モンゴロイドブルースから考える小山田壮平(ex. andymori)の思想

andymoriのファーストアルバム「andymori」の3曲目に収録されている"モンゴロイドブルース"の考察をしていこうと思います。

まずタイトルのモンゴロイドブルースは、当たり前ですが"モンゴロイド"の"ブルース"と捉えられます。

モンゴロイドとはwikipediaによると様々定義があるらしいですが、この歌の歌詞から考えると日本人のことを指しているのだろうと考えられます。(詳しくは後々解説)
​ブルースとは悲哀を歌った歌や詩を指しているので、タイトルからすでにあまりポジティブな歌ではないことを感じ取れます。

では次に本題の歌詞の解説に入っていきますが、前提としてこの歌は2つの構成になっています。
1つ目は「誤解の無いように聞いてくれ...」から入る語り口調の部分。
2つ目は「大陸側の...」から入るリズミカルな部分。

始めに1つ目の語りの部分ですが、早口で意味深なことを言っているのでとても理解が難しいと思われます。

------語りの部分------

"誤解の無いように聞いてくれ" はそのままの意味で、今から解説していきますがこの歌の歌詞があまりにも過激なので、「怒らないで聞いてくださいm(__)m」みたいな感じだと思われます。

"ミトコンドリアの夢見た景色" からは解釈が難しくなります。ミトコンドリアとは生物を構成する細胞に含まれる呼吸を司る機関です。つまり呼吸をする生物の象徴と言えます。僕が思うに、この歌はモンゴロイドの歌なので、他の生物に申し訳ないのですが、これは「人間」を表しているのではないかと考えました。「人間の夢見た景色」つまり「人間の行き着く(進化の?歴史の?)果て」と言えます。

"グレイトジャーニーの旅路の果てに" の部分も先程と同じように、「人間の長い長い歴史の末に」と捉えられます。

"また純血混血と繰り返しまた純血混血と必死になってまた純血混血と潰しあう" の部分ですが、これは「人間の戦争のプロセス」を表していると考えられます。戦争によってA国を征服したB国は異民族同士で交配してどんどん混血の国になっていきます。強大になったB国では自分たちの国が優秀だという純血思想のようなナショナリズムが加速していきます。そしてまた隣のC国と戦争をして征服して、混血が進んで...というようなプロセスです。(この部分はもう一つの捉え方ができるので、暇があれば別記事で紹介します)

"ブルジュドバイからオルドバイへ" はこれまた難解ですが、地名を調べていくと意味が分かります。ブルジュドバイとはドバイにある現在の人間の叡智の象徴のようなめっちゃ高い綺麗な建物です(完成後はブルジュハリファという名前になりますが、この歌が作られた頃はまだ建築途中)。オルドバイとはアフリカのタンザニアにあるオルドバイ渓谷を指していると思われます。オルドバイ渓谷とは人類の先祖であるアウストラロピテクスの化石が見つかった場所で、人類発祥の地ともいえる場所です。しかしこれでは歌詞の意味は分かりません。普通に考えれば、人類の歴史の流れ(人類発祥→現在の人類の叡智)を表したいのならオルドバイからブルジュドバイにすればいいのですが、ここでは逆になっています。なのでこれは、現在の人間の叡智→原始の人類と後戻りしてしまうということを暗喩しているのではないでしょうか。前節は戦争のことだったので、やはりここは核戦争などで人類の文明が後退する未来を危惧するような意味なのかなと思います。しかしながら、このフレーズは同アルバム1曲目「andyとrock」でも使用されており、その歌は戦争どうこうの歌ではないので、果たしてこの解釈が正しいのかは分からないです。

"​(ルーシーの)アダムとイブの娘と息子​"は分かりやすいです。まず、被せで歌われる"ルーシー"とは、先程述べたオルドバイ渓谷とは発見場所は違うのですが、エチオピアで見つかったアウストラロピテクスの化石につけられた愛称です。(ちなみに、ルーシーという名はThe Beatlesの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ」という楽曲名が由来です)​​​​​なので、ルーシーは初期の人類という意味で使われていると考えられます。次の"アダムとイブ"も、旧約聖書の世界観では地球最初の人類なので、ルーシーと同じ意味で使っていると思われます。次の"娘と息子"は、直接的な娘と息子ではなく、子孫という意味で使っていると考えられます。初期の人類の子孫、つまり私たち現代の人類を指しています。

"おんなじ顔した味方と敵"は割と簡単で、私たちは皆、元をたどればルーシーまたはアダムとイブであり、同胞なのに争いあっていて可笑しいよねという皮肉のような感じだと思われます。

------以上語りの部分------



"大陸側のアンチドリアンは"​からは過激度が急激に上がっていきます。大陸は、大きな陸地という意味ではなくモンゴロイドブルースというタイトルから察するに中国地域を指していると思われます。Wikipediaにも大陸が中国またはその周辺の地域を指すこともあるとありました。ではアンチドリアンとはなんでしょうか。ドリアン(果物の)反対派なんて集団は聞いたことがありません(確かに臭いけど)。隠さずいうとこれはアンチコリアンを濁していったものなんです。つまり反韓の集団のことです。中国大陸側にある反韓意識が大きい国とはどこでしょうか。日本ですね...。かなりセンシティブな話題を分かりやすい感じでノリノリのリズムで歌っている壮平さん怖いですね(笑)。

"日曜日の昼下がりにdylala"​から先の歌詞は、主語が日本だということを前提に聞いていきましょう。ちなみに、この先多用される"dylala"ですが、まったく意味が分かりません。先に言うとこの歌は世界情勢や日本の状況を嘲笑するようなものなので、dylalaは嘲笑う感じを出したのかな(?)と思いました。

"大陸側のアンチドリアンはまったく得意げにバニラシェイクを注文"​はそのままです。現在の日本人は(日本に限らないですが)バニラシェイクに代表されるマクドナルドなどのアメリカ文化に浸っています

"ナショナリズムナショナリズム"​の部分は、僕の深読みかもしれませんが、前節の"まったく得意げに"と対称的に歌われているのではないかと考えました。日本人はアメリカ文化に気づかず得意げに溺れているのに、反韓活動のようなナショナリズム的な活動をしているという矛盾を壮平さんは笑っているのではないのかなと考えました。

"純血混血混血純血"​は、語りの部分でも同じ感じで使われていましたが、ここでは戦争という意味よりも、そのままの純血と混血の意味だと考えました。日本は歴史的に見ても、周りのアジア諸国とは違うんだ、という思想があります。島国だし、独立を守ってきた国なので納得はできるのですが、壮平さんはここでもセンシティブな話題に触れます。日本は特別で周りの民族とは全く違うんだという右翼的な考えが反韓、反中運動とともに広がっており「日本はすごいんだぞ」と日本人は考えるが、そんな純血的な思想と反して日本人は歴史的に大陸(朝鮮、中国など)の人々と深く交流をしており、大陸の血が日本人に多少は入っていることは自明で、所詮我々はただのアジア人だという意見。ここの歌詞は「日本人は特別だ!(純血だ!)」という主張と「いや、大陸の血が混じったただのアジア人だ!(混血だ!)」という主張の2つのぶつかりを表しているのだと思います。しかし、語り部分のルーシーとアダムとイブのくだりから考えると、壮平さんはそんな意見のぶつかりさえも客観視して、「どっちにしろ我々は同じ人間なのにな。」と冷静に捉えているのかもしれません。

"Mama said Papa said dylaladyla 恋はあせらず dylaladyla"​​​は他の歌からの引用部分となります。The Supremes の「You Can't Hurry Love(邦題:恋はあせらず)」という歌に出てくるサビ前の「Mama said~♪」からの引用です。しかし"Papa said"はその歌には出てきません。なのでここの部分は本当に意味が分かりません。前後と文脈がないので解釈もできませんでした(笑)。でもここだけ聞いたら「明るい歌だな~」と勘違いするので、この歌の過激度を誤魔化すためだけの、内容の要らない部分かもしれません。

"島国の王は大陸直系の"​​の部分で主語が日本だということが確定します。島国(日本)の王とはもちろん天皇のことです。"大陸直系"とついに言ってしまいました。しかし実際、高校で日本史を習った方はご存じかもしれませんが過去の天皇には、朝鮮半島にあった百済という国の王室の血が入っています。これを直系というのは大げさだと思うのですが、記述されてないだけで、交流が盛んだった大陸の血が多く混ざっていてもおかしくはない、という壮平さんの考えなんでしょうか。

"優しい顔でまたかき混ぜる"​は、日本人は純血ではなく、天皇によって大陸の血と混ぜられて今に至る、という意味になるでしょうか。かなり過激です。根拠もなくノリノリで歌っているので冗談で言っていることを祈りましょう(笑)。しかし、天皇によって混ぜられたかは分かりませんが、過去の日本と大陸との盛んな交流を考慮すると、血が混じっていてもなんらおかしくはありません。

"アイスコーヒー 大陸ベイベー あのベイベー so sweet so cute dylalalalalalalala"からはもう頭おかしくなっちゃってます(笑)。アイスコーヒーは前節のつながりで混ぜる対象()のことだと思われます。"大陸ベイベー"は大陸の血が混じった赤ちゃん、または奥さんや彼女のことを指していると思われます。ベイベーがそのまま赤ちゃん(baby)という意味なのか、女の子のことをベイベーと呼ぶ感じで使っているのかは分かりません。"so sweet so cute"は、混血の赤ちゃんまたはつがいのことを愛でる様子だと思われます。つまり純血も混血も気にせずに我々はつがって子孫を残していったという意味になるでしょう。それにしても歌い方と長いdylalalala...からは狂気を感じます。

"モンゴロイドモンゴロイド"​​で、ついにタイトルの一部が歌われます。前後の文脈から考えると、タイトルのモンゴロイドとは、日本人のことを指していたんだと判明します。

"純血混血混血混血純血"では、先程の部分よりも混血が一つ増えています。なぜ混血が増えたのかなと考えたのですが、やはりこれは壮平さんの思想というか意見が、混血側に傾いていることを伝えたかったのかなと思います。これは別に、日本人はただのアジア人だという主張の混血側ではなくて、そもそも人間はルーシーやアダムとイブに始まって世界に広まっていったから、全人類が民族に縛られない混血なんだという主張だと思われます。

"Mama said Papa said...."からはすでに述べた部分の繰り返しなので省略します。

"大陸側のアンチシャイニーズ dylala..."では、アンチドリアンの例に従うと、アンチチャイニーズでしょうね...。どこまで敵を増やすんだという感じです(笑)。尖ってます。

その後は、"Mama said..." や "ナショナリズム...."の繰り返しが続き、最後は"lalalala..."と嘲笑って曲は終わっていきます。



------まとめ------

なかなか過激な歌詞でびっくりされた方も多いかと思いますが、僕は納得できるような主張だなと思いました。ナショナリズムで国同士民族同士で争いをしているが、我々は同じ種の人間だということを忘れるな!という思いが伝わってくる熱い歌ですし、リズミカルにして誤魔化しとも嘲笑ともとれるような歌になっていて色んな意味でおもしろい楽曲です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?