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糞フェミでも恋がしたい (その3)

私の名は能條まどか。糞フェミだ。

糞フェミもそうとう狂った人間だが、私の母親はもっと狂っていた。私の母親は、父親に犯されながら、殴られ、虐げられ、一塊の肉として扱われることを、無上の悦びとしていた。

普段は和服姿で、身ぎれいさと優雅で卒のない身ごなしと、花街の出であることを思わせるちょっとした艶な仕草と、しかし品よく女らしく、誰に対しても柔らかに接する、地味で目立たないながら、しっかりと芯のある生き方、妻として母親として、申し分のないその姿は、何処から見ても理想そのものだ。

だが、セックスの時の母親は、その小柄な身体を、力まかせに組み敷かれ、汗にまみれて尻を振る、淫乱で貪欲な白い雌豚だった。膣も子宮も、めちゃくちゃになるまで突きまくられ、縛られ、殴られ、身体中を痣だらけにされながら、喜悦の表情で身悶えする、穴のあいた肉だった。そして私はいつも地獄のような光景を見ながら思ったのだ。

なんて羨ましいんだろう。

私の父親と母親の関係は、関係性は、とてもじゃないが普通の人には理解出来ないだろう。しかし、その不可思議な関係性による行為の結果、母親の肉穴から生み出された私には分かる。とてつもなく強い、人間と人間という以上に、生き物と生き物が、命の限り交わし合う絆のようなもの、そのぐちゃぐちゃでふしだらでみっともなくて力任せの、しかし情愛に満ちた、爆発のようなもの。

物心ついてからの私は、父親と母親の異常なセックスを見ながら、というより物心ついてなお父親と母親のセックスを見るのも異常なんだろうけど、ともかく、父親の母親に対する絶対の信頼や、依存や、もっと言ってしまえば甘えや、だってあれほど世の中に権力の圧を放ち、強さの化身のような威厳を持っている人が、母親の肉に全身全霊をぶつけている、その無心で混ざりけのない欲望や、それを生み出している呪いのような純粋さ、そうだあれはきっとあの人の純粋さの結晶のようなもの、だからこそ、これほどまでに私の心を捉えて放さない。そして、それほどの熱量を一身に受けて、淫乱に叫び続ける母親、それは雌としての全身全霊、雄の何もかもを、命を賭けて受け入れるという決意、決心、そして覚悟、そういうものを、一発一発突き込まれる情愛の肉塊の震えの中に、私は確かに見たし、それはひとつの憧れとして、私の中に君臨することとなったのだ。自己実現の王として。

なんて羨ましいんだろう。なんて幸せなんだろう。

そして、いま父親に激しく貫かれ、被虐の叫び声を上げているのは、何故自分ではないんだろう。

それは呪われた真っ黒な感情だった。あの絶対の強い人に、雄として男として、頂点に立つ、自信と野望の塊のような人に、私は貫かれたい。何もかも捧げて、一個の肉塊として果てたい、母親ではない、自分こそがふさわしい雌として、あなたの全てを受け入れる穴として、人生と肉体のすべてをぶち壊されながら、泣き、叫び、悲鳴をあげたかったのだ、悲鳴を上げて許しを請い、しかし許されず、何もかも奪われ蹂躙され、血と体液と、嗚咽にまみれたかったのだ。

その希望は、もちろん叶えられることはなかったのだが。

つづき→ https://note.mu/feministicbitch/n/ncd7ef8298468

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