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きらめき

孤独じゃないと美しい何かが生まれないって、誰かが言うから、あなたの手をそっと放してみた。

あなたがくれた赤い薔薇と赤いピアスも、海の波間に捨てた。

大きな音が一つ、それから小さすぎる音が二つ、水面に広がっていく。

心に文字を描く。

美しい何かが生まれることを願って。

会いたくて、切なくて、馬鹿みたいで。

あなたが一番欲しいと思っていた。でもそれは違ったみたい。あなたと薔薇とピアスを捨てて、湧き上がる感情のうねりに心が震えた。

私が見たいのは涙が滴るような文字たち。満たされていては生まれない美しい何か。滲む文字に沸き立つ心。孤独の波紋が見える。

ベッドでひとり自分を抱いて、あなたの幻に溺れる。まだ消えないあなたの残り香に顔をうずめ、孤独の海へと落ちていく。深く沈んだあなたを追いかけながら。

孤独が血に溶け込んで身体を巡る。

ほら、生まれてくる。

孤独のきらめきが揺れている。

孤独は美しい。

美しい色がある。



お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨