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糞フェミでも恋がしたい (その16)

私の名は能條まどか。糞フェミだ。

糞フェミに明日はない、明日なんかあてにしていない、今日がすべて、今日に生きて、今日に死ぬ、そういう心で生きるからこそ、本当に真剣に生きられるんじゃないかと思う、中途半端な幸せで、中途半端に満足するぐらいなら、真剣さのために、真剣に求めるもののために、死んでもいいのだ、私は、死んでもいいのだ、綺羅君を自宅まで送り届けて、綺羅母にご挨拶して、あの母親だから、なんとなく勘付くところもあるだろうけど、でも許されている感じもして、雌の私は、それなりにちゃんとしていた、綺羅君を本当に大事にしていますよと、別れ際の微笑みの中に、気持ちを込めた、気持ちは、本物の気持ちだった。

綺羅君の衣装は、私が持って帰って、お洗濯をした、綺羅君の精液の匂いが染み付いていて、ちょっと顔を埋めて、深く息を吸い込むと、綺羅君の体温が身体の中に入ってくるような気がした、身体の芯に、火が灯るようで、それが、静かに雌の肉を焦がすようで、じれったいなあ、じれったいなあと、いくつもいくつも、波紋を生んだ、波紋はお腹から、背中に、肩に、首筋に広がり、耳元で幻聴となって、綺羅君の甘いささやきを生んだ、ささやきは、おねえさん、好きだよと言っていた、私はまだ、綺羅君におっぱいをつかまれてさえいないのだ。

夜遅くなって、綺羅君からメッセージが来た。

[綺羅です おねえ さん きょうはごめんなさい でした]

[まどかです 綺羅君はちっとも悪くないんだから  ]
[謝ることなんてないの おねえさんは綺羅君が 大事]

[ありがとう おねえ さん     ]
[おねえ さん は どうして ぼくに] 
[やさしくしてくれるの かな    ]

[おねえさんはね 綺羅君にとっても惹かれてるの   ]
[これは恋愛 つまりおねえさんは 綺羅君に恋してるの]

[はずかしいよ おねえ さん]

[その やさしくて恥ずかしがりな綺羅君が 大好きよ]
[そして あの 強くて怖くて冷たくて乱暴で    ]
[でも とってもさみしそうな綺羅君も 好き    ]

[わからない ぼくには わからないよ]

[わからなくても いいのよ 私は ぜんぶの綺羅君が好き]
[これだけ 覚えていておいてくれれば 大丈夫     ]

[うん それは わかるよ]

[じゃあ 今日はいろいろ大変だったから よく休んで]
[風邪をひかないように 暖かくして おやすみなさい]

[うん おやすみ おねえ さん]

[また明日ね]

[うん また あした]

そうして私たちは、毎日メッセージをやりとりする間柄になった、ひとつひとつ、思い出を紡いでいくのだ、そう考えると、なんだかくすぐったい気持ちがした、心のなかで、何かがころころ動く感じ、それが、自分なのか、綺羅君なのか、それともあの綺羅君なのか、わからないけど、それはもう、どうでもいいのだ、私はもう眠いのだから、眠くて眠くて、たまらない…わたし…。

つづき→ https://note.mu/feministicbitch/n/ne35912dc4179

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