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閑話休題「故郷の味」

私の故郷は兵庫県の日本海側に位置する小さな町です。出石町(いずしちょう)と言うのですが、人口は現在1万人ほどの古い城下町で関西圏では観光地として少しだけ知られた町でもあります。

どうして観光地になったかというと、「皿そば」という名物料理がある事と、城下町の古い町並みが残っているからです。(上の写真が皿そばです)

この「皿そば」ですが、江戸時代から続く食べ方で、地元特産の小さな白磁の皿に手打ちの蕎麦を少しずつ盛り付けて、食べた分だけ皿を積み上げていきます。

最初に一人前頼むと5皿出てくるのですが、これだと少ないのでほとんどの方は追加で何皿か注文されます。女性でも8〜10皿程度は食べますし、蕎麦好きなら20皿以上食べる人も結構います。

ちなみに私は高校を卒業して大阪に出てくるまで、皿そば以外の蕎麦を食べたことがありませんでした。

理由はどこのお店にも皿そば以外の蕎麦が無かったからなのですが、テレビで目にする熱い出汁のかかった蕎麦を食べる事が、大阪に出てきたときにやってみたい事の一つでした。

皿そばは食べ方としてはざる蕎麦の様に冷たい出汁に薬味を入れて食べる食べ方ですので、私は熱い掛け蕎麦を18歳で家を出るまで食べたことがありませんでした。

蕎麦以外にも地元では当たり前に食べていたのに、都会に出てきたら誰も知らなかった食べ物が結構あります。

特に魚介類に多いのですが、その代表がキツネダラという冬場に出回る魚でしょうか。

これは顔がキツネみたいだからキツネによく似たタラという意味で地元ではキツネダラと呼ぶのですが、恐らく生物学的にはタラの仲間ではないと思います。

身はタラに比べてしっかりと締まっていて加熱してもタラの身の様にボロボロにはなりません。

鍋にして食べるととても美味しいのですが、身だけではなくゼラチン質の皮も美味しかった記憶があります。

ただ、最近ではスーパーで皮を剥いで身だけにした状態で売っていることが多いですし、肝心のキツネに似た頭の部分も見ることはなくなりました。

この顔の部分のゼラチン質がとても美味しいのですが、魚屋さんがなくなってしまいスーパーに変わってからは丸ごとのキツネダラを見ることはなくなりました。

それと「サバ缶そぼろ」も地元以外では誰も知らないので驚きました。地元では「そぼろ」と言えばサバ缶で作ったものを指します。

これをご飯のおかずにしたり、ばら寿司の上に薄焼き卵などと一緒に散らして食べるのが定番だったのですが、これも私の故郷がある北近畿方面、特に京都府の丹後半島あたりで盛んに行われている食べ方だと随分経ってから知りました。

その土地の名物というのは、どこの名物であっても不思議な魅力があるものですが、最後に大阪の「粉もん」について少しだけ。

私の別れた妻はほとんど料理をしない人だったのですが、お好み焼きだけは上手に作る事が出来ました。更にはたこ焼きも上手に丸く焼く事が出来ました。

一体何故なのか。育った環境のチカラとしか説明のしようがありません。

故郷の味というのは、つくづく良い物だなと思います。

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