父の「君子蘭」
週末ですし、少しいつもの介護関連のテーマから離れて日記的な記事なります。ご容赦下さい。
私の父にまつわる思い出話とちょっとした出来事のお話しです。
私の父は田舎生まれの田舎育ちで、終生生まれ育った町から離れることはありませんでした。
一言で言って田舎者なんですが、そのくせ畑仕事などの野良仕事を全くといっていいほどしませんでした。
これは田舎では中々珍しいパターンで、自家で食べる野菜などももっぱら母が畑を耕して作っていました。
そんな父でしたが、仕事を完全にリタイアしてからは少しだけ土いじりもするようになり、なかでも熱心だったのが「君子蘭(くんしらん)」の栽培でした。
世話が簡単なのも、ものぐさな父の性格に合ったのでしょう。毎年春に沢山の花を咲かせては喜んでいました。
そんな父が体調を崩し一人暮らしが出来なくなってからは、私が単身で実家へ戻り父と同居するようになったんですが、しばらくは引き続き父が鉢植えの世話をしていました。
しかしそのうちそれも出来なくなり、あとは私に託された形になりました。託されたといってもただ週に一回程度水をやるだけなので世話という程の事はありません。
毎週日曜日に水をやると決めて、それを続けていただけでした。
そんな毎日も長くは続かず、程なくして父は他界致しました。
私は大阪から単身赴任の形で父との実家生活をしていましたので、父が亡くなったら実家で暮らす必要もなく、家族の暮らす大阪に戻ってきてしまいました。
その当時、実家には君子蘭の大きな鉢植えが4鉢ほどあったのですが、鉢植えを車に積み込んで運ぶのも億劫でしたし、置き場所にも困るのでそのまま実家に置いてきてしまいました。
つまりそのままうち捨てたわけなんですが、当然気にはなっていました。
その後約2ヶ月ほど経った頃に掃除と風通しをするために実家に帰りました。
当然もう君子蘭は枯れてしまっているだろうと思っていたのですが、なんと少し元気はなくなっていましたが生きていました。
かなり驚いたのですが、持って帰っても置き場所に困るしまあそのうち枯れてしまうだろうと思い、一応水だけやってまた放置してしまいました。
更に2ヶ月後に再び実家に帰ったのですが、4鉢中3鉢はまだ生きていました。
その時もまた水だけやって放置して大阪に戻りました。
そうして更に2ヶ月後に再び帰省した時にもまだ2鉢は生きていたのですが、さすがにそれを見て放置出来なくなってしまい生き残った2鉢を大阪に持ち帰りました。
なんだか父の執念が君子蘭の命を繋いでいるような気がしてきて、急に放置出来なくなったんです。
そんな事があってからもう10年近く経ちます。
その後私は熟年離婚をするために一人家を出ました。その際、自転車に積める程度の身の回り品しか持ち出しませんでしたので、父の君子蘭も妻が暮らす家に置いてきてしまいました。
つまり二度目の放置です。
私の元妻は、相手が人であれ動物であれ植物であれ、とにかく世話をするという事が全く出来ない人でしたので、残してきた君子蘭もすぐに枯らせてしまうだろうなと思っていました。
ところがです。
別居から2年以上が経過して、元妻も新しい家に引っ越すことになり不要なものを私に引き取るように言ってきました。
その中にあの君子蘭もあり、何としっかりと生きていました。
そんな訳で、再び私の家には2鉢の君子蘭があります。
父が世話をしていた頃は毎年咲かせていた花も、私が引き取ってからは10年の間に1度しか咲いていません。
上の写真は、そのたった一回だけ咲いてくれた時の父の君子蘭です。
君子蘭が咲く季節は春です。
来年の春こそは2度目の花を咲かせてあげたいなと、今思っています。
◎大阪なんばパークスJEUGIAカルチャーセンター
「介護食の基礎知識 料理を作らない料理教室講座」お申し込み受付中です。
https://culture.jeugia.co.jp/lesson_detail_66-50093.html
◎アゼリアカルチャーカレッジ
「介護食の基礎知識」調理実習付き講座(池田市立カルチャープラザ内)
お申し込み随時受付中。
https://culture.jeugia.co.jp/lesson_detail_22-50720.html
終わりの見えない介護生活を少しでも楽しく!美味しいものがあればそれで幸せ。そんな活動をしていきます。サポート大歓迎です。