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菌で家を建てる建築家になってみた。

はじめまして。
建築家改め、菌築家・小野司です笑。

コロナを機に屋久島に移住


コロナで生き方が変わった方は
多いと思いますが、私もその一人。
しかも劇的に変わりました。

2020年春、
コロナの最初の緊急事態宣言のときに
屋久島にいたご縁で、東京に帰るのを
やめる決断をしました。


で、どうせ長いこと居るなら家でも作ろうか笑!
という軽いノリで、そのとき同居していた
友人と家を建てることになりました。

家づくりは仲間たちとのDIY作業もだいぶ頑張った、、


人間がこの地球に生きている意味とは?

ノリは軽かったのですが、進めていくうちに
屋久島の大自然の中に建築することの意味や
責任の重さを感じるようになってきました。


環境にやさしくとか、そういう軽い言葉では
言い表せない、もっと根源的な問いが
生まれてきました。

人は建築をすることで、その場所の環境を破壊
してしまっている。

一方で動物たちや虫たちは、生き方そのものが
自然のバランスと循環をサポートしている。

なぜ知性や文明をもっている人間だけが
自然を破壊し、自然を浪費し、
地球に迷惑をかけているのか。


地球にとって人間が役に立つ生き方はないのか?



そんな問いを真正面から考えるべく、
ものすごい知見が集結することに。

屋久島の森のガイドのモスオーシャンハウス
のメンバー、エネルギーや省エネのプロ、
大地の再生、土中環境など、

たぶん世界の最先端と言っていい
専門家たちを巻き込みながらの
一大プロジェクトに発展していったのです。
(それがSumu yakushimaというプロジェクト)


そのプロセスやSumuについては
またいずれ詳しくお伝えしますが、

まずは屋久島で作っている菌を生かした建築について
説明することにします。


現代建築は環境に優しい?

現在は「映える」建築こそが、
メディアを賑わせています。


建築とは歴史的にも、カタチによって
権威を示したり、存在感をアピールする
役割だったのである意味仕方ないことです。

しかし、カッコいい建築物の環境性能を
語る言葉はどんどん多様化していて、
「カッコよくて環境性能もいい」と語る建築
が当たり前ですが、果たして本当でしょうか?

再エネ、省エネ、カーボンオフセットなどなど、
地球に良さそうなことはなんでも書けます。


だけど注目してほしいことは
そのどれもが、地球へのダメージを
「ちょっと減らしてマシにしてる」だけなのです。


カーボンポジティブな建築というのもありますが、
人間が増やしたCO2を、もうちょっと回収しよう
というだけです。

それって本当に地球にとって
プラスなのでしょうか?

目に見えないことに目を向ける

屋久島で作っている建築が、いままでの建築と
大きく違うなと思う点、それは目に見えない
土の中までデザインしているということです。

目に見えない土中の菌を働かせて、
自然との関係性を作り上げようとしていること。

見えないところにとことん
手間暇かけてきました。


見えるところだけ「映え」させれば
カッコつけられるデザイン建築と比べて
だいぶコスパ悪いのかもしれません笑

基礎は石場建て、高床式

20世紀は物質の時代で、見える物質ばかりを
追い求めてきたために、見えない部分の大切さは
完全に見逃してきてしまったと思います。

これからの時代は見えないことにこそ、
大切な答えがたくさんあると
気がついていくことになるでしょう。

コロナ禍によって我々はウィルスという
目に見えないものと向き合わざるを
得なくなりました。



見えない脅威である一方で、
無限の味方でもあるわけです。

我々の生活は小さな微生物によって
支えられています。

皮膚は常在菌によってバリアのように
守られています。

日本は発酵食文化のおかげで
コロナ重症化が少なくて済んでいるではないか
とも言われています。

農業では微生物の数が土壌の豊かさの
指標となっています。

菌はカビや病気などのネガティブな
イメージもありますが、カビですら自然界では
分解者という立派な役割があって
一生懸命にその役割を果たしてくれています。

菌類、細菌類は非常に素直で、条件が整えば
ひたむきに働きます。
彼らを味方につければとても頼もしい限りなのです。

現代の建築技術にはこういった微生物に
向き合う教育はほぼ皆無。


一級建築士の試験にもでてきません笑

しかし、江戸時代までは「土木技術」
のなかにあたりまえのように菌を味方につけて
石垣や道の舗装工事などが行われていました。

土中に打ち込む焼き杭をつくる
表面が炭化した焼杭の表面から菌糸のネットワークが広がる、古くて新しいシステム
土中では菌を味方につけ、空中では高床で風を通し菌による腐食を緩める


自然をより豊かにする建築は可能か?

これを現代の技術に重ね合わせて、
屋久島での建築に応用してみました。

自然を壊すのではなく、
自然をサポートし、
よりよい環境を作り出す建築
です。

土中に菌のネットワークを人為的に作り出し、
人工物を介して周囲の樹木や水脈といった
生態系にコネクトします。

植物たちにとっても、建築物が
なくてはならないという共生関係をつくります。

それは家が一本の大木と同じような
存在に置き換わるような感覚です。


周囲の樹木の根を絡ませるように「設計」
することで、建物の地盤の強度を確保し、
その樹木自体も元気にします。

まさに自然に寄り添い、自然の力を活用する
仲介者になってくれるのが菌なのです。


建築そのものが新たな自然環境の要素になり、
地球を元気にする。


そんな工法が世界に広まっていけば、
世の中で語られている環境問題の多くは
解決していくでしょう。

地中に水を浸透させ、菌のネットワークをつくる構造


菌築家の誕生


「菌と共にこの建築を建てる君は
もはや建築家ではなく菌築家だね」


そう言ってくれた友人にもらった肩書きを
一年くらい大切に温めてきました。

ただのネタみたいで嫌だったし、
菌の専門家からしたら菌の知識も少なすぎる。

でも建築×菌の大切さなら誰よりも語れるし
語るべきだと思って、照れ臭さを
押し切って公開に踏み切ったわけです笑

この大切な仕組みを伝えるために。

自然と人間の文明が共存するための重要な
橋渡しになってくれる菌や微生物。

彼らの声を聞き、建築を作っていきたい。


初めての投稿なので長くなってしまいました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
小野司

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