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東京チマチョゴリ・ファクトチェック組合からのお知らせ② 「真実の終わり」は本当なのか?

noteをご覧の皆さま、こんにちは。
今回のテーマは、「真実の終わり」は本当なのか、です。
ファクトチェックという行為はそもそも、「真実の終わり」の時代の到来を前提としているわけですが、「真実の終わり」というのはそもそも本当なのでしょうか。当組合としては、まず、この重要な問題をテーマとして取り上げたいと思います。
今回も、組合長であるチマチョゴリ・ピビンバ先生に組合事務のパクがインタビューするかたちで、極力わかりやすく説明したいと思います。

パク

先生、前回も少し触れたのですが、NYTのコラムニストが書籍の中で訴えた「真実の終わり」というのは本当なのでしょうか?今は、あらゆる
真実が相対化され何が真実か分からない時代なのでしょうか?

先生

はい。それは本当です。
NYTのコラムニストの視点は素晴らしいです。昨今、真実がシステマティックに相対化される時代となり、もはや真実は死んだと言ってもいいでしょう。でも、ポストモダニズムを相対主義の原因として批判するのは間違えています。彼らはポストモダニズム思想の根底にあるニーチェの思想を異常に嫌悪しているのです。正鵠を射ているからです。つまり、彼らこそが、実は、ニーチェの思想やポストモダニズムの思想をなんとかして相対化したいと考えているのです。

パク

先生、ちょっとむずかしいです。どういうことですか?

先生

NYTのコラムニストは真実が相対化される原因はポストモダニズムだと言っていますが、それは違います。そうですね、まず結論から先に言いましょう。相対化される原因は資本主義です。功利主義という方が正確かもしれません。さらに本質的なことを言えば、ルサンチマンがその根源にあります。
前回も説明しましたが、昨今、思想信条を持たない空っぽの人間が増殖しています。彼らはお金を稼ぐために平気で「マッチポンプ」や「両建て」をやります。同じグループ内で右翼も左翼もやるのです。ネットには、朝鮮人をヘイトしながら、一方で、そのヘイトが正しいかファクトチェックしてる頭のおかしい連中もいます。そういう連中が凄く増えてるんです。
彼らが教養を獲得できず金の亡者になったのはポストモダニズムのせいでしょうか?ちがいます。資本主義の末路です。お金(資本)があらゆる価値を相対化してしまう神様になってしまったんです。

パク

そうですよね。
お金、お金ばかりの世の中がむしろあらゆる思想信条を相対化してしまったように感じます。その根源は多くの人々が持つ本質的な劣等性(自尊心)と言えるかもしれません。でも、自分で朝鮮人をヘイトして、自分でそのヘイトが正しいかファクトチェックするって、ちょっと信じがたいんですが、そこまで人間って劣化するものなんでしょうか。怖いです。

先生

思考できなければ、みなそうなります。ルサンチマンをコントロールできなくなるからです。そんな人間があつまって、全体主義が生まれるんです。書籍でも取り上げられているハンナ・アーレントはそういうこと言っています。些細で凡庸な悪というのは、僻みや妬み、それからモテたいという些細な欲求なんです。ルサンチマンの肥大化を見過ごさない社会を作っていくことが必要なんですが、多くの人は傍観者のまま、すでに資本の奴隷と化して、むしろ全体主義に加担する側になっています。そもそも、全体主義や資本主義が実存主義の系譜の思想を利用し、相対化してきたんです。

パク

ポストモダニズムに至る実存主義の系譜こそ相対化されてきたんですよね。そもそもポストモダニズムが資本主義に利用され相対化されてきました。資本主義は、とにかくがむしゃらに新しい観点を追い求めて徹底的に哲学的観点を相対化してきたと言えます。そもそも、そうなってしまうことがこのイデオロギーの宿命です。今日、YouTubeやSNSなどネット上のプラットフォームを含め、ネットワークテクノロジーの進歩によって真実がシステマティックに相対化されるよう促してきたのは明らかに資本の側です。宿命として、ルサンチマンに餌をやりながらシステムとして暴走してきました。

先生

実存主義から構造主義、そしてポスト構造主義に至る思想の潮流は、簡単に言ってしまうと功利主義の詭弁を明らかにしようとする流れでしたが、パクさんの言う通り逆に資本の側に利用されてきた側面が大きいです。宿命として。なので、NYTのコラムニストが言ってることは事実とは完全に逆です。真実の相対化されてきた、という現象の捉え方は素晴らしいのですが、結論が事実とまるで違うのです。明らかに意図してウソを付いています。資本の側こそが、ポストモダニズムを相対化しようとしているんです。

パク

なるほど。現象の捉え方としては正しいけど、最後の結論にウソを滑り込ませてきてるわけですね。巧妙ですね。真実が相対化される原因は資本主義なのに、なぜか資本主義の詭弁を暴こうとしてきた実存主義の潮流を悪者として叩いているわけですね。

先生

そうです。でも、NYTのやり方は巧妙でも何でもないです。
勉強していればすぐにおかしいとわかるんですよ。それくらい明らかに言ってることがおかしいわけです。カントやキルケゴールから始まる実存哲学の系譜は、人間の錯覚を超克し、ある意味で西欧社会が迷い込んでしまった深い迷宮から抜け出すための道しるべとなろうとしてきました。その深い迷宮が功利主義です。モースやレヴィ・ストロースなど、構造主義がやろうとしたことは、より具体的に西欧中心主義を超克しようとする試みでしたね。

パク

そこがポイントでしょうか。
勉強していればすぐに分かるけど、勉強してない人はよく分からずに、NYTのコラムニストの言ってることをなんとなく正しいと思ってしまう。日本には本質論を学んでない高学歴バカがうじゃうじゃいます。だから、こんな国では、権威を利用してウソを紛れ込ませる行為は非常に脅威です。ほとんどの人が簡単にだまされてしまう。NYTって結局のところ、言論の擁護者ではなく、体制の擁護者なわけですね。日頃まともなことを言っておいて、決定的なところでウソを付いてくる。これが資本主義社会におけるリベラルの実像ということでしょうか。ある意味、とても意味のある書籍ですね。まさか、、そこまで意図して書かれていると?

先生

わかりません。
ただ、それほどにポストモダニズムの指摘が正鵠を得ているといことでしょうね。ボードリヤールを読んでいながら、相対化の原因がポストモダニズムにあるなんて結論が導き出されるわけありません。よっぽどのバカならともかく、それなりに物事を論理的に捉えることができる人なんでしょうから。ボードリヤールは、まさに相対化の原因が資本主義にあると具体的に指摘した人物なわけですからね。

パク

つまり、焦っていると?

先生

はい。
結局、追い詰められた功利主義の悲鳴、これで昨今の現象の全てが語れます。昨今の国際情勢にしても、自由主義や科学主義の行き詰まりも。西欧の進歩観念は完全に行き詰っているのに、それを認めたくない既存勢力がポストモダニズムを論難できるロジックを獲得できず詭弁を隠しきれないところまで来ている。だから戦争が起きたり、コロナワクチンが出てきたりする。真理に到達し得ない科学が水平展開をはじめてロボティクスに向かう。人間の脳機能までも模倣しようとする。

パク

でも、西欧でも気が付き始めている人は増えてきているようですね。仏教徒が増えてきていると聞きました。

先生

そうなんです。彼らは論理を重視するので、その流れには抗えないかもしれないですね。仏教は、俯瞰してみるととても論理的な宗教です。実存主義はそもそも仏教の概念を取り入れて発展してきました。心配なのは日本人です。日本人は何にも縛られない空っぽな人間の総体です。この日本人の底なしの空っぽさが、今後人類を窮地に陥らせるトリガーになるかもしれません。日本人は生態系の論理も無視して平気で環境を破壊しますし、本当に底なしに空っぽな民族です。そしてその一方で、根拠のない権威にはとても従順です。

パク

何にも縛られない究極の空でありながら権威には従順な日本人。恐ろしいですね。つまり、日本人というフェイクにアイゴーですね。

おわり








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