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【詩】推定有罪【なもなも】


■本日の詩『推定有罪』


毎日届く匿名の吼えメール
誰からかは分かってるの
私を親の仇みたいに思ってるあの子から

私の笑顔を凍り付かせることだけに生きがいを感じてる
私の声を奪うことだけに人生を傾けてる
私が自分で命を絶つのを今か今かと待っている

私が裁判官ならあの子を殺人の有罪にする

明るい歌を聞いて気を紛らわせようとするけど
いつの間にかMVの中にあの子が登場してて
いつの間にか歌ってるのはあの子になってる

お風呂の中まで着いてきて
浴槽の向かいからじっと私を睨んでる

二人きりの夕食
あの子は私のお皿に毒を垂らす
私はもう何も食べられなくなる

ベッドの中まで一緒なの
背中にべったり張り付いて離れない
寝返りを打つたび首に生ぬるい息がかかってゾッとしちゃう

四六時中一緒で 
まるで私たち結婚してるみたい

どうして善意より悪意の方がこんなに心に残るんだろう

明日も明後日も明々後日も私の人生にあの子が登場するのが苦痛
あの子もきっと同じこと思ってる
だから早く私に死んでほしいんだね

アンチとかヘイトとかいろんな言葉があるけど
そんな言葉じゃ足りないと思う
私は毎日毎秒あの子に殺されてる気分

私が裁判官ならあの子を連続殺人の有罪にする

私が息をしていることが不満なあの子を
刑務所に入れられたらどんなにいいだろう

誰か一人でいいからあの子に有罪の判決を出して
私はもう百万回も殺されてるんだから

(作 なもなも)


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