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マルチ勧誘にハマってしまう若者の気持ちがよく分かる件


「やりたい事をやれないままの人生でいいの?」
「我慢ばかりの生活でいいの?」
「幸せになれる方法があるよ」
「将来の不安が払拭できるよ」
「あなたに会いたがってる人達が沢山いるよ」
「そんな辛い思いしなくても楽に生きる方法あるよ」
「あなたに向いているビジネスがあるよ」

私が数年前にマルチの勧誘を受けた時に言われた言葉達だ。

今思えば、こんな無責任で何の確証もない言葉をなぜ信じようと思ってしまったのか、不思議で仕方ない。

ただ、マルチ勧誘にハマってしまった気持ちが、正直分かる。

※マルチやその防止策に関して専門知識があるわけではない。あくまで私個人的な思いを綴るだけの記事だ。
金銭トラブルで悩んでいるようか方はしかるべき機関へ相談をして欲しい。



最近、マルチの被害が話題になっている。

何でも若者に多いらしい。

以前までは、若者はお金を持っていない為に勧誘対象になりにくかったようだが、最近はお金の借り入れが比較的安易に出来てしまう事や、スマホ1つで様々な手続きが完了できてしまう手軽さから被害が広がっているようだ。


私がマルチ勧誘を受けた時の事を話したい。

数年前、私は仕事も上手くいかず毎日「辞めたい辞めたい」とため息をつきながら重い体を引きずり出勤する日々。

プライベートでも同棲していた彼との将来が全く見えず、大袈裟に言えばお先真っ暗な状態だった。

給与も低いことからお金に対する不安もあった。

地元を離れていたので、相談できる友達もおらず実家の両親にも心配をかけたくなくて、誰にも話せなかった


そんな時、大学時代の友達から連絡があった。
内容は「久しぶりー元気?」から始まり、最近の互いの状況を報告し合うような他愛もない会話。

全く連絡を取っていなかったのに急な連絡だったので多少びっくりはしたが、大学時代も仲良くしていた子だったので警戒心のかけらもなかった。


話を進めるうちに、よりプライベートな悩みに関する話題になった。

私は、不安だらけの日々を過ごしているような自分の状況を語ってしまった。


おかしくなったのはそこからだ。

急に「今のあなたを助けられるビジネスがある」と話を持ちかけられた。

どうやらその友人は、何らかの「コミュニティ」に属しているようで、そこには自分の事を良く分かってくれる「仲間」が沢山いて、お金を稼ぐことも出来るとの事だった。


お恥ずかしい事に、当時の私は正真正銘の「世間知らず」であった。

マルチで有名な会社名が出てきても、そもそもそれがマルチだと知らなかった。

マルチ商法の典型的な勧誘方法であったり、そんな世界がある事すら知らなかったのだ、、。


とは言え友人の無駄に自信のある話し方や、入っているコミュニティの人達の勢いの良さ、あまりにもよく出来た儲け話と、まるでとんとん拍子で人生が上手くいくような話ぶりに、しっかりと違和感を感じでいた。

違和感は感じでいたが、まさかそれがマルチだと思わなかったのだ。


「同じ悩みを持った仲間が出来る」
「将来の不安がなくなる」
「我慢のない生活」
「やりたい事が出来る人生」
「幸せになれる」

次々と繰り出される言葉達。

あの時のお先真っ暗な私には、どれも魅力的で優しくて救いの言葉で、

ちゃんと違和感を感じていたのに、「もしかしたら本当に自分が幸せになれる道があるのかもしれない」と、その言葉達を信じたい気持ちの方が勝ってしまった。



本当に幸いな事に、私は実際に金銭的な被害が出る前に自分で目を覚ませた。

一瞬引き込まれたが自分ですぐに戻って来られた。

ネットのおかげだ。
友人が救われたというその会社名をネットですぐに検索すると、「マルチ」「マルチ勧誘」と続々と出てきた。

そこでこれがマルチであり自分は今大学時代の友人からマルチ勧誘を受けていて、それにハマりそうになっているのだと理解できた。


今なら、そんな甘い儲け話あるわけないし、
自分の事を過剰に褒めちぎってくれる異様な雰囲気の人間が何人もいるような組織、異常だ。
危ないに決まっている。
そう判断できる。

だが実際にマルチにハマってしまった若者の気持ちは、ちゃんと分かる。

それぞれ抱えている問題は様々だろうが、共通しているのは「不安と余裕のなさ」「相談できない環境」ではないか。

「不安や悩みから救われたい解放されたい」という心の隙間にマルチ勧誘は上手に入り込んでくる。


確かにその時は苦しいかもしれない。
未来も見えないかもしれない。
頑張っても将来の状況が変わると思えないかもしれない。


だが実際、私がマルチ勧誘にハマりかけたその数年後、状況は良くなった。

そりゃ、全ての問題がクリアになったわけではないし、今でもお金や将来の不安は絶えない。

それでも、当時の仕事は辞めて今はましな職場にいるし、当時同棲していて将来が見えなかった彼は今の旦那さんだ。

状況は変わるのだ。

だから今この瞬間が苦しくても一生そうではない。

何が言いたかったかというと、

きっと人生で一度はマルチという脅威にさらされる経験をする人の方が多い。

なので、その時惑わされないよう、頭の片隅に置いておいて欲しい

「きっとあなたには自力で幸せになる力があるはずで、今が苦しいのであれば自力でそこから逃げる力だってあるはずだ。

すでにマルチにハマって何らかの被害を受けてしまったとしても、得体も知らない世界に踏み込む勇気があるのだ。そこからやり直す勇気も、自分の人生と向き合い本当の幸せに向かって生きる力も当然あるはずだ。」

明るかったはずの道が真っ暗にならないように、


少しでも社会からマルチ被害が減る事を祈っている。

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