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不倫とは「可能性の反映」である。 〜好きな人が二人できたら読んでくれ〜


久しぶりに喋った友達Pが不倫してた。

Pは、学生時代からの俺の女友達で、彼女とはなんでもオフレコなしで話す仲。異性の友人でなんでも話せるって貴重な存在なので、俺たちは社会人になった今でもしばしば連絡をとっている。俺はPの恋愛遍歴を全て知っているが、不倫をしたのは初めてだった。

しかもPには彼氏Aがいる。そして、不倫相手Bには奥さんも子供もいる。

「まじで言ってんの。P、彼氏Aとうまくいってるっつてたじゃん」

「いやなんかさ。彼氏A、いい人すぎるんだよ。なんだけど、私さ、今仕事で大変で。その愚痴を聞いてもらおうとしてもさ、なんかいつもあたりさわりないことしか言ってくれないわけ。『そういうこともあるよね』みたいな」

「うーん。二人は異業種だからそうなるのは仕方なくね? てか、愚痴に相槌打ってくれるだけでも、十分いい人じゃん(俺はPの彼氏Aに、モモも含めて会ったことがあるが、まじでいいやつである)」

「まあそうなんだけどさ。でも不倫相手Bはね、同じ職場だからすごい話も聞いてくれるし、何より仕事ができるから尊敬できるの。それが彼氏Aにはないんだよね」

「不倫の手本みてえな話だな。。。お前のそのパターンは日本中で量産されてる気がするよ。とりあえず現実的な話、もし奥さんにバレて訴えられたらお前、負けるから。数百万の慰謝料、払う覚悟はしとけよ。職場も居づらくなるだろうし。俺は結構、訴えたケースも訴えられたケースも、どっちもみてきたぞ。。。」

俺としては、Pが犯罪を起こそうが何しようが、一生Pの味方だ。別にPの不倫を責めるつもりなんて毛頭ないし、男女に正解も不正解もないよなと思ってる。不倫=悪!って怒鳴れるほど、俺は社会に胸を張れるような立派な人間じゃないし。

「やーまずいよね。どうしよ。でも好きなの。どっちも。タケルはどう思う?」

「え、正直に言っていいの」

「だからタケルに電話したんじゃん」

俺はうーんと唸って、その時思ったママを正直に口にした。


人生の可能性を、恋愛の中で模索する

「今お前に大事なのは、どっちを選ぶとかどっちが好きとかじゃなくって、自分がどう生きたいのか、徹底的に向き合うことだよ」

「ごふっ・・・それさあ、実は今朝、全く同じことを手帳に書いたんだよ。私さあ、今の職場でもついいい人ぶっちゃって、受け身になって、正直何がしたいのか自分でもよくわからない状態でさ。20代の頃ならそれでも黙ってこなしてたんだけど、もう30後半だよ。流石に、どう働くか、自分で決めて動かないとと思ってて」

「そういうふうに、人生迷い出した時って、気づいたら二股かけたり不倫したりすんだよ。でもそれって、二人に自分の可能性を投影して迷ってるってだけだと思う」

「あああ。はい、耳が痛いっす」

「いや責めてねえのよ。俺も20代の頃に、身に覚えがあるし」

「えーじゃあどうしたらいいのかな」

「とりあえず、不倫相手Bに対しては、我慢すんな。ガンガン楽しめ」

「は?」

「不倫って、ダメダメ!私、目を覚ませ!こんなのダメよ!ってやってるとかえって麻薬みたくクセになって、だらだら長引くから。むしろその不倫相手に湧いてくる欲望をとっとと満たしてお腹いっぱいになった方が、離れやすくなる。100%、いつかは終わりが来るから。絶対、『なんだこいつワキくせえな』ってある日突然思う日が来るから」

「ああ、確かに! どうしよ〜ってなって、若干振り回され始めてて。それでちょっと病んでたんだよね」

「それじゃダメなんだよ。お前は何があっても常に、自分がどうしたいのかを自覚しろ。いいか、他人に振り回されるやつは、たいてい、自分がどうしたいのか無自覚なんだよ。そのほとんどは、自分の正直な欲求から目を背けてんの」

「ぐほっ」

「お前の不倫相手Bへの欲求は、つまり、尊敬できる人とセックスすることで、束の間自分もそいつみたいに社会から承認された人間だと思いたい、ってとこだろ。こんな尊敬できる人に求められてる私、いけてる、ってやつな」

「タケル。。。殺したいくらい正解だよ」

「でもそれ錯覚だから。優秀なやつに抱かれたらお前も優秀、とかないから。もっというと、お前、奥さんと子供がいて他の女とセックスしてる男を、本当に尊敬できんのかよ」

「でも、その人も不倫初めてなんだって。仕事はすごくできるし真面目だから、なんていうのかな、純粋な人なんだよ」

「だから、そういう奴が1番タチが悪いんだよ。あのな、どんな欲求があろうと、欲求そのものには罪はないと俺は思う。ただ、無自覚なのは俺は罪だと思う。無自覚な奴が、1番人に迷惑かける。つまりばかなの」

「ううう」

「その男、多分ばかだぜ。お前のこと可愛いなーやりてえなーって近づいて、上手いことやれて、またやりたいから『俺あの子が好き!』って恋してて、お前に好き好き言ってくるんだろうが、まずお前が自分の欲求に無自覚なように、その男も無自覚なんだよ。

つまりお前らは似たもん同士。自分がどう生きたいか、お互いに見えてないの。欲求を自覚してないの。もっというと、自分の欲求を認めるのが怖くて、正面から見られないの。だから『恋してる』ってオブラートにくるんで、逃げてんの。自分の本音から。セックスで誤魔化してんの。不倫ていう麻薬でな。無自覚って、そういうこと。

つまりさ、自分の欲求に無自覚な男女は、お互いにフラフラしてっから、鏡みたいに出会って、くっついて、ますます『本当は自分はどう生きたいか』を見つめず目を逸らして結果もっとバカになる、っていうのがもうこの世の典型パターンなわけ。

で、自分の欲求に自覚的なやつは、目的がはっきりして、達成するのも早くなる分、他人の庭を荒らさないのよ。俺はそういう上手な遊び人を何人か知ってるけど、あのな、お前からすれば、"不倫なんて初めての純粋なサラリーマン"の方が、遊び人よりずっといいと思ってんだろうが、それは違うぞ。"上手な遊び人"の方が、自分がどうしたいかわかってる分、トラブルを起こさないし、女の子のことも上手に守るんだよ。無自覚なバカが1番タチが悪いんだよ。別に遊び人の肩持つわけじゃねえけど」

「はあ…やば、ほんとその通り過ぎて何も言えない。なんか、これが愛だと思ってたのものが全然違ったかもって思えてきた」

「それは俺は知らん。愛かどうかは俺が茶々入れることじゃねえし。理想を投影するのだって、立派な恋愛だよ。恋愛に正解はない。むしろその中で成長できたら、すげえいい恋愛じゃん」

「そか。そうだよね」

「とりあえずお前は、自分がどうしたいかを見つめろ。そんで、自覚しろ。もっと社会から認められたいって思うなら、それをまっすぐ受け止めろ。そんで、不倫相手とセックスしたらそういう気分になれて気持ちいいのなら、それを自覚した上で欲求を解消しろ。徹底的に自覚的になれ。そしたら腹は満たされる。ただ、絶対に欲求から目を背けるな

「いやもう、それが錯覚だとわかったから・・・私、それどころじゃないってわかったよ。自分がどう生きたいか。そこが見えないと、多分どっちにも振り回されて、特に不倫相手Bにはいいようにされて終わる。私、自分の仕事と、つか人生と、やっぱり向き合わなくちゃいけない時なんだ」


本当に今食べたいのはカレーか?

「なんでもいいから、自分がどうしたいか、一個一個考えながら生活して見れば? 今日は本当にカレーが食べたいのか、本当にこの人と話がしたいのか、本当にこのテレビが見たいのか。小さなことから自覚していくと、いいと思う」

「でも、自覚するのって怖いよ。多分、仕事辞めたい自分と向き合うハメになる」

「なら、まずは仕事をしながら、『本当はこうしたい』って思い浮かんだことを、全て手帳に書いていってみなよ。そしたら、自分がどうしたいのかを自覚した上で、だけど今は食べてくためにこれをやる、って、自己一致して、今が整理される。こうしたいと思うことに蓋してるから、おかしなことになる。自覚したからってすぐには現実を変えられない。だから、ゆっくり自覚しながら、時間をかけて、理想の働き方を模索すればいいから。俺は20代それやって、今の働き方にたどり着いたし。今からやれば、3年後には変わってる。それくらい気長にやれ」

「やば。すぐやるわ」

「そんで彼氏Aだけど、友達の俺から見れば、お前には彼が1番いいと思う。彼とも、もっと向き合えよ。話の聞き方が気に入らないなら、ちゃんとこうしてって言えば、彼なら聞いてくれるよ。男って、わかんないから。具体的に言ってもらえないと。そこをお前がサボって、『うまいこと聞いてくんない』って陰で駄々こねててもしゃーねえだろ。駄々こねるなら、正面からこねろ。多分彼氏Aは、それも可愛いなーっつって、いうこと聞いてくれるんだろうから(目に浮かぶ)」

「うん。うん。ありがとうタケル。だいぶ目が覚めたわ」

「ああ、そう。俺はむしろ眠いからそろそろ。。。」

「ああ! ありがとね。じゃおやすみっ」

ぷつつつつつー


以上、昨晩の友人との会話の、振り返りでした。読んでくれてありがとう。

若干寝不足。


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