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石井希尚編訳(2016)『超訳聖書 生きる知恵 エッセンシャル版』株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

生きることを勇気づけてくれる

このシリーズも何冊目になるだろう。今回もkindle unlimitedを利用して読んでみた。

本書は他のシリーズ本と少々違うのは序章で聖書に関する歴史や背景が丁寧に解説されていることである。ややページを多く割かれているが、この解説があることで、時代背景を思い浮かべながらセレクトされた言葉の数々を噛み締めながら読み進めることができる。そこではコヘレトの言葉やパウロの振る舞いや生き方、ナザレ派に関する簡単な解説が加えられており、わたしのようなユダヤ教やキリスト教徒とは無縁の仏教徒にとっても理解しやすかった。

特に感じ入った言葉は、自分の考えが正しいわけではないということ。何事につけても「より優れた考え」と「より優れた判断」が存在するという事実から目を離さず自分の思索を見張ることが大切と説かれている。そして本当に優れていれば必ず評価されるという。もし成功したいなら、ありのままの自分の姿を直視し、決してごまかしてはいけない。はりぼてのような人生は、いつか必ず崩壊してしまうとのこと。

さらに物質の豊かさより心の豊かさを目指すことが肝要であり、やましさは自分を脅かし、それとは対象的に、良心に責められるところのない潔白な者は、正々堂々としていて揺るぎがない。

少しニュアンスが違うと感じた部分は「自分が正しい」と信じる人の心は腐っていると言う部分で、その腐っているという意味が宗教観なのかも知れないが「神がいない」と言っている人を指すようである。日本人の多くはどちらかと言えば八百万の神だったり、はたまた無神論者に近い感覚を持った人が多いので、この項目はピンとこなかった次第である。

その他、愚か者は同じ過ちを繰り返す、常に自分に問いかけて行動せよ、正しく知る努力をせよ、正しい情報に基づいて行動せよ、自分のやってきたことはいずれ明らかになる、仕返しするな、驚くほどのバカものとは、まじめであることが最も尊い等など、注目すべき内容が展開されている。

ユニークな考え方として「賢すぎても、愚かすぎても行けない。正しすぎても、悪すぎても行けない」と説かれており、程々な中庸が人間が生きるうえでは良いのかも知れない。

本書は序章以外は簡単に読み進められるので、昼休みの時間に簡単に読み進めることができる。このシリーズは休憩などのスキマ時間に簡単に読めるので重宝している。まだまだ全てを読み尽くしていないので、今後もkindle unlimitedを利用して読んでみようと思う。

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