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【新たなオプションになるのか?】|ルートン・タウン×マンチェスター・シティ|23/24プレミアリーグ第16節|マッチレビュー

前節アストン・ヴィラに敗戦し、4試合未勝利となったシティはリーグ4位に順位を下げた。

そんな調子の上がらないペップ・シティは今節は昇格組みのルートン・タウンのホームへ乗り込んだ。

ルートン・タウンのホーム・ケニルワース・ロードの収容人数は10400人。そしてピッチサイズも101m×66mとやや小さめ。この圧迫感満点のスタジアムでシティは難しい試合を強いられることに。

それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきたいと思います!

▪️いつもと違うビルドアップ

まずは両チームのスタメンの確認から。

私はこのシティのメンバーを見た時には、ボールを保持した際は右SBのウォーカーが右肩上がりに上がり後方を3バックに。その前にロドリとコヴァチッチが並ぶ後方[3-2]陣形に。そして右WGのベルナルドがインサイドに入り、フォーデンとIHを形成。左の幅はグリーリッシュが、トップはアルバレスが担ういつもの[3-2-2-3]陣形だと予想した。

こんな可変システムを予想したが…

しかしその予想は大いに裏切られた。蓋を開けてみる新たなペップ・シティの形がそこにはあった。

ルートンはシティにボールを保持されるとWBが最終ラインに落ちて5バックを形成。その前に2CHが中央をケアし、3トップがシティの最終ラインへボールへ制限をかけるような、[5-2-3]もしくは[5-4-1]のブロックを形成して攻撃を待ち構えた。

これに対してシティは前述した通り可変した3バックではなく、2CBの2枚で最終ラインを形成。2CHのロドリとコヴァチッチはベースポジションを離れずにビルドアップへ関与。そして大きく変化が見られたのが両SBの位置だった。

両SBに入ったウォーカーとグヴァルディオルは積極的にサイドの高い位置へ。それに伴いWGのベルナルドとグリーリッシュは中へ中へのプレーを増やし、フォーデンはフリーマンとしてボールへどんどん関わっていった。

ボール保持の際の全体の陣形を表記するのであれば、[2-4-3-1]のような形となった。

▪️狙いは開いたライン間

シティはこの陣形により安定的にボールを動かすことに成功していった。ルートンも初めからブロックを下げてゴール前でシティの攻撃を待ち構えるプランではなく、前から果敢にボールへアタックする振る舞いを試合の序盤は見せていた。

しかしそれは叶わず、徐々にラインを押し下げられることに。

シティのこの日のボール保持の際の最終ラインは2CB。ルベン・ディアスとアケがビルドアップの屋台骨を形成。もちろんGKのエデルソンもボールへ積極的に関与し、ルートンの1トップアデバヨのプレスを無効化させていった。

ルートンは1トップということで、シティの2CBに対して数的不利となりどうしてもボールへ制限がかからない。そこでサイドのブランかタウンゼントが前に出て2CBにプレスを噛み合わせるようなアクションを見せる。

しかしそのタイミングでGKのエデルソンがバックパスでボールを受けてそのプレスをリセットするか、2CHのロドリとコヴァチッチが斜めに落ちてボールを引き出すアクションでプレスを剥がしていったシティ。

このようにコヴァチッチとロドリは流動的に動いて、2CBとGKエデルソンと共にシティのビルドアップを安定させていった。

そんなシティの2CHをルートンもいつまでも自由にさせるわけにはいかない。ルートンの中盤の2選手が自分のそんな彼らに引きつけられて前に出るようになっていった。

しかし2CHが自分の持ち場を離れて前に出ると当然ルートンのライン間に大きなスペースが生まれる。

そこでボールを受けたのが前線で縦関係を形成したアルバレスやフォーデン、そしてSBによって中へ押し出されたWGベルナルドとグリーリッシュだった。

SBのウォーカーとグヴァルディオルは初めから高い位置に上がるのではなく、後方の状況を伺いながらその高さを変えていった。後方の状況が詰まっていれば下がってルートンのプレスの逃げ道になる役割も担っていた。

ボールが高い位置に運ばれれば積極的にサイドの深くまで上がって攻撃参加に。

右SBウォーカーにとってはいつもの光景かもしれないが、左SBグヴァルディオルがここまでサイド深くでプレーするのは初めての光景だったはず。ペナルティエリア内でガンガンクロスを上げる光景は新鮮だった。

新鮮といえばそんなグヴァルディオルのサイド攻撃に伴い、より中へ中へプレーすることを求められたグリーリッシュも同じだろう。

積極的にインサイドのライン間でボールを受けるグリーリッシュ。時には逆サイドまで移動してボールに関わりプレスのズレを作るアクションも見せたグリーリッシュ。そんなプレーも今まであまり見ることはなく新鮮だった。

▪️おわり

ボール保持率を高めて、高い位置までボールを前進させて、奪われれば即時奪還で再びボールを取り戻すサイクルでシティが圧倒的にボールを保持し、攻守で試合を支配していった。

しかし先制したのはホームチームだった。自陣でバークリーがシティのハイプレスを掻い潜り右サイドへボールを展開すると、最後はタウンゼントの巻いたクロスに飛び込んだ長身FWアデバヨが打点の高すぎるヘディングを叩き込み前半ロスタイムに先制。

シティは非常に悪い空気でロッカールームへ帰ることとなったが、後半も気を落とすことなく攻め続けた。そして62分シティがゴールを奪う。

このゴールも開いたライン間を狙ったものだった。ロドリがドリブルで剥がすとぽっかり開いたライン間(バイタルエリア)にドリブルで持ち運びペナへ侵入。

そのドリブルは阻まれるもののそのセカンドボールにいち早く反応したベルナルドが左足を一閃。ボールはここまでファインセーブを連発していたGKカミンスキの右手をすり抜けゴールに吸い込まれていった。

そしてそのゴールの僅か3分後シティが縦パスのセカンドボールをアルバレスが顔面でカットし回収。素早くショートカウンターへ移行し最後はアルバレスのクロスにファーに走り込んだグリーリッシュがスラインディングで合わせて一気に試合をひっくり返した。

リードを奪ったシティは交代策を織り交ぜながら慎重に慎重に守り切り1点差で勝点3を持ち帰った。

久しぶりの勝点3をもぎ取ったシティ。
やっぱりプレミアリーグは苦しい険しい場所なんだなと改めて感じさせられることになりました。だからこそ面白いんですよねこのリーグは。そしてフットボールは。

この試合見せた新たなペップ・シティの形。これは新たなオプションになるのか?それともこの試合限定だったのか?しっかり観察していきたいと思います。


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