「じゃあお母さんになるの?」 「知らない。俺関係ないから……」 詩織は不思議に爽の顔を覗き込む。 「爽はあの人嫌いなの?」 「そうじゃないけど……」 詩織は、爽が不満そうな顔をして、机に寝そべるのを見つめる。 「あ……お母さんは1人だけとか?」 爽は居心地が悪く寝そべったまま顔を隠した。 「当たり?まぁ確

          【第2章】ラジオパーソナリティの大人の恋の進め方

          【短編小説】世界はインシグニスブルーに彩る

          「拝啓 貴方の見る世界がどうか光にみちた世界でありますようにーー」 貴方への想いを書いた手紙をそっと閉じる。 書き留めた想いが溢れないように大切に封筒にいれた。 貴方に読まれる事がないこの手紙を、自分の思いや願いとともにそっと腑をした……。 ** 若い警官は、浮かない顔で封筒に記載してあった住所を探しだす。その宛名の住所から、たどり着いた場所は家兼アトリエのようだった。 若い警官がチャイムを鳴らすと、暫くしてドアが開く。その部屋の住人らしき人物が出てきた。 黒いロン

          【短編小説】世界はインシグニスブルーに彩る

          【短編小説】雨の日がある理由

          空は灰色の雲で覆われ、ジメジメした空気が肌にまとわりつく。 ーーこんな気持ちのまま、家に帰る気になれない。 蒴玖(さく)は、学校帰りで制服のままだったが、気の向くまま近所の神社に向かう。 しばらくすると目的地の赤い鳥居が見えた。 鳥居までの階段を登り始めると、蒴玖(さく)の右頬が雫で濡れる。 蒴玖は、右手で濡れた頬を拭う。自分の目元を触り涙でないことを確認して空を見上げた。 ーーチリンチリン……チリンチリン……。 空は一面灰色のまま、雨が降る前の草独特の強い匂いが

          【短編小説】雨の日がある理由

          スローライフで沢山恋をする!?

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