買わない生活
毎週休みの日には、徒歩圏内にある図書館へ行っている。事前にネットで予約した本を借りることもあれば、その場でなんとなく良さそうな本を手にとって借りることもある。
先週は雑誌コーナーへ立ち寄って、バックナンバーの貸出をしていることを知って、一冊借りてみることにした。
『栄養と料理』
かつて就職したばかりのころ、毎月のように本屋さんでチェックし、気に入った特集があれば買い、さらに気に入ったページは切りとってスクラップブックにファイリングしていた。気がつけばそのスクラップブックも溜まりにたまって、数年前にぜんぶ処分した。雑誌用の(A4サイズの少し幅広の)特殊なサイズのクリアファイルや、自由にページを抜き差しできるタイプのものも。
当時はとにかく
手元にいつでもある
というのがあたり前という価値観だった。
暇なときにパラパラと眺めては、「今度いつかこれを作ってみたい」と見すぎて、スクラップブックを手にとればだいたいどのへんにわたしのお気に入りのレシピが載ってるかもわかったし、ある意味お気に入りの一冊だった。
今みたいになんとなくネットサーフィン、てことはなかったので
オフラインで延々と飽きずに見ていられるのが料理の雑誌だった。
ときは移って、いつの間にか雑誌を買わない生活になった。
買ったものは捨てないとどんどんたまる。せっかく買ったのだから…となかなか捨てられないからだ。買わずに済むなら捨てる心配をしなくていい。
いまは料理のレシピもネットで探せばいくらでも、すぐに、目的にあうものを見つけられる。たまたま出会った雑誌の特集で、写真の美しさにひかれてお気に入りにいれる、なんていう行動はいまはもう古いのかもしれない。
***
とはいいつつも、ひさしぶりに手にする紙の雑誌は、なんだか心地よい。
紙をめくる感触、いったりきたりできる感じ、うん、良いなぁ。
たまには、こういうのも、いい。
ただ、自分では買わないかなぁ。所有したい欲求はない。読みたいだけ。
だったら、図書館で借りるので十分かも。これからはシェアリングの時代だ。
よくよく思い返してみると、料理の雑誌だけでなくある意味どんな雑誌(月刊誌)も、決まった周期でおなじ特集をくりかえしている。料理の雑誌なら、その季節ごとにおすすめのレシピ、とかね。発売直後に読まなければいけないような内容はあまりない。
現に、いま借りて手元にあるのは今年の夏(2021年7月)のもの。
そうめんとかナスとか冬瓜とかが出ているから、「いま」この瞬間ではないけど今度の夏の参考になればいいかなぁ、、くらいの感覚でいる。
雑誌が売れなくなっていると思う。
わたしは買っていないもん。図書館で借りる。それでじゅうぶん。他人の触ったものは気持ち悪くてイヤだ、という人もいるらしいけどわたしは気にしない。
新しい消費が生まれないという意味では、経済的には良くないかなと思う。でもシェアできるものはシェアするというのも、ゴミを減らすという意味では良いのかもしれない。なにが正解なのかは、わからない。けどわたしはこれからも「買わないですむ」ものは買わないだろうな。
ひさしぶりに手に取った雑誌を読みながら、そんなことを考えてみた。また数年後には考えかたも変わっているのかもしれないな。昔は紙の雑誌がまだ本屋さんに売っていたんだよ、とか、言ってるのかなぁ?
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