ワインより甘く
どうせ私のものにならないのなら、いっそのこと誰のものにもならないようにしてしまおうと思ってね。
あなたが音楽を選んでいる間に、あなたの赤いワインに魔法の粉をサラサラと流し込んだ。
やわらかな曲が流れてくる。
流れる音に微笑みながら、何も知らないあなたがワイングラスを持ち上げて、口元に近づける。
その動きはスローモーションのようにゆっくりで私の目に一画面ずつ刻まれる。
美しいあなた。
心奪われる。
唇にグラスが触れた瞬間、私は思わずあなたのその手を掴んだ。
グラスが傾いて赤いワインがこぼれていく。私の白いドレスに赤い染みが広がる。
驚いて、流れていくワインを目で追うあなたの視界を私の手が遮る。
頬に触れ、あなたの顔を私に向けて、私はそっと口づけをする。
ほら、ワインより甘い私の口づけが好きでしょ?
美しいあなた。
心奪われて。
あなたは私と唇を重ねながら、グラスを静かにテーブルに置く。その手を私の腰に回し、強く抱き寄せる。
ねぇ、繋がれた時間で私を愛して。
でも終わったあとで、残った赤いワインをうっかり飲まないでね。
私はね、いつも眠ってしまう。あなたの愛に満たされたら、いつの間にか眠ってしまう。だから今のうちにそのことを伝えておきたいけど、あなたが私の唇を塞ぐから、声が出ないの。
気をつけて。
美しいあなた。
愛しい人。
お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨