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猛禽類にまつわる7つの誤解

近年ペットとしても飼育されることが増えた猛禽類ですが、正しくない情報も出回っています。実際に飼育している私が解説します。

その1 猛禽類は水を飲まない?

いいえ。飼育されている猛禽類でも、警戒心の強い個体は人目がないときに水を飲みます。水を飲んでいないように見えても、水入れは必ず置いてください。脱水症状で命を落とすこともあります。

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水を飲むオオタカ若鳥

その2 ワシは数十年ごとに爪、くちばし、羽を引きちぎる?

ウソです。The story of an eagleというタイトルで回覧されているインターネット上の寓話です。羽は一年に一度、しぜんに抜け落ちて生え変わりますが、鳥が自分で羽を引き抜いているのなら心身に問題があります。爪、くちばしが伸びすぎたら先端を切って整えますが、根本から折れてしまったら再生しないこともあります。

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ふとももを毛引きしてしまっているハリスホーク 

その3 フクロウは昼間は寝てるんでしょ?

いいえ。昼間でも狩りをすることがあります。当然、目も見えています。

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獲物を捕らえたワシミミズク

その4 すべての猛禽類は嗅覚も優れている?

いいえ。猛禽類の多くは、においを感じる力が強くないと言われていますが、例外もあります。死体を食べるコンドルは、腐肉のにおいがわかります。

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肉を奪い合うコンドル

その5 小さい猛禽類なら飼育がカンタンなんでしょ?

いいえ。体の小さい動物は、体の大きな動物より温度変化に敏感です。エネルギーを消費するスピードも速いのに、体内に蓄えておけるエネルギー量は多くありません。急な冷え込みにカロリー不足が重なれば、餓死することもあります。

その6 ヒナから飼わなければ、信頼関係は築けない?

ウソです。おとなの猛禽類を買ったとしても、調教を間違わなければ、飼い主のところへ飛んで戻ってくるようになります。そうなれば信頼関係が築けていると言えるでしょう。反対に、ヒナから育てた猛禽類であっても、調教に失敗したり、飼い主が判断を誤れば、戻ってくることはありません。詳しく解説した本をこちらで販売しています。

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その7 猛禽類はどうもうな生き物だから、従わせるには腕力が必要?

いいえ。猛禽類は基本的におくびょうな生き物です。ですから、調教の最中に驚かせたり嫌な思いをさせないよう、細心の注意を払っています。体罰は通用しません。バードショーや鷹狩り用の猛禽類が飼い主の元へ戻ってくるのは、人間に服従しているからではなく、メリット(餌や獲物)があるからです。

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