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夜雨の名画座

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鑑賞した映画の記録。旧作多め。
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夜雨の名画座一覧

ご紹介をした映画の一覧を作ってみた。 公開年代(たぶん)順。映画史的なところから何かが見えてくると面白いかな。 2024/05/05 現在 15本 1956/昭和31年 ◯ 洲崎パラダイス/赤信号 ... 🎬川島雄三 ◯ 流れる … 🎬成瀬巳喜男 ◯ 日本橋 … 🎬市川崑 1957/昭和32年 ◯ 情婦 … 🎬ビリー・ワイルダー 1961/昭和36年 ◯ ゼロの焦点 … 🎬野村芳太郎 1962/昭和37年 ◯ 青べか物語 … 🎬川島雄三 1969/昭和44

映画『ゴスフォード・パーク』(2001)紅茶とディナーと殺人事件

こんばんわ、 柏餅は味噌餡に惹かれる唐崎夜雨です。 今夜ご紹介する映画はロバート・アルトマン監督の 『ゴスフォード・パーク』(Gosford Park)です。 イギリスのカントリー・ハウスを舞台にした群像劇で、この年のアカデミー賞では脚本賞を受賞しています。 アガサ・クリスティ風のミステリーに仕上がっています。 もともとロバート・アルトマン監督はクリスティ作品の映画化を望んだのですが、手垢の付いていない作品が無いので、そんなら創っちゃえということになったそうです。 しかし

映画『流れる』(1956)豪華な女優たちで描く花柳界の舞台裏

こんにちわ、唐崎夜雨です。 日曜の夕べは映画のご紹介。今回は昭和31年(1956)の成瀬巳喜男監督作品『流れる』。 原作は幸田 文。幸田文は文豪幸田露伴の娘さん。 幸田文は父露伴の死後、父の思い出を書いて文筆家となりますが、一時期、身分を隠して柳橋の芸者屋に住み込み女中として働きます。 どうしてそうなさったのか存じませんが、小説『流れる』はこのときの実体験から生まれた作品です。 しかしながら昭和30年代はもう芸者の時代ではないようです。銀座のホステスを描いた映画『夜の蝶』

映画『情婦』(1957)アガサ・クリスティの傑作戯曲「検察側の証人」の映画化

こんばんわ、唐崎夜雨です。日曜の夕べは映画のご案内。 このところアガサ・クリスティ原作ものの映画を続けてみているので、今夜もクリスティのミステリーをご案内。 数あるアガサ・クリスティ原作の映画化作品のなかでも、いちばん好きな作品『情婦』です。ミステリーとしても充分堪能できるし、映画としても見ごたえがある。 映画『情婦』は、アガサ・クリスティの戯曲『検察側の証人(原題:Witness for the Prosecution)』が原作。 オリジナルのタイトルも戯曲と同じ『検察

映画『地中海殺人事件』(1982)紺碧の海をコール・ポーターで

こんばんわ、唐崎夜雨です。 これまで夜雨の名画座では、アガサ・クリスティのミステリーを映画化した『オリエント急行殺人事件』(1974)、『ナイル殺人事件』(1978)をみてきましたが、今回はそれに続く作品『地中海殺人事件』(1982)です。謎を解きあかすのはもちろん名探偵エルキュール・ポワロ。 『ナイル殺人事件』と『地中海殺人事件』の間に、アガサ・クリスティーが生んだもうひとりの名探偵ミス・マープルが登場する『鏡は横にひび割れて』が同じプロデューサーによって映画化(邦題『ク

映画『洲崎パラダイス 赤信号』(1956)

日曜の夕べは夜雨の名画座。こんばんわ、このところお休みの日に天気がすぐれない唐崎夜雨です。夜雨の名が悪かったかしら。ということで今日は雨の降る映画をご紹介。 1956(昭和31)年のモノクロ映画『洲崎パラダイス 赤信号』を見る。監督は川島雄三。 上映時間は81分。これくらいの尺は手軽に見られて理想的。 離れられないずるずるべったりな関係の男と女の物語は、長いと重っ苦しくなる。 それと、これくらいの時間だと冗長的なシーンがない。 橋から始まり橋で終わる物語 映画は隅田川

映画『ダンケルク』(2017)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今年のアカデミー賞でクリストファー・ノーランが『オッペンハイマー』で監督賞を受賞。今夜は祝!というわけではなく、クリストファー・ノーラン監督作品の『ダンケルク』(原題:Dunkirk)を見る。 『ダンケルク』は、最近見ていた『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』、『空軍大戦略』、『鷲は舞いおりた』と同じく、英国チャーチル首相時代が舞台の作品です。 とりわけ、同じ2017年の映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救っ

映画『ナイル殺人事件』(1978)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 毎週日曜日は映画の随想を投稿することに決めて、今日が最初の日です。 先日アガサ・クリスティ原作の映画『オリエント急行殺人事件』(1974)を投稿したので、今日は同じくクリスティ原作の『ナイル殺人事件』(1978)です。 ミステリーですので、未読および未見の方のためにネタバレはちょっと控えます。 小説および映画の原題は『ナイルに死す(Death on the Nile)』です。シリーズの統一感を出すために邦題を「死す」から「殺人事件」にしたので

『オリエント急行殺人事件』(1974)名探偵は悩まない

こんにちわ、唐崎夜雨です。 今日の映画は、ミステリーの女王ことアガサ・クリスティの代表作のひとつ『オリエント急行殺人事件』(原題:Murder on the Orient Express)です。 2017年にケネス・ブラナーが監督した作品もありますが、今回お話しするのは1974年シドニー・ルメット監督作品です。正直なところを申し上げると、シドニー・ルメット版のほうが好き、かなり。 ひとつにはキャスティングの豪華さ。 ケネス・ブラナー版も豪華な顔ぶれですが、シドニー・ルメッ

映画『日本橋』(1956)露地の細道、駒下駄で

こんちゃ、唐崎夜雨です。 今夜の映画は泉鏡花原作の『日本橋〔にほんばし〕』(1956)。とうに過ぎてしまいましたが、春、ひな祭りのころになると見たくなる映画。 監督は『犬神家の一族』などで知られる市川崑。脚本は市川崑監督夫人でもある和田夏十。カラー映画。 映画『日本橋』は、淡島千景、山本富士子、若尾文子と三女優が芸者となりて妍を競う逸品。古今東西の女優でいちばん好きな女優は、淡島千景〔あわしま ちかげ〕。 淡島千景は宝塚歌劇の出身。1950年松竹から『てんやわんや』で映画

映画『空軍大戦略』(1969)Battle of Britain

こんにちわ、唐崎夜雨です。 今日の映画は1969年の『空軍大戦略』。原題は『Battle of Britain(バトル・オブ・ブリテン)』。いまなら原題のカタカナ表記を邦題にするかな。 本作は1940年のイギリス空軍とドイツ空軍の戦闘を描いたものです。監督は『007ゴールドフィンガー』のガイ・ハミルトン。 マイケル・ケイン、ローレンス・オリヴィエ、クリストファー・プラマー、ロバート・ショウなど名優が出演していますが、誰が主役ということはない群像劇。いろいろなエピソードが続き

映画『青べか物語』(1962)

こんにちわ、唐崎夜雨です。 今日は日本映画の旧作をご紹介。 昭和37年(1962)公開の川島雄三監督『青べか物語』。脚本は新藤兼人。 山本周五郎の同名小説が原作。浦粕の地に滞在した作家の先生が、土地の人々を描いた小説。随筆のような味わいがある。 タイトルの「青べか」とはDVDジャケットにもある小舟。色が青いべか船で、青べかと呼ばれる。 浦粕の人々はべか船で漁に出る。作家の先生は青いべか船を地元の爺さんに売りつけられる。 あらすじ作家の先生(森繁久彌)は都会を離れ、東京近

『鷲は舞いおりた』(1976)チャーチル拉致作戦

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今日の映画は『鷲は舞いおりた』。原題、The Eagle Has Landed。 1976年ジョン・スタージェス監督作品。 原作はジャック・ヒギンズの同名小説。細かいことですが、小説は『鷲は舞い降りた』で、映画は『鷲は舞いおりた』と表記が微妙に異なります。 先日『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2017年ジョー・ライト監督)を鑑賞したので、今度もチャーチルがらみです。とはいえ『鷲は舞いおりた』では、ほとんどチャーチル首相の

『ウィンストン・チャーチル / ヒトラーから世界を救った男』(2017)って、タイトルが長いわ

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今夜の夜雨の名画座は『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』です。邦題、長いわ。2017年ジョー・ライト監督作品。 原題は『Darkest Hour』。直訳すると「最も暗い時間」。 夜の明ける前がいちばん暗いらしい。と、言うことは、やがて明るくなりはじめるという意味でもある。 本作は英国が国家存亡の危機を迎えた1940年5月の数週間が描かれています。チャーチル個人の伝記映画というわけではない。 本作品はアカデミー賞で6部門にノミ