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ToreruのCOOになりました

あけましておめでとうございます。
2018年も嵐のように過ぎ去り、2019年になりました。
みなさま今年もよろしくお願いいたします。

さて、タイトルのとおり、今年から、株式会社Toreru/特許業務法人ToreruのCOO/パートナー弁理士に就任しました。

僕は普段、年始だからといって、とりたてて心機一転今年の目標を! というタイプではないのですが、いい機会ですので、僕にとっての2018年の振り返りと、2019年の始めの今思うことを書いておこうと思います。

僕にとっての2018年

2018年は、僕にとって公私ともにそれなりに変化の大きい1年になりました。

1月~3月は、商標業務を効率化するアプリを自分で作ろう!と思い立ち、オンラインのプログラミングスクール「TechAcademy」でSwiftコースを受講しました。

思えば、社会人になって知的財産の仕事をし始めてからずっと感じていた「この不効率な作業、どうにかならないかなぁ…」「もっとこういうソフトウェアがあればいいのに…」という課題から、「いいのが無いなら自分で作ってみるか!」と、何となくRubyでプログラミングを始めてみたのが2017年。
そしてその流れから、「たぶんウェブアプリの方がいいんだろうけど、まだスマホアプリで知財業務効率化系のやつ無いし、そのうちもっとスマホで仕事するようになるだろうから、iOSアプリでやってみるか」と、良くも悪くも気楽な気持ちでSwiftコースの受講を始めたのが2018年の始まりでした。

3ヶ月の受講を終え、商標業務効率化iOSアプリ『Goods Idea』をリリースしたのが4月。
プログラミングをやったことがある人ならわかりますが、どんな形であれ、実際アプリケーションをリリースする、というところまでやるのは、初心者にはそこそこ骨が折れます。
その例に漏れず、僕も1日中エラーが解決できずに悶々としたりしながら躓きまくりましたが、オンラインスクールのメンターさんのおかげで、なんとかApp Storeで初めてのアプリをリリースするところまで行くことができました。
アプリ自体の反響が無いのはご愛嬌ですが、結果的には、これが新たな道のキッカケになったのですから、やはり新しいことはやってみるものです。
リリースまでの過程は終始楽しく、気がつくと深夜になっていることもしばしばでした。2018年で深夜~明け方まで活動していたのは、ロシアW杯期間を除けばこのときくらいだったのではと思います。家族には迷惑をかけましたが、まんまと「ハマる」ことができたので、好き嫌いで言えば、僕はプログラミングが好きだと言っていいのだと思います。

5月。転機が訪れました。
先述の『Goods Idea』を見てくれたToreruのCEO/代表弁理士の宮崎超史さんが、Twitterを通じて、一度会いましょうと声を掛けてくださいました。
Toreruは、AIやクラウドを活用した商標登録サービスを行う新しいタイプの特許事務所として、弁理士業界でも少し話題になり始めていたので、当時秀和特許事務所に所属していた僕でも、薄っすらとその存在を気にしていました。
この時点ではそれ以上Toreruのことは知らなかったのですが、僕はその前から「弁理士業は早くクラウドへ移行するべきだ」と思っていたので、「やっぱり出てきたな」と危機感を感じるとともに、単純にどんなやり方をやっているのか興味を持ってもいました。
また、宮崎さんは大体僕と同世代であるということ、保守的になりがちな弁理士業界の中で自分と同じような課題を持ち取り組んでいることを知り、僕も是非一度話をしてみたいと思いました。

お会いしてみると、とても落ち着いた、でも知財の課題について「静かな熱意」を感じさせる方でした。頭の回転が速く、落ち着いたトーンではあるのですが、会話がポンポンと発展していく楽しさを感じたことを覚えています。
知財業界の不効率さや古い体質に問題意識を持ち、僕と同じようなことを考えている同世代の弁理士がいることが単純に嬉しかったですし、それと同時に、何となく描いていた「弁理士業務のクラウド化の理想形」を先にある程度実現させていることに、焦りと少し悔しさを感じたことを告白しておきます。
でも少し意外だったのは、別の特許事務所にいる僕に対してもオープンに自分の取り組みについて話をしてくれたことです。もちろん秘密事項を除いてではありますが、自分の利益の最大化以上に、知財業界全体の最適化を考えているのだなと感じ、話していてワクワクしました。

ありがたいことにToreruへのお誘いをいただき、新たな選択肢へのワクワク感が生まれたと同時に、大きな悩みの時間が始まりました。
Toreruは僕にとってとても魅力的でしたが、しっかりと悩まなければいけない程度にはそれまでの職場環境・機会に恵まれていました。
このときの悩みについては書くと長くなりすぎてしまうので別の機会にするとして、結果的には9月からのToreruへの移籍を決めたのでした。時期的なことも含めてかなり無理も言いましたが、快く送り出してくれた秀和特許事務所の方たちには深く感謝しています。
ちなみに、移籍のときの思いはこちらの記事に書いてありますので、もしよろしければご覧ください。

8月。我が家に第一子が誕生しました。
心配事もありましたが、無事に元気な子が生まれてくれて、感謝しかありません。
不慣れな育児から始まり、今でも大変なことはありますが、家族のおかげで楽しくやっていけています。
いわゆる自分の時間みたいなものは減りましたが、これまでとは違った意味で幸せな時間が増えました。
月並みですが、やはり我が子は可愛い、というのが結論です(何の?)。

9月からは、Toreruでの業務を開始しました。
Toreruでは、AIやクラウドを利用することで、事務的な作業に割く労力が大幅に軽減されています。小さく若い組織ということもあり、ありがちな形骸化した会議などもありません。そのため、必然的に「頭を使う時間」が1日の多くを占めます。
また、現在のToreruはあえて日本国内の商標登録のみにサービスを絞っているため、これまで自分がお受けしていた種類のもので、今のToreruでは受任しないこととしている仕事はいくつもあります。
依頼者については、それまでも中小企業や個人の方からのご依頼もお受けしていた方ではありましたが、Toreruの方がより小規模のビジネスを想定したご依頼(平たく言えば、予算の限られたご依頼)の割合が多く、自然と依頼者にとってベストの提案も違ってきます。
これらのような意味で、最初はそれまでと多少勝手が違う部分はありましたが、それ以上に、新鮮かつチャレンジしたいこととマッチした新しい環境に刺激を受け続けたひと月でした。
また逆に、これまで自分が経験してきたこと、身につけてきたことで、Toreruに無いものも見え、それを上手く融合させながらさらに良い方向に行く手助けもできるのではないかとも思いました。

そこから12月いっぱいまで、日々の依頼をこなしながら、新しいアイデアについて話し合ったり、システムの改善、さらなる効率化、サービス強化をToreru全体で進めてきました。
その結果、2018年12月時点で、国内の商標登録出願代理件数が全国2位となり(特許庁公開公報ベース)、たくさんの方々にご利用いただけるようになりました。

また、このタイミングでToreru自身のブランディングに取り組みましょう、という話をして、そのための時間をもらいました。
Toreruのブランディングについては、然るべきときが来たら別途発信したいと思っていますが、社員全員を巻き込み、Toreruの核となる「コーポレート・アイデンティティ」を2018年内に見出すことができました。
まずは社内で統一の価値観を共有し、これからの全ての活動の指針となっていくものです。

2019年を迎えて

2019年は、Toreruにとっても、僕自身にとっても、2018年以上にチャレンジングな年になりそうです。

1つは、Toreruとして大きな事業目標を掲げています。具体的な内容は公表できないのですが、Toreruが社会に提供する価値を、これまでの倍以上にしたいと考えています。
Toreruはすでに従来の特許事務所とは異なるアプローチで知財の課題を解決しようとしていますが、2018年のToreruをそのまま継続しているだけではとても目標を達成することはできず、さらなる工夫や新しい試みが必要になります。
おそらく新しい問題に直面することもあるかと思います。目標達成は簡単ではありませんが、1年後はまた一段レベルアップしたToreruをお見せしたいと思います。

もう1つは、僕自身のCOOとしての働きのことです。
僕はこれまで、どちらかというと、プレーヤーとして自分自身のパフォーマンスを最大化することに集中してきました。でも、これからは全体のパフォーマンスを最大化するためのマネジメントを担うことになります。当たり前ですが、組織というのは自分と同じ性質の人が複数人いるわけではありませんから、全てを自分基準で測ってはうまくいきません。自分の世界に入り込んでものごとに集中するのは得意な僕ですが、「自分がやればいい」では済まないのがマネジメントなはずです。ある意味「やらないこと」「頼ること」を積極的にやっていく必要があるでしょうから、カチッと頭を切り替えて取り組んでいきたいと思います。
また、コントロールする、というよりも、みんながそれぞれの良さを生かして高いパフォーマンスを出しやすいような「環境作り」をする、というのが、これからやるべき仕事のイメージとして今のところしっくりきています。
いずれにしても、仲間の協力が不可欠なミッションであり、あまり慣れていない「頼ること」が今年の自分の課題になると認識しています。

また、「ブランディング」についても、今年はより一層学び、実践していきたいと思っています。
1つは、(一財)ブランド・マネージャー認定協会のトレーナーとしての活動を開始したいと考えています。本記事執筆時点ではトレーナー試験受験中ですが、本年中に活動を開始し、ブランドの考え方の啓蒙活動や、逆にブランド畑の人へ知財の考え方を伝えていくことがもっとできればと思います。
もう1つは、Toreru自身のブランディングです。先述のとおり、コーポレート・アイデンティティはすでに定まりましたので、今年からはそれを様々な形で具現化していきます。
さらに、これはもう少し長期的なスパンになりますが、Toreruの顧客に対しても、ブランディングに関する価値提供をしていけるよう、試行錯誤していきたいと思います。

長くなってしまいましたが、今年も僕なりに楽しんで生きていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
どうかみなさまも楽しくお過ごしください。

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