私はひとり旅なので、よくお茶やご飯のお誘いを受けました。小柄で華奢で童顔なので誘いやすいのでしょう。後ろから見るとバックパックが歩いていると言われていました。

あれは、どこの国へ行った時だったでしょうか。ひとりのコロンビア人の女の子に会いました。

どこから来たの？

よくある会話でした。

日本から。

和やかな空気が急にキーンと冷たくなりました。彼女は驚いたような、お化にでも会ったかのような顔をして、私にこう言いました。

日本ってデンジャラスな国でしょ。

日本やアジアに対して嫌悪的な反応を受けることはたまにありましたが、デンジャラスと形容されたのは、後にも先にも彼女くらいです。

私、知ってる。日本にはヤクザがいるでしょ。

彼女はそう続けて、私は察しました。そして、最初に思ったのは、ヤクザって海外でもYAKUZAなんだってことです。

（……そこ？）

私の国の女の子はヤクザに売られる。

私はちょっと困った顔をするしかありませんでした。確かにコロンビア人は美人が多いですから、そういう目的なんだとは思いますが。

彼女は若く、純粋で、優しい子なのでしょう、日本に住んでて大丈夫なのかと私の心配をしてくれました。小柄で華奢で童顔なので、いかにもそういう風に見えたのかもしれません。

感動の余韻に浸る日

楽しくて疲れた日

怖くて泣いた日

胸が痛む日

どんな日であっても必ず朝がきて、そしてまた次の街へ向かうのです。昨日より少しバックパックが重いのはお土産のせいばかりではないのかもしれません。