見出し画像

【おうちで発酵・漬物】#8 神奈川県産の高菜でかんたん高菜漬

高菜というと九州或いは和歌山のイメージだ。
福岡で食べるとんこつラーメンにはごまと高菜ときくらげ、紅生姜が欠かせないし、平和會舘の高菜まんも外せない。熊本では絶対に高菜飯。和歌山では口いっぱいに頬張る大きなめはりずしが恋しくなる。

どれも美味しく親しみやすいので、以前から高菜を買う機会は多かった。故にコロナ禍最初期に近所のスーパーから一斉に高菜漬やごま高菜が消えた時には少なからずショックを受けた。身近な存在だった高菜が、距離により断絶される「遠くの食べ物」であることに気付かされたからだと思う。

その高菜を、思いがけず県内のJA直売所(今回は「すかなごっそ」で購入)で見付けた時には驚いた。
未加工の生の高菜を見るのはそれが初めてだったし、神奈川で高菜が生産されているとは知らなかった。しかもすごく安い。130円とか160円とかで、スーパーのほうれん草や小松菜の三倍から五倍、下手をするとそれ以上の量がどっさり気前よく入っている。見るからに新鮮で、そのまま炒めたり浅漬けにしてもきっと美味しいだろう。
看過できずにひと袋買い、漬け方を調べてまずは天日干しした。

梅干し用に買ったトレイが大活躍。このまま外の室外機の上へ(重ならないよう並べ、途中裏返して両面干す)

比較的少なめの袋を選んだので、日干し後の重量は1kg未満。

さて、漬け方をどうしようかは割と迷った。
九州っぽく醤油漬けにするか、それともめはりを作れるよう和歌山流にするか。
いくつかの漬け方を調べた上で、初めてなので最も塩分が高く失敗の少なそうな和歌山(新宮)の漬け方を真似てみることに。

漬け方は至って簡単。
《家庭でできる!かんたん高菜の塩漬け》
①高菜を洗って天日干しし(葉が薄いので3~4時間もあれば十分)、葉の重量の11%の塩を計量。今回は高菜が890gなので97g。

②漬物樽等に高菜をひと株ずつ、青い葉を茎の部分でくるむようにたたみ(天日干しでほどよく水分が抜けるため畳みやすい)、隙間なく重ならないよう詰めて行く。その上から塩を振る。それを繰り返す。今回は量が少ないので二段分で済んだ。余った塩はさし水に使う。

ここで唐辛子を入れてもよいとのこと

③内蓋をして重石(手持ちの3.5kg使用)をのせ、内蓋より水位が上がらない程度のさし水をする(300ml~1l程度。今回は余った塩を300mlの水で溶いた)。樽の縁から回し掛けるように。

④翌日~2日後に葉を覆う程度に水が上がっていればOK。上がっていなければ少量の水と重石を追加して補助する。今回は翌日には内蓋を超える水位にすっかり上がっていた。

⑤3日後ぐらいから食べられるが、今回は12/17に仕込んだ樽を屋内(暖房なし)で漬け続け、2週間経ったくらいから漬け汁がべっこう色に。
約1ヶ月後の1/15に産膜酵母のような白い膜が見られたため、できるだけ取り除いて膜と接触していた部分は軽く水洗いし、漬け汁ごと冷蔵庫へ。

内蓋についていた膜を除いた状態。だいぶべっこう色っぽく見える
漬け汁ごと計量しているのでこの重さ。絞ると軽量です

④塩分高めで漬けているので、食べる際は洗うか水~ぬるま湯にしばらくつけて塩抜きする。その後はそのまま食べても良いし、ごま油で和えたり炒めたりしても美味しい。

《所感》
・葉物の漬物自体は塩分2%ぐらいから漬けられるため、11%はかなり高め(おそらく長期保存を前提としているのと、和歌山は南国なのでそれぐらいが安心なのかも)。その分深みのある良い味が出ていて美味しい。そのままごはんのお供にも、刻んで冷奴や湯豆腐の薬味、納豆にも。巻きずしの具も良いし、もちろんめはりにも!使いやすくてあると便利。もっと漬けてもよかった。

洗うと割と新鮮な色。食べる分だけ塩抜きしてタッパーに入れています。葉と茎、根元(ここだけ固いので加熱した方が美味しい)を分けておくと便利。白いのは炒りごま

・発酵の旨味を出したい場合は塩分低めで(2〜3%程度)空気を抜いて漬けると良いと思う。そちらも美味しそうなのでいずれ試したい。
・神奈川の高菜は葉が薄いので扱いやすく、漬かりやすいので低塩分で良さそう。次回も同じ方法で塩漬けするなら、5%程度で試したい。

思ったよりも手軽に美味しくできたなあ、というのが一番の感想。これを塩抜きして調味液に漬ければ醤油漬けや市販の高菜漬けのようにもなるし、塩分の好みは今後模索するにせよ、基本はこれでよいのかも。

現状気になっているのは、神奈川の高菜は葉がかなり薄いが他県産はどうか?という点。これにより漬け方は違って来るはずなので、いずれ機会があれば九州や和歌山県産の葉も漬けてみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?