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「利益?」「損失?」私たちにとって他人事ではない金利の話

金利は、借りる側にとっては
手数料のように感じられますが、
貸す側にとっては収益になります。
「取られるモノ」「得られるモノ」
という、正反対のものに対して
“金利”という同じ言葉を使っているのです。

負債の金利か、利益の金利か。
言葉は無意識に使い分けていても、さすがに
借金まで無意識にしている人はいないでしょう。
ところが、自分がお金を貸していることに
気づいていない人は大勢います。

たとえば預金。
普段、私たちは今すぐ使わないお金を
銀行に預けています。
実は、銀行はそのお金を使って
貸し出しを行い、利益を得ています。
銀行にお金を貸した“謝礼”として、
もらっているのが預金金利です。
ですから、預金は預けているというよりは、
実際は銀行に貸しているのです。

貸しているのに気づいていない
事例の2つ目は、老齢年金です。
私たちは、国に年金を積み立て、
老後になると、それに利回りが付いて還ってきます。
つまり年金は、国が私たちから
借金をしているのと同じ状態だと言えるのです。

年金は、国などが長期に渡って
国民から保険料を徴収し、
運用していくものですから、
当然、金利と密接に関わっています。

老齢年金の問題点の1つに、
年金の積み立て不足が挙げられます。
積み立て不足になっている理由は、
国が年金制度を設計した際、
将来に対する見通しが甘かったからです。

ここでぜひ、知っておいていただきたいのが
“割引率”という考え方です。割引率は、
「今日の1万円と未来の1万円の価値は同じではない」
という考えに基づいています。

たとえば100万円を1年間、
5%の利回りで運用したとすれば、
1年後には105万円になります。
すなわち、現在の100万円は
未来の105万円と等価であるという考え方です。

実は、この割引率を高く設定すると、
保険料の徴収は少なくて済みます。
国は年金の割引率=金利を高く設定し過ぎたために、
十分な積み立てを行ってこなかったわけです。

まだ、この問題は解決されていません。
巷で、「いずれ年金制度が破綻しかねない」
と言われているのは、このためなのです。

【参考文献】
知るぽると、厚生労働省HP、『金融政策の死ーー金利で見る世界と日本の経済』(野口悠紀雄著、2014年、日経BP)、Money Forward HP:2020年6月15日、他


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FANGS Group【ファングスグループ】
HP:
https://www.fangs-g.com

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